第89話 仮設指揮所
腰が強靭に強くて喉越し抜群のうどんにガッツリ出汁が効いたツユ、その上に乗せられた大根おろしと刻みネギが絶妙にマッチした激美味ぶっかけ讃岐うどんを食べて、朝から幸せ気分いっぱいで艦橋に上がった。やっぱり麺って素晴らしいよな。
シオリが艦橋へ入ってきた。
「ユーさん、おはようございます。」
「おはよう、シオリ。」
「50機追加したイッヌV2の充電交代用と、充電器50台の準備が出来ました。」
「そうか、ありがとう。今日の午前中に作戦司令部の山喜3佐と仮設指揮所で今後についてミーティングする予定なんだ。その時に陸揚げについても確認してみるよ。あ、そうだ、ミーティングにはシオリも一緒に来てもらえるかな?」
「了解です。ミーティングは何時の予定ですか?」
「昨日はまだ仮設指揮所を設営中だったんで、時間は今朝連絡があるんだよ。」
「そうですか、それでは私は一旦工房へ戻りますね。時間が決まったら教えて下さい。」
「了解、連絡するよ。」
シオリと入れ替わりでミズキが艦橋へ入ってきた。
「おっはよー、ユーさん。」
「おはよう、ミズキ。もうご飯食べてきた?」
「食べたよー、今日はシリアルにドライフルーツ入れたやつと海藻サラダ、それにほうれん草とブルーベリーのスムージだったよー。」
「ミズキの朝食はいつもヘルシーな感じだね。」
「美は朝食からって言うからねー。」
「そっか。あれ?レイナは一緒じゃなかったの?」
「食堂で一緒だったけど、その後レイナはジムに行ったよー。あの子、朝から厚切りベーコン食べちゃったんで、食べた分のカロリー消費してくるんだってさー。」
レイナはいつでも元気だな。
無線が入る。
『こちら作戦司令部、本日1030、仮設指揮所にてミーティングを開催したい。』
お、来たな。
「こちら武蔵、1030仮設指揮所、了解です。追加配備した50機イッヌの充電交代用50機と、充電器50台の準備出来てますので、作戦司令部の受取にあわせて荷揚げ可能です。」
『イッヌと充電器の件、了解。充電器は受取用のトラックが準備出来次第、再度連絡する。ちなみに、充電器は前回の物と同じタイプだろうか?』
「はい、同じ物を作りました。何か問題が・・。」
『いやいや、そういうことじゃなくて。 充電器の中で充電中の交代用イッヌの姿が癒やし系だと話題になってて、追加で配備された部隊からも同じものを希望する声が多くて・・。』
「あ、そういうことですか。可愛がって頂けてるのであれば、作った私達も光栄です。」
無線を切った後、ミズキに伝えた。
「今無線が入ってた通りで、オレは1030に仮設指揮所へ行くことになったよ。兵装の話しもあるかもしれないからシオリにも同行してもらうことにしたんだ。そうだ、上陸の準備をしとかないとだな。ミズキ、左舷カタパルト開放、スロープ展開。」
「左舷カタパルト開放、スロープ展開、了解。」
スロープが岸壁に向かってスルスルと伸びていく様子がモニターに映し出された。
「今から工房へ寄って、そのまま出かけるから、しばらくの間、武蔵を頼むね。」
「はーい、了解ー。」
艦橋を出て、工房へ入った。
「シオリ、ミーティングは1030になったよ。1015に出発しようか。」
「了解です。私が居なくてもイッヌV2と充電器は荷揚げできるように準備しておいたので、ムサシに指示してくれれば大丈夫です。」
「ありがとう。特に充電器はまだ受取用のトラックの準備が終わってないみたいだから、オレ達が上陸してる間に荷揚げすることになる可能性もあると思うから丁度よかったよ。じゃ、オレは着替えてからカタパルトに行くんで、また後で。」
部屋で作業着から制服に着替えてカタパルトへ向かう。
カタパルトでは既にシオリがマリカーに乗り込んで待っていた。
「お待たせ。行こうか。」
マリカーは岸壁に上陸して、しばらく海沿いを走った。
大きな広場では対戦車用強粘弾で黄色く染まった戦車をデッキブラシでガシガシと洗っている姿が見えた。
公園の中にテントが設営されている一角があった。苫小牧で見たテント群よりかなり小規模だけど、小樽は作戦司令部ではなく、仮設指揮所だからなんだろうな。
テントの入口にはダルメシアンが鎮座、いや警備にあたっていた。
ダルメシアンはシオリに大きく尻尾を振りながら近寄ってきて、その光景を周囲の自衛官が不思議そうな顔で見ている。イッヌはシオリのことを認識してるみたいだけど、シオリは一体どんな記憶をイッヌに書き込んだんだろう。
テントに入ると山喜3佐が居た。
「小笠原艦長、今回もありがとう。お、神津3尉も来てくれたんだね、イッヌ、大活躍だよ。」
「山喜3佐、苫小牧、札幌、小樽ライン奪還、お疲れ様でした。早速なのですが、今後の武蔵の計画を決めるためにも、『ツキノワグマ』のお話を聞かせて頂きたいのですが。」
「ちょうど今まで統幕ともミーティングをしていて、作戦が少しアップデートされたんで、それを共有しよう。」




