第49話 方針
「結論として、武蔵をもっと色んな方面に強化していかないとならないってことですよね。」
何かを作って良いってなった時のシオリ、いや、これはエルダルン研究主任は本当に楽しそうな表情をするよな。
「わたくし、作戦を考えましたの。苫小牧の上陸部隊の援護は別部隊に任せて、武蔵は外からの進行を食い止める方が良いと思いますわ。」
「外から、と言うと、太平洋ですか?」
「いえ、距離的にも位置的にも、まずは日本海ですわね。ロシアはまだ抵抗を続けているようですが、中国、韓国はどうなっているのか。既にロビスコの手に落ちていれば、そこの艦艇が全て日本へ向かってくることになりますから。そうでなくても、日本海をクリアにしておけば、次に守るのは太平洋側だけ、ということになるので、武蔵単艦でも多少は守りやすくなりますね。」
「そうですね。でも、援護の別部隊はどうするのですか?」
「そこなんです、それをジュフラン大佐と話をしていました。今の所、対地上部隊用にはJ4K-1があるので、後は対空兵器が必要なのですが、ユーさん、何かアイデアは無いですか?」
シオリが聞いて来た。
「対空のアイデアですか、うーん。でも結局、武蔵の使命って突破口を作って、ある程度まで支援することで、その先は自衛隊で対応することになるんだから、上陸部隊の体制が整って、千歳を再占領するまでの間守り切れば良いってことですよね? それは数日で終わるはずだから、対空用の自律ドローンを数日分用意して置いておく、とかでどうでしょう?あくまでも、とりあえず、の対策として。」
「ユーもそう思いますか。わたくし達もそう考えていたのですが、念のためユーの意見も聞いておきたかったのです。それでは、全員意見が同じとうことで、これで進めましょう。」
「了解です、では私は工房へ戻って、早速対空用の支援メカの設計を始めますので、失礼します。」
ミーティングルームを出て行くシオリの目がキラっと光っていたことは言うまでもないか。
ミーティングルームのスピーカーから無線の声が流れてきた。
『こちらたつなみ、間もなく苫小牧港。』
帰ってきましたね、今回は、色々と話しをしないといけないことがあるな。まずは無事な入港、と。
「ムサシ、周辺海域と空域に索敵を頼む。」
『了解、敵の存在は確認できませんでした。』
「わかった、ありがとう。」
無線機のスイッチを入れる。
「こちら武蔵、現在周辺空域、海域ともに敵影なし。」
『たつなみ了解。』
「大隅艦長、現状と今後の作戦に関してお話させて頂きたいのですが、着岸後ミーティングの時間を頂けませんか?」
『もちろん、承知した。それでは作戦司令部で話が出来るように調整して連絡する。』
「武蔵了解。」
無線のスイッチを切ってジュンさんに向き合った。
「さっきの方針の通りで話をしてきます。一応確認でもう一度、次回、最後の資材搬送、千歳再占領を待たずに、武蔵は日本海へ向かい、敵艦隊の侵入を防ぐ、ただし、J4K-1等の稼働時間の問題もあるので、3日後には一旦苫小牧へ戻る。武蔵不在の間は、J4K-1、現在開発中の新兵装で上陸部隊を支援する。ですよね?」
「ですわね。新兵装がまだ出来ていないですけれども、さっきのシオリさんの目を見る限り、案は既にあるようですから大丈夫だと思いますわ。」
「ですね、オレは艦橋へ戻って入港支援とミーティングの準備をしますね。」
そう言って艦橋へ向かった。
艦橋にはレイナとミズキが居た。
「あれ、2人共、休憩はもう取ったの?」
「たつなみからの無線を聞いたからね、入港の時には支援しないとな。」
レイナが大きく頷きながら言った。
「そっか、それはありがとう。あ、そうだ、今後の方針が決まったんだ。武蔵はこの後日本海へ向かって、敵艦隊の侵入を防ぐことになった。」
「え?じゃ、ここの支援はどうるんだ?」
レイナがこちらを向く。
「ここの支援は今展開しているJ4K-1ってか、これ呼び辛いし覚えにくいから、『イッヌ』ってことにしないか? で、その他に対空用の新しい兵装で対応するんだ。でも、イッヌの稼働時間の問題があるんで、武蔵も3日後にはここに戻って来る、と。で、今からその話を作戦司令部でしてくるんだ。」
「えー、ユーさん上陸するんだー、いいなー。わたしも行ってみたいなー。」
ミズキが窓の外を見ながら言った。
「そうだよ、ミズキも一緒に行ったほうが良いんじゃないか? 艦長って、お付きの人みたいな人と一緒に居るってイメージじゃないかな?」
「あぁ、確かにレイナの言う通りかもね。じゃ、ミズキ、一緒に行くか。」
「はーい、行きまーす。」
『こちらたつなみ、いまから30分後、1900から作戦司令部でミーティングをしたいが如何か?』
お、ちょうど無線が入ったよ。
「こちら武蔵、1900作戦司令部でミーティング了解。」
「レイナ、艦は接岸させたくないんで、ラッタルは降ろさず、イッヌが使ったスロープを使って上陸することにするんで、艦の姿勢だけ注意して見ておいてくれるかな。」
「了解、まかせといて。」




