第33話 あさかぜ
『敵艦隊、針路を本艦へ向けて30ノットで向かってきます。』
「これでとりあえず、あさかぜへの攻撃は止まったな。あとは全部まとめてこっちで引き受けよう!」
「了解!まかせといて!」
レイナが右手親指を立ててオッケーポーズをする。
『敵艦隊、まもなく主砲射程距離に入ります。』
『敵艦主砲発射。着弾まで20秒。』
「おっと、撃ってきやがったな、よし、1番副砲高エネルギーレーザーモードで発射、目標敵主砲弾!」
クォォン、ブゥーン、バァーン。
1番副砲がレーザービームを発射。
「続けて1番、2番主砲、レールガンモードで発射、目標敵艦隊!」
クォォン、ヴァッシュッ。
大きな発射音と共に2主砲、6砲塔から一斉に鉄の矢が超高速で発射された。
ズバァン。
前方の空が真っ赤に光って大きな爆発がおきる。
『敵弾へ命中、全弾迎撃完了。』
「よしゃっ。」
『主砲、弾着します。いま。』
敵艦隊方向の海が赤く大きく光って爆発した。モニターには敵艦隊の艦が次々に火柱を上げる姿が映し出される。
『敵艦隊、1艦大破、2艦小破。』
「小破? 当たり所が良かったか! ラッキーだったな、でもこれで終わりだ!1番主砲、レールガンモードで発射、目標敵艦隊!」
クォォン、ヴァッシュッ。
『主砲、弾着します。いま。』
赤い光が更に大きく、明るくなった。
『敵戦艦、2艦大破、全艦航行不能。戦闘継続不可能、脅威は排除されました。』
「よし、戦闘完了!みんなご苦労様。このまま続けて、あさかぜの救援へ向かおう。あさかぜへ向けて速度微速。」
「速度微速、目標あさかぜ了解。」
シオリが復唱する
メインモニターに右舷後部から大きな炎を上げている護衛艦が映し出された。あさかぜだ、間に合ったのか?でもかなり炎上しているぞ。
「ムサシ、あさかぜの炎上を止める方法はなにかないかな?」
『主砲をウォーターガンモードにして、海水ではなく、消火剤を使い、威力を最低にして発射すれば消火可能かと思われます。』
「なるほど、それは良いね。ムサシ、あさかぜと通信回線を開いてくれるか?」
『了解、通信をスピーカーに回します。』
「こちら武蔵、敵艦の脅威は排除した。今から貴艦の炎上箇所に向けて消火剤を発射する。甲板、右舷後部の乗員に退避指示を願う。」
『こちらあさかぜ、えぇ?消火剤の発射?何をするのかよくわからないが・・ とにかく乗員退避の指示をする。』
「レイナ、準備を頼むよ。」
「了解、1番主砲、ウォーターガンモード、弾を海水から消火剤へ換装。」
『こちらあさかぜ、乗員の退避が完了した。』
「レイナ、頼む。」
「了解。1番主砲、ウォーターガンモード、出力最低で消火剤を発射。目標あさかぜ右舷後部火災部分。」
クォォン、バッシュッ。
主砲から消火剤が発射された。出力最低なので、さっきまでの攻撃とは全く違って、水鉄砲のような、やさしい軌道で消火剤があさかぜに向かって飛んでいく。
消火剤があさかぜに命中すると、炎が一瞬消えて、大きな黒煙があがった。これは火が消えた証拠だよな。でも、また炎が立ち上がった。一発だけじゃ消せないか。
「いい感じだな、レイナ、完全に消火できるまで続けて頼む。」
「了解、1番主砲、ウォーターガンモード、出力最低で消火剤を発射。目標あさかぜ右舷後部火災部分。」
クォォン、バッシュッ。
またしても大きな黒煙が上がる。でも、まだ少し、炎も見える。
「1番主砲、ウォーターガンモード、出力最低で消火剤を発射。目標あさかぜ右舷後部火災部分。」
クォォン、バッシュッ。
更に大きな黒煙があがって、炎はもう無くなったようだ。
「炎は見えなくなったな。どうする?」
「うん、確かに炎は見えないな。少し様子を見て見よう。」
『こちらあさかぜ、火災はすべて鎮火した。本艦は損傷あるものの自力航行可能なので、貴艦は任務に戻られたし。救援に感謝する、ありがとう、武蔵。』
「よっしゃぁ!」
「よかったねー。」
「間に合いましたね。」
3人がハイタッチしてる。
うん、間に合ってよかったよ。
「こちら武蔵、貴艦が自力航行可能の件、了解した。本艦は北海道の奪還、ロビスコによる脅威の排除のため、津軽海峡へ向かう。」
『こちらあさかぜ、武蔵の武運を祈る。武蔵ならやってくれると信じている、頼むぞ、武蔵!』
通信を終えた。
「みんなよくやった、あさかぜを守ることができたぞ。コンディションレッド解除、コンディションイエローに移行、目標津軽海峡、第一戦速。」
「コンディションイエロー。目標、津軽海峡、第一戦速。」
シオリが復唱する。
「あと数時間で津軽海峡に着く予定だから、今のうちに休憩しておこうか。たぶん、津軽海峡に着いたらしばらく休めなくなるから、仮眠とか取っといた方が良いと思うしね。」
「了解でーす、休憩行ってきまーす。ムサシ、あとよろしくねー。」
「そうだな、忙しくなるもんな、ちょっと仮眠してくるよ。」
「私も部屋へ戻ります。」
オレも部屋へ戻って、ベッドに横になった。このベッド、ふっかふかなのに適度に反発力があって、気持ち良いな。




