第113話 出航『自由の女神』
『こちらたつなみ、上陸作戦は成功した。周囲に敵の脅威無し。以降上陸部隊は周辺域の敵脅威の排除にあたる。』
「こちら武蔵、上陸成功了解。以降、本艦は統幕の指示により、別任務につくため、出航します。今後の『ツキノワグマ』の成功と貴艦隊のご武運をお祈りいたします。」
『そうか、武蔵は行ってしまうのか、それは寂しいな。それよりも苫小牧、小樽、函館、そして釧路、本当に貴艦の支援に感謝する。我々も貴艦のご武運を祈る。また次に何処かで会えることを願っている。気を付けて。』
「ありがとうございます。行ってきます。」
無線が切れた。
「よし、これで『キタキツネ釧路』は成功して終了だ。コンディションレッド解除。そして、1時間後に『自由の女神』を開始しよう。」
「了解、艦内コンディションレッド解除。」
シオリがムサシに指示した。
「軽く夕食食べたけど、これから次の作戦始まるから、今のうちにちゃんと夕食食べとこうかっなー。ねー、食堂行かないー?」
「オレも食堂行くよ。」
「私も行きます。」
3人組が艦橋を出て行った。
鶏缶飯、美味かったけど、量は十分ってわけではなかったしね、オレも食堂へ行こうっと。
食堂に入ると、3人組の他に、『自由の女神』チームの3人も居た。
「あれ、全員揃ってたんだね。」
「お疲れ様でした、小笠原艦長。」
『自由の女神』チームの3人がオレの方を振り返った。
「ユーさん、もうすぐパエリアが出来るんだよー。」
「え?パエリア? 良いじゃない、オレ好きだよ。 でも、何でパエリアなの?」
「ほら、『キタキツネ釧路』成功のプチパーティーだからだよー。」
「はいはい、出来ましたよ。今夜はスペイン料理。シーフードパエリア、牛ほほ肉の赤ワイン煮、スペイン風オムレツ、エビとマッシュルームのアヒージョ、小イカのフライ、ペンネとカリフラワーのオーブン焼き、トマトの冷製スープです。あとでデザートも持って来ますからね。」
ジュンさんが配膳ロボを連れて料理を持ってきてくれた。
「うっわー、すっごーい。美味しそー。」
「アヒージョのニンニクとオリーブオイルの香りが良いね。」
「美味しそうです。」
3人組が早速料理の前に集まった。
「これは美味そうだね、早速頂こうよ。ほら、宮本さん、杉本さん、吉田さんも。」
「武蔵ではこんな凄い料理が出るんですか。驚きました。」
「艦艇勤務は地上よりも食事に拘りがあるのは知ってましたが、これは想像以上ですね。」
「今まで食べたことないですよ、こんな料理。びっくりです。」
『自由の女神』チームも料理の前に集合だ。
「ねーねー、ユーさん、乾杯しよーよー。」
「そう? じゃ、『キタキツネ釧路』の成功と、『自由の女神』開始にカンパーイ。
カンパーイ。
食堂の中が今まで以上にワイガヤで盛り上がっている。
オレとしては、これにワインがあれば、文句無いんだけど・・。
「はい皆さん、デザートも出来ましたよ。チュロス、アーモンドケーキ、カスタードプリン、どうぞ召し上がれ。」
デザートの登場で人数比は2倍なのに、なぜか盛り上がり比は3倍位になってる女子チームが更に熱気を増した。
女子って甘い物好きなんだな。これって、オレが生ビールの大ジョッキを見た時と同じような感じなのかな。
スペイン料理プチパーティは大盛況だった。
時間はそろそろ1時間。全員で艦橋へ上がることにする。
『さ、『自由の女神』を始めようか。武蔵、出航準備。」
「了解、核融合炉、1番、2番共に定格出力中、異常なし。ウォータージェットシステム正常。」
「航行システム、戦闘システム、防衛システム、オールグリーン。統合管制AIとの接続を確認。武蔵、発進可能ですっ。」
シオリとミズキで出発シーケンスが進む。
「それでは武蔵、発進! 微速前進!」
「了解、機関出力10%、武蔵、微速前進。」
シオリの指示で武蔵がゆっくりと動き出す、遂に海外進出だ。
「武蔵、ベーリング海へ向けて速度30ノット。」
「30ノット、第一戦速了解。」
シオリが指示する。
『現在釧路港から10キロ。』
「よし、もう全速力で良いだろう。武蔵、ベーリング海、北極圏へ向けて最大戦速、さらにオプション最大。」
「了解、1番核融合炉、最大出力運転。艦底電磁バリアを艦首部分に展開、武蔵最大戦速、電磁推進装置を前方方向へ最大出力。船首サイドスラスターを下後方へ向けて全開。目標、北極圏。」
シオリの指示で武蔵が大きく身震いして加速が始まる。そして甲板には台風が上陸した。
「さぁ、後は一路ニューヨーク、航海はムサシに任せて、オレ達は部屋に戻ろうか。」
皆で艦橋を出た。
部屋に戻ると、直ぐにベッドに飛び込む。最近、自分のアパートより、ここのベッドの方がフカフカだし、温度、湿度も完璧だし、なんだか落ち着くようになってきたな。
風呂にも入りたいけど、まずはゲームやっとこうか。
気持ちいい布団にくるまってると、段々とアイツがやってくるんだよ、そう睡魔が。
あ、風呂まだだけど、ま、いいか、寝ちゃおうっと。




