第82話 ツキノワグマ
艦橋へ上がるエレベータでミズキと一緒になった。
「ムサシー、たっだいまー。」
『ミズキさん、おかえりなさい。苫小牧、どうでしたか?』
「楽しかったよー。いっぱい食べたし、いっぱい歌っちゃったよー。」
あぁ、ミズキとムサシは友達ってことでいいよね。言い換えると、ミズキとプリマベーラのシステムは友達ってことで。。
レイナとシオリも艦橋へ入ってきた。
「それじゃ、武蔵の無人モードを解除しようか。」
「了解、ムサシ、航行システム、戦闘システム自衛モード解除。防衛システムを航行モードへ移行。」
「核融合炉、1番、2番共に定格出力中、異常なし。」
「航行システム、戦闘システム、防衛システム、オールグリーン。統合管制AIとの接続を確認。」
レイナ、ミズキ、シオリがプロトコルを実行した。
「交代用イッヌV2の準備が出来てます。」
シオリがこちらを向いた。
「よし、発進、交代させようか。」
「了解、左舷カタパルト扉開放、スロープ展開、イッヌV2発進。」
メインモニターにカタパルト扉から伸びるスロープが映し出され、色んなイッヌ達が次々に上陸していく。
無線の送信スイッチを入れる。
「こちら武蔵、交代用のイッヌを発進中です。順次現在のイッヌと交代します。」
『こちら作戦司令部、了解。 あ、ちなみに交代のイッヌは、今配備されているイッヌと同じ犬種だろうか?』
「はい、同じデザインのイッヌです。」
『了解、よかった。各部隊からも同じデザインにして欲しいと希望が来てたので。』
「皆さんにかわいがって頂いてるようで、こちらも嬉しいです。」
『貴艦の休暇中の状況を更新しておこう。千歳空港は昨日から運用を再開した。現在も輸送機が陸上部隊をピストン輸送中で、本日昼には北海道奪還作戦の準備が整う予定だ。よって、北海道奪還作成、コードネーム『ツキノワグマ』の開始は本日1400。 『ツキノワグマ』の最初の目標は苫小牧、札幌、小樽を結ぶラインを確保し、そこから函館へ向けて、道南エリアの奪還だ。』
「了解しました。武蔵が支援できることはありますか?」
『札幌は地上戦になるが、小樽は港町なので海からの支援はとても助かる。もちろん、武蔵は独立遊撃艦なので、作戦は貴艦に一任されているが。』
「小樽での支援ですね、了解しました。統幕からの司令は北海道の奪還とロビスコの排除ですので、本作戦に参加すべきと考えます。」
『了解、それは助かる。小樽は武蔵だけでも十分に奪還できるだろうから、苫小牧、小樽ラインの確保は予定よりも早まると思う。それから、もし可能なら千歳で集結中の部隊にもイッヌを配備したいのだが、可能だろうか?』
「了解しました。何台準備できるか確認してまたご連絡します。」
『よろしく頼む。』
無線を切って、シオリの方を向く。
「今イッヌV2は50機ですが、『ツキノワグマ』用に50機追加して、合計100機でどうでしょうか?」
「間に合うならそうしてあげたいけど、大丈夫?」
「1400までに千歳に配備するのは間に合わないと思いますが、製造は間に合いますが、それでよければ。」
「あぁ、もちろん十分すぎる位だよ。イッヌが直接各部隊へ向かえば、それでいいんだしね。」
「わかりました。私は工房に戻って準備しますね。」
「よろしく頼むね。」
シオリが艦橋を出ていった。
「それでは、武蔵は追加のイッヌV2を発進させたら小樽港へ向けて出航することにしようか。戦闘になると思うので、念の為、各部のチェックを頼むよ。」
「了解ー。艦内チェック行ってきまーす。」
「行ってくる。」
レイナとミズキが出ていった。
スケジュールはジュンさんにも伝えておいたほうが良いな、よし、食堂へ寄って、一緒に工房へ行ってシオリとも一緒に話をしよう。
食堂へ入ってジュンさんに声を掛けた。
「今後のことで少し話がしたいんですけど、シオリも一緒に工房で話しませんか?」
工房ではシオリが端末に向かって図面のようなものを描いていた。
「お疲れ様、シオリは艦橋で聞いてた話なんだけど、本日1400に北海道奪還作戦『ツキノワグマ』が開始されます。第一目標は苫小牧、札幌、小樽ラインの確保、そして、そこから道南、函館エリアの奪還です。で、武蔵は小樽奪還を支援するために、イッヌを発進させたところで小樽へ向けて出航します。」
「なるほど、札幌、函館、苫小牧、小樽、そして千歳と都市部がメインだから、これで人口で言うと北海度の半分位は奪還できることになりますかね?」
「そうですね、人口だとそうですね。それ以降は市街地戦がメインではなくなるので戦術も変わってくると思いますね。」
シオリ、いや、この発言は、中の人であるエルダルン研究主任の発言だな。
「ひとつ問題というか、気になるというか、イッヌの件なんだけど、武蔵が苫小牧を離れたら充電問題はどう対応するんだろう?」
シオリに訪ねてみた。
「はい、その対応を考えてまして、充電装置を試作してみたところなんです。これなんですけど。」
シオリが持ち上げて見せてくれたのは、犬用キャリーだった・・。




