第39話 掃海
苫小牧港までもう少し、というところで無線が入った。
『こちらたつなみ。まもなく苫小牧に近づく。ここからは機雷の危険があるので、我々は、掃海艇やくしまを先頭にした単縦陣で着岸まで微速で進むが、貴艦には、機雷戦の装備はあるか? なければ、我々の単縦陣に入ることを提案する。』
艦底電磁バリアと指向性ショックウェーブで機雷戦も問題ないはずだけど、ショックウェーブは近くに僚艦が居た場合に悪い影響を与えないだろうか? 念の為確認しておこうか。
「ムサシ、ショックウェーブを使って機雷掃海する場合、近くに僚艦が居ても、影響はなかったかな?」
『僚艦であっても、艦にショックウェーブが照射されてしまうと艦体にダメージを与えてしまいます。照射システムにレーダーを連動させて、僚艦へ影響する可能性がある場合にはシステム的にショックウェーブの照射をロックするようにプログラミングを変更します。』
「プログラミングの変更?今から変更するのか?」
『変更完了。』
ありゃ、もう終わっちゃってるよ・・。仕事早いね、ムサシちゃんったら。
無線の送信スイッチを入れる。
「こちら武蔵、本艦はショックウェーブを使った機雷掃海が可能です。掃海艇よりも機雷処理が速いので、本艦が単縦陣の先頭になることを提案します。」
『え、ショックウェーブで掃海・・。 それであれば、貴艦を先頭に単縦陣としたい。』
「承知しました、それでは本艦が先行します。」
『たつなみ了解。』
「シオリ、ミズキ、頼んだよ。」
「了解、護衛艦隊の原速にあわせ、速度12ノットで先行。」
「掃海準備、艦底電磁バリア展開っ。ムサシ、機雷の監視をお願いねー。」
武蔵が武蔵としてかなりゆっくりと護衛艦隊の中を進むと、各艦の甲板から皆がこちらに手を振ってくれる。でも、うちは誰も甲板に居ない、というか、うちは艦橋に4人と食堂に1人の5人しか居ないからね あはは。
『前方1.5キロ、海底付近に機雷反応あり。沈底機雷と思われます。』
やはり機雷が仕掛けられてたか。
「ミズキ、頼んだよ。」
「了解!指向性ショックウェーブ、前方機雷に向けて照射っ!」
ドォォン。
前方の海面が爆発で大きく盛り上がった。
『機雷処理完了しました。』
無線が入った。
『こちらたつなみ、もう機雷を処理したのか?』
「こちら武蔵、はい、沈底機雷が仕掛けてありました。引き続き掃海を続けます。」
『右舷前方2キロ、海面付近に3個の機雷反応、あり。浮遊機雷と思われます。 左舷前方2キロ、海面付近にも3個の機雷反応あり。浮遊機雷と思われます。 』
うわ、しっかり仕掛けてあるな。まぁ、オレ達が苫小牧へ向かうことは想定済だろうから当然だとは思うけど、かなりの量を仕掛けてくれたよね。
「指向性ショックウェーブ、右舷前方機雷群に向けて照射っ!」
ドガガガァァン。
浮遊機雷が3個まとめて爆発したので、大きな赤い光と煙が立ち上がった。
「続けて、指向性ショックウェーブ、左舷前方機雷群に向けて照射!」
ドガガガァァン。
艦の針路前方で大きな爆発がありながらも進んでいる姿って、子供の頃見た戦隊もののオープニングシーンみたいで、ちょっと格好良いんじゃないか、なんて思っちゃったよ。
『前方2キロ、海底付近に機雷反応、3個の反応を確認。沈底機雷と思われます。海面付近にも機雷反応、3個、浮遊機雷と思われます。右舷前方、海面付近に機雷反応、3個、浮遊機雷と思われます。』
「ちょっと、バラ撒きすぎじゃないのー。どれだけ仕掛けても武蔵には効かないのになー。指向性ショックウェーブ、前方沈底機雷群に向けて照射!」
ドドドォォン。
ボコッと海面が盛り上がる。
「指向性ショックウェーブ、前方浮遊機雷群に向けて照射!」
ドドドォォォン。
「次っ、指向性ショックウェーブ、右舷前方浮遊機雷群に向けて照射!」
ドガガガァァン。
大きな爆発がおきる。
「ふぅ、おおかた片付いたみたいねー。ムサシ、念の為、再度苫小牧港までの航路の機雷を確認してね。」
ミズキが肩をくるくると回している。
『現在地点から苫小牧港岸壁まで、機雷は探知できませんでした。』
「おっけー、さんきゅームサシ。掃海完了っ!」
片付いたね、よしよし。無線の送信スイッチを入れる。
「こちら武蔵、現在地点から苫小牧港岸壁までの機雷掃海完了。 引き続き対空警戒を続けます。」
『こちらたつなみ、この速度を維持したまま掃海って・・ 掃海完了、了解。』
「ムサシ、対空警戒とあわせて、苫小牧港近辺の地上の監視も強化して。」
『了解、地上監視を強化します。』
『苫小牧港付近に車両多数。戦車20台、自走りゅう弾砲3台、その他車両24台。』
いるねぇ、これは全部こっちで引き受けないとね。
無線の送信スイッチを入れる。
「こちら武蔵、敵地上部隊を確認しました。武蔵は先行して敵地上部隊の排除にあたります。」
『たつなみ了解。よろしく頼む。』




