第78話 ジンギス感?
車は5分ほど走って、レンガ造りの倉庫風の建物の前で止まった。
「あら、お洒落なお店ですわね。」
「外までジンギスカンの匂いがしてきてますね、楽しみだな。」
店に入ると、2階の個室へ案内された。
あら?まだ誰も居ないんだ。
「オレ達が一番乗りみたいですね。」
「彼女たち、午後は買い物に行くって言ってましたわよね?確か、モールとドンキでしたっけ?」
「そんなこと言ってましたね。でもまぁ、シオリも一緒だから心配ないですかね。」
階段を上がってくる足音が聞こえてきた。
「おっ待たせー。」
「ユーさん達、もう来てたんだ。」
「遅くなりました。」
3人組が入ってくると、急に華やかに、いや、賑やかになったね。
直ぐにスタッフがメニューを持って入ってきた。
「ジンギスカンのセットと、北海舟盛りだけオーダーしてありますので、それ以外はみなさん各自で注文お願いしますね。」
店を予約してくれたシオリが仕切る。
「わたしー、アスパラオリーブオイル焼きとじゃがバターお願いしまーす。」
「ざんぎ、ちゃんちゃん焼き、あと、いかめしも下さい。」
「私はニシン漬けとオニオンサラダお願いします。」
「みんな北海道っぽいもの注文するんだね。じゃオレも松前漬け下さい。あ、オーダーは全部2つづつにしといて下さいね。」
「わたし、ルイベって食べてみたいので、これも2つお願いしますね。」
「承知しました。お飲み物はどうしましょうか?」
伝票にオーダーを書きながらスタッフが聞いてきた。
「わたし、ハスカップソーダくださーい。」
「じゃ、アタシも。」
「私も同じものお願いします。」
「わたしは生ビール、サッポロクラッシックお願いしますね。」
「オレも生下さい。」
注文を取ったスタッフと入れ違い位にジンギスカンセットと大きな舟盛りが来た。これは予約してあったから、準備してあったんだろうね、すぐ食べ始められるのって嬉しいよな。
直ぐに飲み物も届いた。では、始めますか。
「さ、乾杯しようよ。北海道最後の夜にカンパーイ!」
とりあえず生ビールをグビッと飲んで、お待ちかねのジンギスカンを焼こうかね。
この山形をしたジンギスカン鍋で作ると旨さが倍増するんだよね。
たっぷりと牛脂を塗って、脇の溝にかぼちゃとニンジンを先に乗せて、少したった所でもやしを投入。そして、ラムとマトンを乗せていく、と。
ジュー。
気持ちの良い音ととに、羊肉独特の匂いも漂ってきた。
そして、このタレ。これも重要なアイテムなのよ。
ラムとマトンをひっくり返して、もうちょっとだけ待つ。もう良いかな?
「そろそろ焼けるよ。」
「ユーさんって、ジンギスカン鍋奉行だったんだねー。」
「いやそんなことないよ。オレが早くジンギスカン食べたかっただけだよ。」
「だから舟盛りにも手を付けないでジンギスカン作ってたんだ。北海道の名物料理だっては知ってたけど、アタシ今まであまり食べたこと無いんじゃないかな。記憶にないし。」
レイナが小皿に取った刺し身を食べながら言った。
「キミらも成人してお酒飲むようになったら試せると思うけど、ジンギスカンはね、とにかくビールに合うのよ。北海道、サッポロと言ったらジンギスカンとビールだからね。大体、札幌って大都会と言って良い駅から車で10分もかからない所にジンギスカンとビールのパラダイスがあるんだよ。ま、ここはサッポロではないけど、北海道と言ったらとにかくジンギスカンなのよ。」
「なんだか解ったような解らないような説明だけど、ユーさんがジンギスカンとビールが好きってことは解ったかな。」
こんな中身のない説明で理解してくれてありがとうね、レイナ。
ラムを一欠片、タレにつけて、パクっと。
まず甘辛いタレが口いっぱいに広がる。そして柔らかい噛み応えの肉からラム独特の香りと味が追いかけてくる。うん、うまいぞ。さ、ビール飲まなきゃ。
続けてマトンを一欠片、これもタレにつけてパクっ。ラムとは違う適度な噛み応えと、これぞ羊肉って感じの臭みがたまらなく良いぞ。ビール、ビールっと。
そして野菜だ。肉の脂と旨味が染み染みになって、クッタリし始めてるもやし、ちょうどいい焼き加減だよ。これを軽くタレにつけてパクっ。
うん、脂は正義って昔の人が言ったとか言わなかったとか、良い脂に、北海道の太くてしっかりと味のあるもやしがぴったりマッチして、ほんっと美味いよ。
「うわ、マジで美味しいんだね、これ。」
レイナがジンギスカンを食べて目を大きくしてる。
「えー、どれどれー。わっ、ホントだー。ジンギスカン美味しいー。」
「これは美味しいですね。」
あ、そうか、3人とも北海道初めてだって言ってたから、本当のジンギスカンを食べたことが無かったんだな。
「でしょ、ちょっとクセがあるから嫌いって人も居るけど、オレはこのクセがたまらなく良いと思うんだよね。」
「うん、食事決めるとき、ユーさんがジンギスカン推してた理由がわかったよー、これは美味しいよー。」
「ふむふむ、わかればよろしい。 フハハハ。」




