第42話 上陸部隊
『こちら作戦司令部、武蔵、まずは貴艦の支援に感謝を伝えさせて欲しい、ありがとう。我々は苫小牧港に仮設の司令部を設置中で、あと3回あさひの物資が届いた所で、千歳奪還へ向けて動く予定だ。それまでの間は、体制も兵装も不十分なので、貴艦の支援が必要だ。よろしく頼む。』
「こちら武蔵、対空、対艦、対潜警戒支援、並びに艦砲での地上攻撃で上陸部隊を支援します。」
『作戦司令部了解。』
無線が切れた。
「さ、対空警戒は続くし、たぶん、というか絶対、反撃が来るはずだから、コンディションイエローまでは警戒を緩められないけど、少しでも休憩をしておこうか。総攻撃を相手したんで疲れたでしょ。」
「うん、つかれたよー。こういうタイミングで、きっと来てくれると思うんだけどなー。」
ミズキが艦橋入口ドアの方を向いた。
スーッと自動ドアが開く。
ジュンさんだ。
「お疲れ様ね。こういう時には甘い物よね。」
「ほらー、やっぱりジュンさん準備してくれてたー。やったー。」
「ほほほほ、ちゃんと用意して待ってましたよ。ヒートアップした後には、ひんやりコーヒーゼリー、プチ贅沢に生クリーム乗せにしてみました。」
「うっわー、それ、いいー。緊張で喉カラカラの後は、のどごしツルってしたコーヒーゼリーが最高なんだよー。」
ミズキがめっちゃ喜んでる。
「今回のコーヒーゼリーは、苦みと甘みのバランスを取ろうとおもって、コーヒー豆を深煎りして、苦みを効かせてみたんですよ。」
「それは良いね、楽しみだな。でも、それだとミズキには大人味過ぎて難しいかもな。」
「ちょっとー、レイナ、何言ってるのー。一番子供っぽいのはレイナでしょー。今でもクマの絵が描いてあるパンツ履いてるのはレイナ位だよーだ。」
「はぁぁぁ、パンツの柄は関係ないだろ、大事なのは機能性だよ、機能性重視で選んだら、たまたまクマが書いてあったんだよ!」
「子供向けの機能性だよねー。」
「あの。。早く食べましょうよ、コーヒーゼリー。」
「ほらほら、一番若いシオリちゃんに言われちゃいましたよ。ふふふふふ」
ジュンさんが笑いながら、全員にコーヒーゼリーを渡した。
ここは艦橋なんだけど、戦闘中以外は女子高の教室みたいだよな、って、オレは女子高の教室に入ったことは無いんで、単なる想像なんだけどね。
コーヒーゼリーを貰って一口食べた。あ、本当だ、のどごしツルっとしてて、冷たくて、ビターな感じで、これは美味しいや。生クリームだから、変にしつこくない甘さなところが良いんだよね。
『こちらたつなみ、荷物の陸揚げが終わったので、青森へ向けて出航する。上陸部隊の支援をよろしく頼む。次の苫小牧入港は明日の早朝を予定している。』
「こちら武蔵、艦隊出航、了解。上陸部隊の支援を継続します。」
メインモニターには、ゆっくりと離岸していく輸送艦あさひの姿が映し出されている。
陽が落ちてすっかり暗くなった苫小牧港には、上陸部隊のテント回り、車両周辺だけに灯りが見える。
もっと敵からの反撃があるかと思ってたが、意外にも何も起きないので、交代で食事と仮眠を取ることにした。
最初に仮眠を取ったのがミズキとシオリ。深夜1時過ぎ交代して、オレとレイナが食事と仮眠へ向かった。
食堂で軽い食事をしながら、ジュンさんと雑談をして、部屋に戻って、お気に入りのベッドへ転がり込んだ。その瞬間。
『千歳方面から敵航空機30機。敵戦車26両の苫小牧港方面への進行を確認。』
ちぇ、寝そびれたか。
艦橋へ上がるエレベーターでレイナと一緒になった。
「レイナ、仮眠、残念だったな。」
「この恨み、しっかり返してやるんだから!」
レイナの目があきらかに不機嫌だ、こわいぞ、これは。
無線のスイッチを入れる。
「こちら武蔵、千歳方面からの航空機30機と、戦車26両の進行を確認。本艦は対空戦闘に入ります。」
『こちら作戦司令本部、了解。こちらは戦車の進入を阻止する。』
「武蔵了解。」
『敵航空機群から飛翔体60発の発射を確認。』
「きたね、よし、戦闘システムセーフティーロック解除、オールウェポンズフリー。対空戦闘用意。」
「戦闘システムセーフティーロック解除了解。」
「オールウェポンズフリー、対空戦闘用意了解!1番、2番主砲、高エネルギーレーザーモードで連続発射、目標敵飛翔体!」
クォォン、ブゥーン、 ババババババババババババァーン。
月の光しかなかった真っ暗な空をレーザービームの光が覆い尽くした。
『飛翔体、全弾迎撃しました。』
「ふんっ!」
レイナの目がまだ怖い・・。
『敵航空機は全機反転、戦闘空域から引き返しました。』
『敵戦車、発砲。遊軍戦車も応戦中です。』
「レイナ、戦車も頼む、ただ、手前に友軍戦車も居るので十分注意して欲しい。」
「もちろん、了解!1番、レールガンモードで単射。目標、敵戦車!」
クォォン、ブゥーン、 バァシィーン。
『主砲、弾着します。いま。』
ドグァァン。
大きな火柱があがる。敵戦車に命中したようだ。




