第24話 最終日
最終日、朝のラッシュが終わった時間からアキバへ向かった。流石に高校生がアキバに現れるには時間がまだまだ早すぎるんだけど、最終日だっていうプレッシャーで、なにか行動してないと落ち着かなくって、まだ人通りが疎らなアキバをメインストリートから裏通りまで歩き回っている。
メイドカフェ、いや、コンカフェなのかな、メイド服にネコミミをつけた、おっと、失礼、ネコミミが生えている女の子が立っていた。今までの経験的にこの子はレベル高いはず、だって、レベルとオレの個人的趣味はほぼ一致しているみたいだからね。本日一人目のチェックはこの子に決めた。ほほー、レベル9だ、高いけど、レベル10には届かなかったか、残念、結構タイプの子だったんだけどな。 もっとタイプの子を探さないとダメなんだな、タイプの子、タイプの子、と。
ふと、昨夜のジュンさんの『こんな子が嫁さんだったら良いな、なんて思ってたら、噛みますからね。』が頭をよぎった。あ、ヤバいヤバい、タイプの子探しじゃなくて、レベルの高い子探しだったよね。
ネコミミメイドちゃんの後は、あまり気になる子には遭遇できなくて、腹も減ってきたので、前回食べ損なったヨンボで牛丼を食べる事にした。
平日のランチタイム前だからか、店内に客はまばらだった。客層も常連客って感じで、写真撮ったり、店内をキョロキョロ見たりしてる人も居ない、落ち着いた雰囲気だ。こういう雰囲気なら、ゆっくりと『お皿』でも食べようかな、豆腐と白滝が入ってて、牛丼っていうよりすき焼きっぽくて、好きなんだよね。
食べ終わって店を出る頃には、行列まではなかったものの、店内はほぼ満席になっていた。ちょうど良いタイミングで食べられたんだね。
腹パンってことはないけど気持ち的に満足、満腹でちょうど心地いいな、世は満足じゃ。
気分の良いまま一旦駅前方面へ向かう。午後になって徐々に人も増えてきたんで、気になる子が増えてきてるしね。
夕方まで歩き回ってかなりの数のチェックをしたんだけど、レベル10は見つからなかった。これなら、午前中にチェックしたネコミミメイドちゃんのレベル9で妥協しても良いんじゃないかと思えてきたよ。
スマホが鳴った。ジュンさんからだね。
「もしもし、ジュンさん、どうしましたか?」
「ユー、お疲れ様。何かあった訳では無いけど状況を確認したかったのです。今日は最終日で明日には武蔵に乗り込みますしね。」
「そうですよね、それはわかってるんですけど、なかなか見つからないんですよ。あ、そうだ、レベル9の子は見つけたんですけど、もし、レベル10が見つからなかったら、その子でも大丈夫ですか?」
「うーん、それはちょっと難しいですわね、簡易的な適正可視化でレベル10にならないのであれば、わたくし達が適正確認をする時には、確実に候補者から外れてしまいますわ。」
「やっぱりそうですか、わかりました。では、もう少し探してみますよ。」
「お願いしますわね、地球の未来は武蔵プロジェクトにかかってるのですからね。」
「はい、なんとかやってみます。」
地球の未来とか、凄いプレッシャーだよね。オレ、自慢じゃ無いけど、存在感が無いだけじゃなくて、プレッシャー耐性も全く無いから、満腹、満足で心地よかった気分がすっかり萎えちゃったよ。
アキバにも夜の帳が下りて、すっかり暗くなってしまったけど、気になる子が見つからないので、19時過ぎまで駅前でチェックを続けたけど、流石にこの時間になると女子高生自体が少くなってしまって、残念だけど、諦めるしかなさそうだ。
武蔵に乗るのは、オレとあの2人だけなのか、と、どんよりしながら地元の駅まで帰って来た。とても食事を楽しむような気分じゃないけど、明日には武蔵プロジェクトが開始されるし、食べるだけは食べておかないと、ということで夕食の食べ物を探し始めた。
昨日のように総菜を買って帰ることも考えたんだけど、もう疲れマックスで総菜持って歩くのも、部屋で準備とゴミ捨てするのもイヤなのでサクッと食べて帰ることにしよう。何を食べようかキョロキョロしていると、ふと目に留まったのは家系ラーメン。これいいじゃないか、ここなら昨日、一昨日みたいにテーブルが料理で埋め尽くされるようなこともないし、サクッと食べて帰れるしね。
店に入ると直ぐに自販機があった。なになに、麺大盛無料、ライスサービス。なるほど、いいじゃないか。折角だからチャーシュー麺にしてみよう。そして無料なら麺大盛以外の選択肢は無いよね。カウンターに着席して数分後、チャーシュー麺が出てきた。
「はい、チャーシュー麺大盛お待ち! サービスライスはどうしますか?」
「あ、お願いします。」
「はいよ!」
オレの前に、チャーシューがぎっしりと敷き詰められた大きなラーメン丼と、マンガみたいにこんもりと盛り付けられたライスが揃った。
うん、オレはフードファイターの運命からは逃れられないんだな。




