第97話 たつなみ乗艦
昨夜の手巻き寿司パーティーに続いて、今朝の早朝ジョギング大会、と武蔵クルーは少数とは言え、仲が良くて良いチームだな。これもひとえに、オレのメンバー選びの成果・・
「ユーさん、一周遅れだよー。」
「年寄だな、ユーさん。」
「ユーさん頑張って。」
3人がオレを追い越していった。
はぁ?年寄りだぁ? 前言撤回、全然良いチームじゃないよ、まったくもう。
だいたい、アイツらとオレは5歳位しか年離れてないじゃんか。しかもシオリに至っては、中の人はオレよりおっさんなんだぞ。
うん?オレよりもおっさんより、オレが遅いってことは、単にオレが遅いってだけじゃないか・・ これから毎朝ジョギングしよっかな・・。
オレ一人だけ2週少ない甲板ジョギングを終えて、シャワーで汗を流して食堂へ入った。
「ジュンさんおはようございます。」
「あら、ユー。今朝は一番乗りですね。」
「さっきまでみんなで甲板ジョギングしてたんで、みんなもそろそろ来ると思いますよ。」
「あ、昨日、夕食の時、そんな話ししてましたね、本当にみんなでジョギングしたんですか。今度わたくしも一緒に走ってみましょうかしら。」
「朝の甲板は気持ち良いんですよ。 そうだ、みんなで毎朝走りましょうよ。」
ジュンさんなら、流石がにオレを2週も周回遅れにするようなペースでは走らないだろうからね。オレの遅さが目立たなくなって良いんじゃないかな。
「おはようございます。ホットサンドをテイクアウトでお願いします。」
シオリが入ってきた。
「工房で食べるの?」
「えぇ、イッヌの製造が終わったので、最終確認をしておこうと思って。」
「後でたつなみに行った時に、発進タイミングを聞いてみようね。945にカタパルトに集合しようか。」
「945集合ですね、了解です。マリカーは私が準備しておきます。」
「おっはよーございまーす。ドライフルーツ入りシリアルお願いしまーす。」
「おはようございます。ハムエッグ定食にソーセージ追加して下さい。」
ミズキとレイナが入ってきた。
「ミズキはいつもどおりヘルシーだけど、レイナはガッツリ行くね。」
「実は、昨日の手巻き寿司パーティーの後もジム行ってたんだ。それで朝からジョギングしたんで、タンパク質補給しないといけないからさ。」
「そっか。オレも今朝はジョギングしたけど・・・それでも昨日のオーバーカロリーは解消されてないだろうからな。じゃ、普通に、春菊天そば、生たまごも入れて下さい。 あ、ネギもたっぷりで。」
朝からしっかりと麺をチャージして艦橋へ上がった。
さて、上陸の準備をしとこうか。
「ムサシ、左舷カタパルト開放、スロープ展開。」
『了解、左舷カタパルト開放、スロープ展開。』
メインモニターにスロープがするすると伸びていく様子が映し出される。
さて、準備は終わったんで、部屋に戻って着替えるとするかな。
部屋で制服に着替えてカタパルトへ行くと、シオリがマリカーに乗って待っていた。
「お待たせ、さ、行きますか。」
「はい、では目的地、たつなみラッタル、マリカー出発。」
たつなみのラッタル前にはセーラー服姿の隊員と幹部制服姿の2名が立っていた。
「武蔵艦長、小笠原3佐、こちらは神津3尉です。」
「お待ちしておりました、たつなみ副長の沢田3佐です。こちらへどうぞ。」
ラッタルを上る。たつなみは武蔵よりも大きさが小さけれど、武蔵ではマリカーやリニアモーターパネルで上下艦してるので、ラッタルの勾配が急で、自分で足で上るとちょっと怖い。
艦内は誰かさんが宇宙戦艦の内装を真似て作ってしまった超未来型の内装なのに比べて、ザ・戦艦と言う内装だ。ま、護衛艦なんだから当たり前っちゃ当たり前なんだけど。
「小笠原艦長、お、神津3尉も来てくれましたか、久しぶりです。そして、今回も上陸支援、感謝です。」
艦長室に案内されると、大隅艦長が両手で握手をしてきた。
応接ソファに座ると副長がコーヒーを淹れてくれた。
「早速だが、今後の作戦に関して、昨日、統幕とミーティングがあったことをシェアしよう。結論から言ってしまうと、当初予定よりも早くスケジュールが進んでいて、かつ、こちらの被害が少ないため、今後の作戦が変更になったんだ。『ツキノワグマ』の第一目標、苫小牧、札幌、小樽ラインから道南、函館エリアの奪還は函館の奪還も終わり、想定ではあと3日で完了する。
当初の作戦計画では我々の艦隊は『キタキツネ』への参加のみだったのだが、艦隊の損耗が無かったおかげで『キタキツネ函館』として、『ツキノワグマ』を支援することができた。そして、まだ全艦が稼働状態にあるので、更に『キタキツネ釧路』として釧路からも上陸部隊を展開させることで、『ツキノワグマ』の最終目標である北海道全土奪還の速度を早めることになったんだ。」
「では、武蔵は『キタキツネ釧路』の支援ですね。」
「そう言ってもらえると有り難い。ただ、『キタキツネ釧路』は昨日急遽決まった作戦で、本州側での上陸部隊の準備に時間がかかるので、青森を出航するのは2日後になるんだ。」




