第32話 救援要請
「ねぇねぇ、ユーさん、相談があるんだけど。」
ミズキがシュークリームを手に持ったまま寄ってきた。
「ん?なになに、どうした?」
「あのね、統合管制AIのことなんだけど・・。」
え、早速、何か問題発生か?
「いつも『統合管制AI』って呼ぶの、なんか変だと思うんだ。だって、『統合管制AI』だって、わたし達の仲間なんだし、ちゃんと名前つけてあげよーよ。」
・・・なんじゃそりゃ。身構えて損したよ・・。
「それはアタシも思ってたんだ。『フレディー』なんて良いんじゃないか?」
「えー、それってレイナが神って呼んでるバンドの人の名前でしょー、それじゃパクリになっちゃうよ。わたしは『シロ』が良いなー。」
「はぁ?何言ってんだよ、『シロ』だってクレしんからだろ、それもパクリじゃんか。」
「えー、『しろ』は架空の名前だけど、『フレディー』は実在の人だから全然違うしー。」
「『フレディー』はスターにならない。伝説になるのよ!」
「シロもオラの家族、武蔵シロだぞ!」
えぇと、それはもう口喧嘩でも無くて、単なる有名なセリフを言ってるだけだよね・・。
「まぁまぁ二人とも、名前をつけるのは良いと思うよ。確かに『統合管制AI』って呼びにくいしね。シオリはどう思う?」
「そうですね、名前を付けるのは賛成ですし、名前なら『ムサシ』が良いと思います。まず戦闘中でも呼びやすいし、名前を忘れることもないですし。」
うん、ド正論かつド直球・・。
「うん、『ムサシ』も可愛いんじゃないかなー。」
「そうだな、力強いし、呼びやすいしな。」
ま、みんながそれで良いと思うならそれで良いけどね、確かに呼びやすいしね。
「では、『ムサシ』に決定ってことで良いよね。」
ミズキが食堂のAIコンソールに話しかけている。
「今日からキミは『ムサシ』だよー。これからも仲良くしようねー。」
『ムサシ、私はムサシ。よろしくね。』
よくわからないけど、皆で一体感があって、これで良いのかな?
あれ?そう言えば統合管制AIはプリマベーラのシステムと連携してるんだから、オレ達はプリマベーラのシステムに『ムサシ』って名付けて、友達みたいに接しているんだけど、それで良かったのかな。ま、良いか。
「フレディって言ってたら、ギター弾きたくなっちゃったよ。」
レイナがギターを持ち出してボヘミアンラプソディを弾き始めた。
へぇ、レイナのギター、かなりイケてるんだな。
ちょうどレイナのボヘミアンラプソディが終わったところだった。
『ヴワー、ヴワー、ヴワー。』
艦内アラームが鳴った。
『友軍周波数にて救援要請通信を傍受。繰り返します、友軍周波数にて救援要請通信を傍受。』
えぇっ、救援要請?
すぐにAIコンソールに指示を出す。
「ムサシ、無線をそのまま艦内放送で流して。こちらの音声も直接無線に繋いで。」
『了解。無線をつなぎます。』
『こちら護衛艦あさかぜ、JMSDF-512! 緊急、緊急! 我、北緯39度47分、東経142度05分 にて敵対勢力の攻撃を受けている! 砲撃による被弾あり! 直ちに支援を求む!』
「こちら武蔵、JMSDF-X01、了解! 被害状況を報告せよ、どうぞ!」
『こちらあさかぜ。え?武蔵?あの戦艦改造プロジェクトの?遂に実戦投入されたのか! 本艦は被弾して右舷後部炎上! 甲板に破損! 敵艦は東方120度、距離8カイリ にあり! 繰り返す、至急支援を求む! どうぞ!』
「こちら武蔵! 現在貴艦へ向かっている! 到達まで約10分! 状況を維持せよ、どうぞ!」
無線通信を終えて皆を見る。
「みんな、聞いての通りだ、僚艦あさかぜは絶対に守ろう!」
全員ダッシュで艦橋へ入った。
「ムサシ、状況は?」
『進行方向約250キロにあさかぜを捕捉。その先に敵艦3艦。敵艦隊も本艦をレーダー捕捉した模様。敵艦隊から航空機6機の発進を確認、こちらへ向かってます。敵ミサイルの有効射程距離まで約5分です。』
「よし、コンディションレッド発令、戦闘システムセーフティーロック解除、オールウェポンズフリー。対空戦闘用意。索敵、監視はムサシへ移譲。敵艦隊の映像をメインモニターへ。速度このまま、目標敵艦隊。全クルー戦闘配置。」
「コンディションレッド発令、戦闘システムセーフティーロック解除了解。」
「オールウェポンズフリー、対空戦闘用意了解!」
「索敵、監視を移譲、速度このまま目標あさかぜ、戦闘配置了解!」
『敵航空機から飛翔体12発の発射を確認。』
「12発!? 撃ちまくりやがって、よし、1番主砲、高エネルギーレーザーモードで連続発射、目標敵飛翔体!」
レイナがシステムに指示を出す。
クォォン、ブゥーン、 ババババァーン。
1番主砲からレーザービームが連射され、敵機方向の空がレーザービームで埋め尽くされたようになった。無茶苦茶な性能だな、これ。これで打ち漏らすはずがないよな・・。
『飛翔体に命中、全弾迎撃成功です。』
『航空機、間もなく主砲射程距離に入ります。』
「よっしゃ、次!2番主砲、ウォーターガンモードで連続発射、目標的航空機!」
2番主砲の砲塔が動く。
クォォン、ヴババババババババババ
2番主砲からウォーターガンが連射される。
『敵航空機、全機撃墜しました。』
「よしゃっ。」




