第77話 露天風呂
「あら、ユー、もう始めてましたね。フフフ。」
ジュンさんがソファーの後ろに立っていた。
「わたくしは、まずはこれから始めますよ。」
オレの隣のソファーに座ったジュンさんの右手には大きなソフトクリームがあった。
艶々で大きなソフトクリーム、それも美味しそうだな。でも、もうビール飲んじゃったしな・・。
「温泉どうでした? 男湯はひょうたん形の大きな内湯と露天風呂がありましたよ。」
「女湯は丸くて大きな内湯と露天風呂でした。内湯と露天風呂で違う温泉で、ちゃんと匂いが違って、2つの源泉が楽しめるって面白いですね。」
「あれ、そうだったんですか。それは気が付かなかったな。」
「内湯の方が硫黄の匂いが強かったと思いませんか?あと、肌触りというか、内湯の方がちょっとピリピリする感じがしましたよ。」
「あ、それはちょっと感じたんだけど、露天風呂は外だから匂いが飛んでっちゃってるのかな、って思ってました。そうか、違う温泉だったんだ。次入るときには気をつけてみようっと。」
「わたくしは、ソフトクリーム食べ終わったらまた温泉入ります。このソフトクリームはサウナで言うところの水風呂なので、また身体を温めに戻りますわ。」
「なるほど。ジュンさん、温泉を1000%満喫するんですね。」
「もう一度温まって、その後に飲む生ビールが美味しいんですよ。フフフフ。」
「あ、やっぱり生ビールなんだ。アハハハハ。」
しばらく雑談した後、ジュンさんは宣言通り、また温泉へ戻っていった。
ビールを1杯飲み終えて、まだまだ全く物足りないんだけど、酒飲んで温泉入るのはNGだしな。もう温泉入らないで飲んじゃおうかな。いや、せっかく北海道の温泉だし、それも2種類の源泉だってことだから、ここは心を鬼にして追加のビールはやめて温泉に入ろう。
水分補給しないとね、ってことで冷水機で水を1杯飲んでから浴室へ戻った。
最初に露天風呂。肩から上、顔と頭が外気に触れて気持ちが良い。
続けて大浴場、源泉違いで違う泉質なんだよね。ふんふん、あぁ、確かに臭いが違うかな? 肌触りも、そう言われればピリピリするね。なるほど、温泉の入り比べって面白いんだな。
次に休憩所へ行ったら、間違いなくちゃんと飲み始めちゃうだろうから、しっかりと温泉を堪能すべく、大浴場の後にもう一度露天風呂へ入った。
もう、身体の芯どころか、心の奥底までホッカホカになったよ。存分に温泉を堪能したあとは、お楽しみの続きといきますかね。
休憩所へ戻るとさっきと同じソファーに陣取ったところに、ちょうどジュンさんもやってきた。
「あらユー、今来たところですか?」
「えぇ。しっかり温泉堪能しときました。あ、泉質の違いも感じできましたよ。」
「では、もう思い残すこと無く思いっきり飲めますわね。」
「ですね。ジュンさんもですよね。」
「フフフ、ですね。さっきユーが食べてたゆでダコが気になってたんですよ。」
ジュンさんと一緒に売店へ行く。もちろん、2人共、お目当ては生ビール。そして、ジュンさんはゆでダコ串と味噌田楽を、オレはポテトフライと味噌田楽を買った。
「カンパーイ。」
「乾杯。」
ゴキュゴキュゴキュ。プッハー。風呂の後のビールは最高だよね。
ポテトフライの塩加減がビールにあうんだわ、これが。もうビールが無くなっちゃったよ。
「オレ、ビール買ってきますけど、一緒に買ってきましょうか?」
「あら、お願いします。」
その後も、色々と駄弁りながら、3杯づつ飲んだ。
ちょっと気になることがあるんで、周囲に誰もいないことを確かめて、小声で聞いてみた。
「ジュンさんって、アルコールも消化吸収しないって言ってましたよね? 酔わなくてもビールとか酒って美味しく感じるんですか?」
「あら、だって、ノンアルコールビールだってありますよね? お酒類の味って、複雑で深みがあるから、シンプルに味として美味しいんですよ。」
「あ、そうか、ノンアルコールビールとかカクテルとかありましたね。ってことは、武蔵でもノンアルビールなら飲めるってことかな? いやぁ、オレの場合、ノンアルビール飲んだら絶対アルコールありビール飲みたくなって我慢できなくなる自信があるから、無理かな。」
「なんですか、その逆向きの自信は。フフフフ。」
「えぇ、絶対我慢できない自信があります。 アハハハ。」
更にビールがもう1杯追加されて、しょうもない話しでケラケラ笑っていると時間はもう17時に近くなってきていた。
「ユー、夕食は皆と17時半集合でしたよね? そろそろ向かった方が良いかもしれませんね。」
「あ、ホントだ。まだ服も着てないし、準備する時間もあるから、もう行きましょうか。」
更衣室でドライヤーで髪を乾かして、普段は使わないけど、置いてあると使っちゃうちょっと高級そうなヘアトニックをふりかけて、これも普段は使ってない乳液を顔につけてみたして、服を着て、建物の外へ出た。
少しするとジュンさんも出てきて、一緒に車に乗り込んだ。




