第92話 出航
部屋に戻って、フカフカベッドに飛び込んだ。ミニブリトーで結構満腹になってて、かなり気持ちが良いぞ。
ふと目が覚めて時計を見たら、22時少し前だった。
部屋へ戻ったのが15時頃で、多分すぐに寝落ちしちゃったみたいだから、結局6時間ちょっと寝てたんだな。寝る子は育つっていうし、オレもきっと、まだまだもっと育つってことだよな、と一人で納得した。
寝てただけだけど、しっかりお腹は空いてるし、これから徹夜で作戦行動だし、シャワー浴びたら食堂行って夕飯たべるとするか。
食堂に入ると、レイナが何やら丼を食べていた。
「お、レイナ、もしかしてそれはカツ丼?」
「あ、ユーさん。ほら、作戦の前はカツ食べとかないとさ。」
「そうね、ゲン担ぎも大事だよね。あれ? そういえば、ミズキとシオリは?」
「あぁ、ミズキはもうすぐ来るんじゃないかな。シオリはさっき工房へカツサンドを持ってったよ。」
「シオリもカツか。じゃ、オレもそうしよう。ジュンさん、カツ丼下さい。」
「わたしもカツ丼お願いしまーす。」
ミズキが大きな声で注文しながら入ってきた。
2245、全員が艦橋に揃った。
「さ、オレ達はカツ食べて準備が整ったんで、武蔵の方も準備をしちゃおうか。シオリはカモメの発進をよろしく。ミズキとレイナは出航準備をよろしく。」
「了解、カモメ発進します。」
モニターに、カタパルトから白と灰色のカモメが飛び出して、スーッと、海面に落ちる様子が映し出される。
外は暗いから、もう本物のカモメにしか見えないな、これ。
「核融合炉、1番、2番共に定格出力中、異常なし、ウォータージェットシステム正常。」
「航行システム、戦闘システム、防衛システム、オールグリーン。統合管制AIとの接続を確認。武蔵、発進準備完了ですっ。」
レイナとミズキが出航プロトコルを進める。
よし、あとはカモメの発進が終わったところで出航だ。
「カモメ、全機発進完了です。」
ちょうど23時になったところでシオリが言った。
「よし、カタパルト扉閉鎖、武蔵発進、微速前進。」
「了解、機関出力10%、武蔵、微速前進。」
シオリの指示で艦がゆっくりを動き始める。
「武蔵、函館港へ向けて、速度30ノット。」
「30ノット、第一戦速了解。」
続けてシオリが指示する。
真っ暗な北海道沿岸を進む。監視をしていても特に見えるものもない。
『まもなく津軽海峡です。域内に操業中の漁船を含めた多くの船舶を確認。深夜で視界が悪いため、速度12ノット以下での航行を提案します。』
「よし。武蔵、速度12ノット、水上警戒体制を厳として航行。」
「了解、武蔵、12ノット。水上警戒体制を厳とする。」
シオリが復唱した。
窓の外にはさっきまでとは違って、多くの漁火が見えてる。
『間もなく函館港から30キロ地点です。』
ムサシの報告が流れた。
「よし、それではいよいろ『キタキツネ函館』の開始だ。艦内コンディションイエロー発令。」
「了解、艦内コンディションイエロー発令!」
レイナの声が力強くなってきた。
窓からは、徐々に明るい場所が見えてきた。方向的にあれは函館の街だろう。やっぱり小樽よりだんぜん大きい街だから明かりも多くて明るいんだな。
『ヴワー、ヴワー、ヴワー。函館方面から敵対艦ミサイル30発。』
「よし、コンディションレッド発令、戦闘システムセーフティーロック解除、オールウェポンズフリー。対空戦闘用意。索敵、監視はムサシへ移譲。全クルー戦闘配置。」
「コンディションレッド発令、戦闘システムセーフティーロック解除了解。」
「オールウェポンズフリー、対空戦闘用意了解!」
「索敵、監視を移譲、速度このまま、戦闘配置了解!」
『敵対艦ミサイル、主砲射程距離に入ります。』
「レイナ、頼む!」
「了解!1番主砲、高エネルギーレーザーモードで連続発射、目標敵対艦ミサイル!」
クォォン、ブゥーン、 バァーン。ヴババババババババババ。
『敵対艦ミサイル全弾迎撃しました。』
「よしっ、終わり!」
『前方1.2キロ、海底付近に機雷反応あり。沈底機雷と思われます。』
「ミズキ、頼む。」
「了解、掃海準備、艦底電磁バリア展開っ!」
『右舷前方1.3キロ、海底付近に機雷反応あり。沈底機雷と思われます。』
『左舷前方1.3キロ、海底付近に機雷反応あり。沈底機雷と思われます。』
「小樽の時と同じだねー。武蔵に同じ手は通用しないんだよー!指向性ショックウェーブ、前方120度に展開して照射っ!」
ドドドドォォン。
前方一面、至るところで海面が爆発で大きく盛り上がった。
『機雷処理完了しました。』
「はい、こっちも一丁上がりー!」
『函館方面から敵対艦ミサイル15発。』
「小樽よりは守りが堅いか、レイナ、頼むぞ。」
「了解!1番主砲、高エネルギーレーザーモードで連続発射、目標敵対艦ミサイル!」
クォォン、ブゥーン、 バァーン。ヴババババババババババ。
『敵対艦ミサイル全弾迎撃しました。』
「はいっ、余裕! こんな程度じゃ砲塔が温まりもしないよ。」




