第83話 気分を切り替えて
「あら、イッヌにお似合いの充電器ですわね。フフフ」
「はい、やっぱり統一感が大事だと思いましたので。エヘヘ」
えぇと、ジュンさんもシオリも肝心な所が抜けてる気がするよ、これは愛玩ペットロボじゃなくて、かなり強力な、いや、反則級の威力がある兵器だからね・・。
「・・えぇと、うん。いい感じだと思うよ(棒読み)。で、いつ頃配置できるかな?」
「そうですね、追加のイッヌV2は昼頃までには出来ますが、充電器100個は数が多いので、とりあえず今は充電器50台だけを配備して、追加のイッヌ50機分の充電器50台は、小樽で陸揚げすることででしょうか? どうせ今から追加のイッヌV2の交代用50機も作る必要がありますし。」
「そうだね。3日あれば少なくとも小樽港は奪還出来てるだろうしね。そこで交代用のイッヌと充電器を渡すことにしようか。」
「はい、それであれば、1400までには充電器も含めて配置完了できます。」
「よし、それでは、武蔵も作戦開始は1400としよう。あまり時間に余裕がないけどよろしく頼むね。」
ジュンさんと一緒に工房を出て、オレだけ艦橋へ上がった。
『ツキノワグマ』に向けて準備と下調べをする。
PCでここから小樽港までの距離を検索すると約100キロだった。いや、違うな、これは鉄道での距離だな。武蔵は津軽海峡を抜けて北海道の反対側に行かなきゃいけないから、100キロのわけないか。流石に海上の距離はネットで調べられないな。
「ムサシ、ここから小樽港までの距離は?」
『約600キロです。』
あらら、海で行くと6倍の距離になっちゃうんだ。
通常護衛艦の最大戦速相当で進んだとして約半日、出航が14時なら到着は深夜2時位ってことだな。最短での予定通りであれば地上部隊が小樽に着くのは明日の午後、だいぶ早く着いちゃうけど、逆に武蔵が海上に居ることで注意を惹きつけておけば、それも地上部隊の支援になるな。
レイナとミズキが戻ってきた。
「艦内チェック、異常なーし。」
「お疲れさん。シオリとイッヌと充電器の配備について話をしてきたんだけど、武蔵もツキノワグマ開始と同じ1400に出航することになったよ。」
「1400出航、了解ですー。」
「それならゆっくりランチできるな。」
「確かにそうだね。少し早いけど、もう昼休憩にしようか。そして、1330艦橋集合でよろしく。」
「了解ー。」
「了解した。」
レイナとミズキが出て行った。
さて、こちらの状況を報告しておくかな。
無線の送信スイッチを入れる。
「こちら武蔵、追加のイッヌに関して、50機を1400までに追加配置します。また、充電器を50個も提供します。これで現在の上陸部隊に配置されているイッヌの充電が可能になります。千歳の部隊用で追加するイッヌ50機の交代用イッヌと充電器は、今は間に合わないので、後日小樽港で提供することにします。」
『千歳の部隊用に50機提供してもらえるのか、それは助かる。そして、充電器? ということは、これからは武蔵不在でもイッヌを継続的に充電して運用し続けられるという理解であっているか?』
「そのとおりです。常に武蔵が充電、交代する、という制限をなくしました。」
『こちらの作戦計画もその制限なしで検討できるってことだ、それは凄いぞ、ありがとう。』
「充電器の準備が出来次第、またご連絡します。」
無線を切って、艦橋を出て食堂へ向かった。
食堂にはジュンさんだけが居た。
「あれ?レイナとミズキは来てないんですか?」
「来てましたよ。でも、北海道休暇から艦勤務へ気分を切り替えたいからって、戦闘糧食の缶飯を温めて部屋に持っていきましたよ。」
「へぇ、あの2人、結構ちゃんと意識してるんだな。」
「そうですね。性格は全然違う2人ですけど、どちらも根はとっても真面目なんですよ。」
「じゃ、オレも気分を切り替えるために・・ 何にしようかな。」
「そうですね、北海道の要素を微塵も無くして思いっきりジャンキーに振って、ダブルチーズバーガーセットとかはどうですか?」
「なるほど、確かにそれは地域性すらないですね。それにします。 ドリンクはコーラで、ポテトはLサイズ、あ、アップルパイもお願いします。」
ジュンさんが調理室に入って、トレーを持って出てきた。
「お待たせしました。ダブチのセットとアップルパイです。」
あら、まんまマックのダブチセットだよこれ。うっわ、カップケチャップまでついてるよ。だって、ケチャップは普通に食堂にあるのに、わざわざカップケチャップ?
食品3Dプリンターは既にオレの中で神って認識だったけど、マック風の包み紙やポテトの紙ケース、更にはカップケチャップまで作り出しちゃうんだな。まぁ、3Dプリンターなんだから当然っちゃ当然なんだけど、もう神を越えた存在だよ。
早速頂きましょうよ。ガブッとな。
うん、このジャンキー感、これがダブチの旨さの秘訣なんだよ。
ポテトもね、洒落たのじゃなくて、シーズニングちょい多めで、ちょっと塩分多いんじゃないっていうこの微妙な加減のポテトが最高に美味いのよね。




