第51話 ツバメ
ミーティングが終わり、作戦司令部を出て、武蔵へ戻った。
艦橋に上がるとレイナの他に、シオリも居た。
「ユーさん、ミズキ先輩、おかえりなさい。」
「おかえり、ユーさん、ミズキ。」
「ただいま。あぁ、シオリも居るならちょうど良いな、今ミーティングしてきた内容を説明するよ。作戦司令部でたつなみ艦長の大隅1佐と作戦司令部の山喜3佐に会って話をしてきたんだ、結論から先に言うと、武蔵は予定通り日本海へ向けて出撃する。キタキツネの支援には、イッヌの追加配備と、対空用の兵装を置いていくことになったんだ。」
「イッヌ?」
シオリが顔をしかめた。
「あ、ほら、あの、えぇと、J4K-1って言いづらいから、イッヌって呼ぶことにしたんだ。作戦司令部でもそう呼ぶって。」
「自律型4脚式攻撃機の1号機、だからJ4K-1、これの何処が難しいんですか?」
「あ、そういう意味だったんだ、それは今知ったよ。でも、なんでローマ字読みなの?」
「自律型4脚式攻撃機の1号機、読んだまま音にしたほうが簡単だと思ったんです。それとも英語にして、Autonomous quadruped attack weaponでAQAW-1の方がわかりやすかったですか?」
いや、普通、それを瞬時に英訳して頭文字だけ並べるなんて出来ないから・・。
「シオリー、わたし、イッヌが好きだなー。」
「そうですか、ミズキ先輩がそういうなら、そうしましょうか。」
なんだよ、ミズキの一言で決まるのかよ。
「あとは対空用の新兵装が完成したところで出港しようと思うんだけど、状況はどうかな?自律ドローンだよね?」
「ドローンだと常にプロペラを動かし続けることになってバッテリー消費が激しいので、滑空して飛ぶツバメをインスパイアした、ドローンとツバメのハイブリッドにしてみました。ドローンとして上空へ上がって、あとは風を掴んで滑空して空中に居る、高度が下がってしまったときには又ドローンとして上空へ上がる、という感じですね。」
「へー、ツバメとのハイブリッド。それで、バッテリーはどれくらい持つの?」
「J4K-1、いえイッヌと同じ、3日間空中で稼働できます。」
「3日飛び続けるなんて、凄いじゃない。オレはてっきり対空戦時にだけ飛ぶようなドローンになると思ってたよ。」
「やはり離陸時に一番時間がかかるので、それだと迎撃にかかる時間が伸びてしまうんですよ。」
「上空で待機して迎撃ね、でも、いくらツバメの滑空速度とは言っても、音速ミサイルとかにも対応出来るのかな?」
「はい、弾道ミサイルや音速ミサイルにも対応できるように小型のロケットモーターも搭載してあるので大丈夫です。」
「そっか、万全だね。で、いつから配備できるの?」
「100機配備する予定で、あと数分で100機出来るところですから、もう随時発進させ始めてもても大丈夫ですね。」
「では、配備を始めようか。」
「了解、DTH-1、発進!」
シオリが指示すると左舷、カタパルトからDTH-1が飛び立った。
DTH-1はハイブリッドとは言っても、姿かたちはツバメそのままなんだね。
「シオリ、もしかして、DTHってドローンツバメ、ハイブリッド?」
「そうです!ついに命名ルールが解ってもらえたようですね。」
「うん、でも、これもツバメって呼んで良いかな?」
「もう皆さんの好きに呼んで下さい。」
シオリが諦めの表情だ。
ツバメが次々に飛び立っていき、上空に沢山のツバメがゆっくりと旋回している。
この光景だけ見てると、これが対空防衛の切り札とは思えないよね。
「最後、100機目が発進しました。」
シオリが振り向いた。
「了解、続けて、イッヌの追加配備も頼むよ。」
「了解、J4K-1イッヌ、発進。」
シオリの指示でイッヌ達がスロープを降りていく。
「イッヌは30機を追加配備。合計50機になりました。」
「了解、では、たつなみと作戦司令部に報告して、オレ達は日本海へ向かおうか。」
無線のスイッチを入れる。
「こちら武蔵、イッヌを追加で30機配備しました、これで合計50機です。
また、対空用の兵装として、ドローンとツバメのハイブリッド型の対空迎撃兵器を配備しました。今上空を旋回しながら飛んでいるツバメです。これは100機配備しました。」
『こちら作戦司令部、イッヌの追加配備を確認した。既に各小隊のイッヌと合流している。』
『こちらたつなみ、あのツバメが対空迎撃兵器だね、了解した。ちなみにスペックの概略は教えてもらえるか?』
「こちら武蔵、あのツバメはドローン機能で上空へ上がり、そこからはツバメのように風を掴んで滑空して飛び続けます。高度が下がればドローンを起動させて上空へ、それを繰り返しつつ、3日間上空待機します。また、対弾道ミサイル、音速ミサイルとして小型のロケットモーターも搭載してあります。」
『こちらたつなみ、3日飛び続けて、弾道ミサイルにも対応するのか。恐ろしいスペックだな、武蔵が友軍で良かったよ。』
「こちら武蔵、それでは本艦は日本海へ向けて出発します。3日後には戻ります。」
『了解、貴艦の武運を祈る。』
無線が切れた。




