第64話 苫小牧港西ふ頭
「みなさん、おはよう御座います。」
ちょうど2人が食べ始めた頃、シオリも入って来た。
「トーストとゆで卵、コールスローサラダをお願いします。」
折角全員揃ってることだし、ここで軽くミーティングしちゃおうかな。
「みんな食べながらで良いんで、ちょっと聞いてもらえるかな。今日の予定なんだけど、今日は3日間の最終日なんで、昼過ぎには苫小牧港へ入ることになるんで、昼前位から艦橋待機をお願いするよ。」
「じゃ、お昼は皆で艦橋でお弁当だねー。」
「了解した。」
「了解です。」
「そうだ、シオリ、苫小牧のイッヌとツバメの状況ってわかるかな。」
「はい、イッヌは50機全部稼働中ですが、ツバメは残り37機です。」
「イッヌが健在ってことは千歳再占領は順調ってことだよな?」
レイナがシオリの方を向いた。
「そうですね、少なくともイッヌが攻撃されるほどの状況にはなってないですね。ツバメは一撃必殺の使い切り型兵装なので、減っていきますが、イッヌはバッテリーのある間は戦い続けますので。」
「千歳までの再占領が出来てたら、わたしたちも北海道に上陸できるかなー?」
「そうだな、北海道上陸、したいよな。」
ミズキとレイナが顔を見合わせて話している。
「状況次第だね、出来ることなら少しでも良いから陸に上がりたいよね。ま、いずれにしても、昼過ぎには状況が解るんで、とにかく、苫小牧入港へ向けて、昼前に艦橋集合ってことで、よろしくね。」
そう言って、食堂を出て艦内巡回をすることにした。
昼前、艦橋にあがると既に3人が揃ってた。
「お、3人揃ってるね。いよいよだね。」
「わたしたちの北海道上陸がかかってるからねー。あ、でも、まずはランチを注文しないと。ムサシー、配膳ロボット呼んでくれる?」
なんだか緊張感に欠ける気もするけど、まぁ、腹が減っては戦は出来ぬって言うしね。
「はーい、みなさーん。今日のランチメニューを発表しまーす。Aランチ、かつ丼、水菜のおひたし、ひじきの煮物、けんちん汁。Bランチ、カツサンド、菜の花のアーリオオーリオ、モツァレラチーズのベーコン巻、パンプキンスープでーす。」
勝負飯ってことで、どっちもカツなんだな。
「私はBランチお願いします。」
「アタシはがっつりかつ丼でAランチだな。」
「わたしはどーしよっかなー。Bランチにしよーっと。ユーさんは?」
「オレもAランチかな。」
「了解―。Aランチ2,Bランチ2、よろしくねっと。」
ミズキが配膳ロボットのタッチスクリーンで注文した。
かつ丼のとんかつと出汁の香り、パンプキンスープの濃厚なかぼちゃの香りを連れて配膳ロボットが戻ってきた。
さ、しっかり食べて、苫小牧入港に備えないとね。
いやしかし、このかつ丼も文句なしに美味いんだよな。甘めのかつ丼の後に、ちょっと苦みのある水菜のおひたしってバランスもバッチリだし、武蔵乗ってからオレの食生活レベルは確実に上がってるよな。これでビールが付けば完璧なんだけどな・・。
全員ランチを食べ終えて、食後のコーヒーも飲み終わった所で、目視でも苫小牧港が見えてきた。
「速力、第四戦速から第一戦速へ減速。左舷、苫小牧港岸壁手前で一旦停船。」
「速力、第一戦速へ減速、了解。」
シオリが復唱する。
無線の送信スイッチを入れる。
「こちら武蔵、現在、苫小牧港内へ進行中。岸壁手前にて一旦停船予定。」
『こちらたつなみ、武蔵、無事だったか! 現在、苫小牧から千歳まではロビスコの占領から解放済で、間もなく千歳空港での航空機発着が可能になるところだ。また、苫小牧港から半径50キロの海岸線も敵の脅威は排除済なので、安心して着岸して大丈夫だ。』
「武蔵了解、ただ、武蔵には着岸作業の要員が居ないので、西ふ頭から10メートルに停船します。上陸にはスロープを使いますので、着岸と同じですが、ホーサーで係留は不要です。」
『たつなみ了解。上陸次第、作戦司令本部へ来てもらえないか。』
「速力、第一戦速から微速へ減速。苫小牧港西ふ頭へ着岸用意。」
「微速へ減速、西ふ頭へ着岸用意了解。機関出力10%、微速へ減速。1番核融合炉定格運転モードへ移行。」
シオリがシステムに指示を出す。
サイドスラスタ―が動き出し、武蔵がゆっくりと苫小牧港西ふ頭へ近づく。
岸壁まであと10メートルというところで艦の動きが止まった。
両側のサイドスラスタ―がバランスを取って武蔵を岸壁からピッタリ10メートルの位置で停船させているんだな。
「シオリ、今回は兵装の件を話すことがあるかもしれなんで、同行してくれるか? あと、マリカーの準備を頼むよ。」
「了解です。左舷カタパルト扉開放、スロープ展開。マリカー発進位置でスタンバイ。」
メインモニターに武蔵の左舷と左舷扉からスロープが伸びていく映像が映し出される。スロープの先端が岸壁に着いた瞬間、あ、陸に繋がったって気持ちになるね。
「ミズキ、レイナ、後を頼むな。」
「行ってらっしゃーい。」
「ああ、任せといてくれ。」




