第47話 隠し味?
『内陸部より小型の飛行物体20機。攻撃ドローンです。』
「動き出したか。たぶん、敵さんは何か新しい戦術で来るだろうから、気を付けて対応しよう。戦闘システムセーフティーロック解除、オールウェポンズフリー。対空戦闘用意。」
「戦闘システムセーフティーロック解除、オールウェポンズフリー、対空戦闘用意了解!1番主砲、ウォーターガンモードで連続発射、目標敵飛翔体!」
クォォン、ヴババババババババババ
『ドローン全機散開しました。』
小さくて上下左右に素早く動くドローンに主砲のウォーターガンでは小回りが効かなくて、なかなか当てることが出来ない。これも武蔵の弱点か・・。
「えぇい、ちょこまかちょこまか動いて、全然当たらないじゃない!2番主砲もウォーターガンモードで連続発射、目標敵飛翔体!」
クォォン、ヴババババババババババ
1番、2番主砲がウォーターガンを撃ち続けているが、ドローンが落とせない。
ボンッ、ボンッ、ボンッ
岸壁の移動指揮所周辺が複数の爆発が起きて炎があがった。
『ロケットランチャーです。発射地点判明、メインモニターに映像写します。』
メインモニターには可搬型のロケットランチャーを背負った敵兵士が約10名が映し出された。
くそっ、対処が難しいものを組み合わせて来たってわけか、敵さんも馬鹿じゃぁないようだな!どうする?
自動ドアが開いてシオリが入ってきた。
「ユーさん、レイナ先輩、対ドローン用の攻撃オプションが完成したので使ってみて下さい。対ドローン液です、主砲のウォーターガンモードでドローンが飛行している上辺へ拡散モードで発射して下さい。」
「出来たのか、レイナ、頼む!」
「了解、1番主砲、ウォーターガンモード、弾を海水から対ドローン液へ換装、目標敵ドローン群上空!」
クォォン、バッシュッ。
上空に大きく広がって発射された液がドローンに降り掛かっていく。
お、ドローンのバランスが崩れてるのか、フラフラし始めたぞ。
ドローンが次々に落下し始めた。
「うん、成功ですね。」
シオリが大きく頷いた。
「凄いな、対ドローン液ってどうなってるんだ?」
「凄く簡単に言うと、粘度の高い液なんです。それがドローンの羽に絡まって、飛行できなくなるんです。」
「なるほど、そういうことか。で、粘度の高い液って何で出来てるの?」
「それは、マシュマロを溶かしてペースト状にしたものに、ネバネバを増やすために、よく混ぜた納豆とオクラのみじん切りを混ぜました。隠し味としてワサビと白ゴマを入れました。」
「えぇと・・ それって食べ物使わないといけなかったのかな? 粘度の高い液体って他にもあるよね?」
「そうなんですけど、液が地上に散らばるので、環境に優しいもののほうが良いと思ったんです。」
「あ、なるほど、それは納得。でもさ、隠し味って必要なのかな?」
「わたし、ワサビも白ゴマも好きなんですよ。」
・・それ、今関係無くない?
「ユーさん、次です。艦を岸壁に近づけて下さい。自律型4脚式攻撃機、J4K-1を出撃させます。」
「自律型4脚式攻撃機、それも新しい兵装だね、了解、ムサシ、艦を岸壁に近づけてくれ。」
「私がやりますよ。サイドスラスター始動、岸壁との距離10メートル地点で逆サイドのスラスターを始動、停船させて。」
シオリが自ら操艦した。まぁ、シオリというか、ヤギ、いや、エルダルン研究主任が作った艦だから、一番知ってるわけだしね。
艦が岸壁から10メートルの位置に止まったところでシオリが次の指示を出した。
「左舷、カタパルト開放、スロープ展開。」
左舷、甲板少し下の扉が引き戸のように開いた。ちょうど車が通れる位の大きさだろうか。そこから岸壁までするするっとスロープが伸びた。
「J4K-1出撃!」
シオリが指示すると、J4K-1が艦から出て、スロープを使って岸壁へ進み始めた。
その姿はイッヌ、犬、犬型のペットロボだよね? 外観もちゃんと犬だし。
「シオリ、これは、ペットロボ? だよね?」
「はい、原型にペットロボを使うことで開発工数を下げました。」
いや、そうなのかもしれないけど、この犬のデザインは要らないんじゃないかな、特に耳とか、この鼻とか・・。あと、なんでボディをブチ柄に塗装する必要があったのかな? あ、尻尾までついてるし。もうこれ、エルダルン研究主任の悪ノリだよね。
ペットロボが軍艦からスロープを伝って、何匹も連なってヨタヨタと歩きながら岸壁に向かってるって、なんてシュールな絵なんだよ、これ。
「うわぁっ」
びっくりした、上陸したとたん、J4K-1が猛烈ダッシュで走り出した。え?ペットロボってこんな風に動くんだっけか?
「走りだしたよ、それもメチャメチャ速いよ?」
思わずシオリに向かって呟いてしまった。
「はい、原型はペットロボですが、機能は軍用ですから。」
だから、軍用なら、耳とか尻尾は・・。
最後、20匹目の、いや、20機目のJ4K-1が上陸して猛ダッシュで走り出した。
岸壁から放射線状に広がって20機が走ってる。




