第36話 制海権
「ムサシ、海自、空自、陸自、全自衛隊の周波数を使って通信回線を開いて。」
『了解、通信回線開きました。』
「こちら武蔵、JMSDF-X01、現在北緯 41度30分、東経 140度40分、津軽海峡中心部にて対空警戒中。津軽海峡周辺の敵艦艇はすべて排除し、制海権を確保済。以降、本艦は自衛隊の北海道への上陸作戦を支援する。支援要請があれば連絡されたし。繰り返す、こちら武蔵、JMSDF-X01、現在北緯 41度30分、東経 140度40分、津軽海峡中心部にて対空警戒中。津軽海峡周辺の敵艦艇はすべて排除し、制海権を確保済。以降、本艦は自衛隊の北海道への上陸作戦を支援する。支援要請があれば連絡されたし。」
『こちら、たつなみ、JMSDF-475。貴艦は、武蔵? 貴艦の確認をしたい。貴艦の所属を送られたし。』
少し雑音が混じった通信で応答が来た。
まぁ、いきなり武蔵が最前線に出てきたら、そうなるよね。
「こちら武蔵、統合幕僚監部直属、独立遊撃艦武蔵、JMSDF-X01。」
『こちら、たつなみ。戦艦武蔵改造プロジェクトの武蔵か!遂に実戦投入されたのか!我々は現在、青森港にて陸自との共同作戦を準備中。以降、クローズ回線にて通話されたし。』
「こちら武蔵、クローズ回線への移行了解。」
作戦に関する話ならクローズの秘匿回線だよね。
「ムサシ、海自クローズ回線でたつなみにコンタクト。映像をメインモニターへ。」
モニターに作業服にライフジャケット姿のいかにもガッシリした体格の男性が映し出された。
『こちら護衛艦たつなみ、艦長の大隅1佐です。」
「武蔵、艦長代理の小笠原3佐です。」
『最初に確認させて欲しいのだが、貴艦が津軽海峡周辺のロビスコ艦をすべて排除したのかね? こちらが確認できただけでも潜水艦も3艦いたと思うが。』
「はい、海上艦21艦が沈没もしくは航行不能、潜水艦5艦は圧壊。海上艦からの航空機215機を撃墜し制海権を確保しました。しかし、北海道方面から航空機90機と対艦ミサイル2発の攻撃を受けたため、現在、津軽海峡中心部にて対空警戒しています。」
『はぁ? 21艦と潜水艦5艦? それを武蔵単艦で? 統合幕僚監部直属の改造プロジェクトだとは聞いていたが、そんなに強力な艦になっていたのか・・。 そうだ、貴艦の現在の任務を聞いてもよろしいか?』
「大隅1佐、ご承知の通り、我々は独立遊撃艦です。統幕からの司令は北海道の奪還とロビスコの排除で、具体的な作戦は武蔵に一任されております。津軽海峡の制海権を奪還した今、自軍の北海道への上陸を支援するべきであると考えます。」
『そうか、それは助かる。こんな驚異的な艦が支援してくれれば北海道上陸成功の可能性も上がるだろう。既にこちらの戦力はズタズタで、今、海自で稼働できる護衛艦は、我々たつなみと、しらなみ、ふじの3艦だけで、後は掃海艇のやくしまが残されただけ、今回の作戦で全艦を投入すると、もう護衛艦は無くなってしまうという散々な状況なんだ。』
「あ、先程岩手沖で、護衛艦あさかぜを救援しました。ロビスコ3艦を排除して、後部甲板の火災を消火した後、自力航行可能とのことで基地へ向かうとのことでした。」
『そうか!あさかぜが無事だったか、ありがとう!』
「消火できたとはいえ、かなりの火災でしたので、相当ダメージを受けているとは思いますが・・。」
『いや、今は1艦でも多く護衛艦が欲しいところだから、何としてでも修理をして復帰してもらいたい。 ところで、北海道上陸作戦だが、いつから、どのように支援してもらえるだろうか?』
「それは大隅1佐の作戦に従います。現在我々は武装の一部をメンテナンス中ですが、必要とあらば、今すぐにでも稼働できます。」
『単艦で制海権を取る大立ち回りをしたばかりなのに、もう稼働できるのか?燃料、弾薬等の補給は必要は?』
「今は、推進装置、砲塔の温度が制限を超えてしまったために冷却作業中ですが、上陸作戦の支援でしたら、十分に対応可能です。また、本艦は核融合炉が動力ですので、燃料補給の必要はありません。武装のメインは高エネルギーレーザーとウォーターガンなので弾薬の補給も必要ありません。いつでもいけます。」
『核融合炉でレーザー砲・・統幕は化け物を作ったのか・・。敵もまさか、こんな艦があるとは思っていなかっただろうから、情報収集、解析で手一杯だろう。今のチャンスを逃さず上陸作戦を仕掛けるべきだな。 よしっ、今から30分後に青森港から全艦出撃する。上陸、奪還目標は苫小牧港だ。対空警戒と苫小牧港敵地上部隊の排除を頼む。』
「30分後に作戦開始、上陸、奪還目標は苫小牧港、了解!」
通信が切れた。
「みんなも聞いた通り、今から30分後に上陸作戦が開始される。武蔵は引き続き対空警戒をしつつ、護衛艦隊とともに苫小牧港へ向かって、敵地上部隊の排除をする。あまり時間は無いけど、今のうちに少しでも休んでおこうか。」




