第88話 小樽港奪還
『こちら小樽港制圧チーム、小樽港周辺の奪還を完了。周囲に敵の脅威無し。』
「こちら武蔵、小樽港周辺奪還完了、了解。」
無線を切った。
「よし、完了。コンディションレッド解除、コンディションイエローへ移行。現在のガントリークレーン岸壁で機関停止。」
「コンディションイエローへ移行、機関停止、了解!」
レイナが復唱する。
「ふー、終わったねー。」
「あぁ、でもこれはツキノワグマの最初の一歩、苫小牧、札幌、小樽ラインを奪還したまでだから、これから地上部隊は函館方面を奪還して、それから北海道全域の奪還なんで、まだまだ始まったばっかりだけどね。」
「まぁ、確かにそうだよな。で、アタシたちの次はどうするの?ユーさん。」
「それなんだけど、武蔵は対地上戦だと海上からの沿岸支援がメインになるんで、今回と同じように、地上部隊が向かう先の港に先乗りしていくことを考えてるんだけど、後で作戦司令部とも話をしようと思ってるんだ。まぁ、でも、とにかく最初の一歩は無事片付いたんだから、みんな、お疲れ様。コンディションイエローだし、休憩取ろうよ。」
「了解。アタシはちょっと身体がなまっちゃった感じがするから、少し走り込んでくるよ。じゃ。」
「わたしは部屋片づけなきゃだなー。」
2人が出て行った。
オレも身体というより、緊張が続いたんで精神的にちょっと、だから、部屋でリラックスしてよこうかな。
部屋でお気に入りのふかふかベッドの上に転がる。うーん、これが気持ちいいな。
『艦長、作戦司令部から無線が入ってます。艦長、作戦司令部から無線が入ってます。』
うん? あ、ゴロゴロしてるうちに寝ちゃってたんだね。
「ムサシ、無線をこの端末に繋いでくれるか?」
『了解、繋ぎます。』
『こちら作戦司令部、武蔵応答願います。』
「こちら武蔵、作戦司令部どうぞ。」
『こちら作戦司令部、山喜です、我々も小樽に入った。敵戦車の動きを止めてくれたおかげで、小樽港制圧チームは被害なく制圧できた、貴艦の支援に感謝する。ところで、敵戦車の動きを止めた強粘度液だが、除去が終わった戦車は稼働出来たという報告が入ったのだが、使用しても問題ないだろうか?』
「あの液は食品だけで出来ているので、電気回路や機械部分に影響が無ければ、ネバネバする以外の問題は無いと思います。ただ、除去するのはかなり大変かとは思いますが。」
『なるほど、最悪でも浸水した状態までで、それ以上の問題はない、と理解すればよいのかな、了解。』
「山喜3佐、今後のツキノワグマに関して、ご相談したいのですが、お時間頂けますでしょうか?」
『了解、ここはまだ仮設指揮所の設営中なので、明日の午前中に仮設指揮所で話をしよう。』
「明日の午前中、了解しました。」
無線を切って時計を見ると、もう間もなく日没という時間だった
結構寝ちゃってたんだな、オレ。
艦橋に上がる。誰も居ないが、ちょうど夕陽が綺麗に見えた。
モニター類の確認だけしたら食堂へ行こう。
食堂へ入ると全員、ジュンさん、シオリ、レイナ、ミズキが揃ってた。
「あら。全員揃ってるんだね。」
「あー、ユーさん。ツキノワグマの第一段階の成功記念プチパーティーだよー。」
「そっか、だからちケーキがいっぱいあるんだね。」
「こっちにピザとラザニアがあるよ。」
レイナが後ろのテーブルを指さした。
「お、なんだかすっごい具たくさんのビザだね。オレももらおうかな。」
ピザを一切れ持ち上げると、びろーんとチーズが伸びる。うわ、チーズもたっぷりだな。パクっと一口。ボリューム満点、ピッツァじゃなく、ザ、アメリカンピザって感じだね。これは夕食にぴったりかも。これでワインがあればパーフェクトなんだけど、残念だよ。
ジュンさんも一緒になった女子チームはケーキと紅茶で大盛りあがりしてるんだけど、オレはやっぱりノンアルではちょっと・・。だいたい、ケーキも一切れ食べればもう十分だし。ってことで、ひと足お先に部屋に戻らさせてもらった。
玄関開けたら5秒でベッドを実践すべく、直ぐにベッドに転がったけど、さっきまで仮眠というか寝落ちしちゃってたから、睡魔は襲ってこない。となれば、やっぱりスマホでゲームだよね。
ゲームに集中しすぎて、気がつけば日付変更線の直前だった。明日は午前中に作戦司令部へ行く予定だし、ちゃんと寝とかないと、ってことで無理矢理目を閉じてみた。
眠くない時って目を閉じても色んなこと考えちゃって余計眠れなくなるんだよね。
なんて思ってるうちに気づいたら朝だった。うん、すぐ眠っちゃってたね、オレ。
軽く甲板を走って、汗を流して食堂へ入る。まだ誰も居ないってことは今朝はオレが一番乗りだな。
「ジュンさん、おはようございます。」
「ユーさん、おはようございます。今朝は何にしましょうか。あ、そうだ、昨日YeyTubeで香川県の朝うどんを見て、ぶっかけうどんを作ってみたんですけど、試してみますか?」
「なんですかその朝から最高な提案は。もちろん頂きますよ。」




