第14話 クルーは?
エレベーターをおりると、いつものアイツが緑ランプを点滅させながら待っていた。いつものアイツ、と言っても、多分同じロボットが何体もあるんで、同じヤツなのかはわからないんだけどね。
四足歩行ロボットに続いて進んでいくと、『ミーティング1』と書かれたドアの前で止まった。
「ユーサマ。コチラ、デス。ドーゾ。」
はい、どうもありがとうね。
ドアを開けると、中は6人掛けの机が1つだけある小さめなミーティングルームで、ネッコとトラ、じゃない、ジュンさんとオルフェン少佐が座っていた。
「ユー、テレビで見てもらった通り、ロビスコが北海道の占領を開始してしまいましたわ。わたくし達も対応を開始しないといけません。」
そう言いながらジュンさんがオレにジュンさんの隣の椅子に座るように手で合図をした。
「先ほど技術開発部に確認してきましたが、武蔵の準備は順調に進んでいるそうで、あと1週間で完成とのことでした。その1週間のうちに、我々が日本政府、防衛省、自衛隊幹部の情報操作を終わらせますので、こちらの戦闘開始は1週間後、ということになります。」
オルフェン少佐がオレの顔を見ながら言った。
「えぇっ?たった1週間で戦艦が出来るんですか?」
「はい、エルダルン研究主任がそれはもうノリノリで制作を進めてまして。」
あ、確かに、あの人なら、こういう趣味的なことは全集中でやりそうだな・・。うん、ちょっと共感できちゃうな。
「そういうことですで、わたくしとオルフェン少佐は明日から情報操作工作のために地球へ行くことになりました。」
「ちなみに情報操作って、どんな情報に書き換えるんですか?」
「まず最初に自衛隊幹部に、今から15年前に極秘に『戦艦武蔵改造プロジェクト』が発足していた、という記憶と記憶を書き込みます。 そして、防衛省には極秘プロジェクトに関連する資料を記録の中に残します。最後に日本政府ですが、こちらも極秘プロジェクトを承認したという書類を作って記録の中に残して準備は完了です。」
オルフェン少佐が左手の前に表示されている仮想ディスプレイのようなものを操作しながら説明してくれた。
「ここから先は、あくまでも想定なのですが、この1週間の間に残念ですが北海道は占領されると予想されています。そうなると自衛隊は防戦一方で、それもロビスコ相手では時間稼ぎにもならない状況のはずなのです。そこに武蔵を出撃させて、ロビスコを撃退する、という筋書きです。」
「それはまたドラマチックな登場になりますね。」
「狙った訳じゃないですけど、結果的にそうなりますわね。ところで、次の問題は、武蔵のクルーです。今のところ、決まってるクルーはユーだけなんですけど、他のクルーはどうやって集めましょうか?」
「え、ちょっと待って下さい、オレって武蔵に乗るんですか?」
「それはそうでしょう。特にユーの場合はエージェントでもあるし、プリマベーラと連絡が出来る唯一の人ですしね。」
なんとなく予想はしてたけど、やっぱりオレが乗るんだ・・。
「まぁ、それはそうですよね。。で、確かに、他のクルーってどうしましょうか? プリマベーラの警備部の皆さんとかはどうですか? ジュンさんみたいに人間の姿になれば問題ないですよね? それに軍人さんだし、バッチリじゃないですか?」
「それが、そうでもないのですよ。彼らはエーデルシュタイン連邦の軍人で、わたくし達の武装を使って、わたくし達の戦い方という条件ではプロ中のプロですが、地球での戦い方、言ってしまうと古代の戦争のやり方では素人同然なのですよ。」
ジュンさんが目線を落とした。
「古代の戦争・・。まぁ、確かにそうですよね・・。 ということは、地球の人の方が望ましいってことになりますか? 経験者となると自衛官とかから集める感じですかね?」
「どうなんでしょうね? 経験者だと経験と常識に囚われてしまうかもしれないので、逆に全然未経験だけど素質あり、という方が良かった、なんてこともあるかもしれないですね。」
こんどはオルフェン少佐が答えた。
「なるほど、それもありですね。うーん、人選って難しそうですね・・。」
「いえ、大丈夫です。人選はユーに一任しますので全然心配ありません。よろしくお願いしますね、ほら、わたくし達は情報操作工作があるので、ね、オルフェン少佐。」
ジュンさんとオルフェン少佐がニヤっと笑った。
あ、逃げた・・。心配無いって、あなた達は心配無いのかもしれないけど、オレには心配以外の何も無いでしょ。
ちょっと姉さん、聞いて下さいよ。この人達ったら、肝心な所で綺麗に逃げましたよ。オレってば責任重大っすよ。
「では、一旦話を纏めましょうか。反撃開始は1週間後で、技術開発部が武蔵を準備する、わたくしとオルフェン少佐が情報操作工作を完了させる、そして、ユーがクルーを集める、でよろしいですね?」
いや、ちっともよろしくはないけど仕方ないんだよね・・。




