第111話 釧路港まで40キロ
「交代だよ。」
レイナが艦橋へ入って来た。
「イェイ、後よろしくー。」
ミズキがレイナとハイタッチして艦橋を出て行った。
しばらくしてミズキを見ると、普段通りにエアギターソロライブが始まっていた。
左手クネクネ、右手ガシャガシャで上体を揺らし続けてるミズキの姿を見ると、ここが戦艦の艦橋だとは思えなくなってくるよな。うん、平和が一番、だよ。
「ムサシ、現在位置は?」
『石巻沖80キロを75ノットで航行中です。』
そろそろ工程の半分を過ぎた感じかな。
そのままレイナのソロライブが2時間以上続いていた。しっかりとワンライブ決めたって感じなんだろうか。
『間もなく襟裳岬沖を通過します。釧路まで約140キロです。』
「了解、ムサシ、釧路港まで40キロの地点になったら艦内にコンディションレッドを発令してくれ。」
『釧路港まで40キロ地点で艦内コンディションレッド発令、了解。』
「さ、レイナ、そろそろだな。」
「うん、あと1時間位ってところだよね? ところで『キタキツネ釧路』が終わったらすぐに『自由の女神』が始まるの?」
「そうだね、釧路奪還以降の北海道奪還は地上部隊がメインになるから、オレ達が出て行くシーンは無いからね。それに札幌、道南、函館が奪還出来てれば、後は釧路さえ奪還できれば、おおかた終わったようなものだしね。」
「そっか。でもさ、北極圏を進むって、ちょっと怖い感じもするよね。」
「まぁね、イメージ的にも氷の世界だもんね。でも、オレ達は武蔵だから、大丈夫だよ。」
「まぁ、そうだよね。武蔵だもんね。」
『ヴワー、ヴワー、ヴワー。』
艦内アラームが鳴った。
『艦内コンディションイエロー発令、間もなく釧路港から40キロ地点です。艦内コンディションイエロー発令、間もなく釧路港から40キロ地点です。』
直ぐにシオリとミズキが艦橋へ上がって来た。
「そろそろ釧路港だから30ノットまで減速しよう。」
「了解、電磁推進装置停止、艦首サイドスラスター停止、艦底電磁バリア停止。第三戦速まで減速。」
シオリが艦の速度を落とすと、久しぶりに甲板台風の勢力が落ちて、いつもの甲板の様子が見えるようになってきた。
『ヴワー、ヴワー、ヴワー。釧路方面から敵対艦ミサイル40発。』
「敵さんも、次にここが狙われてることは十分に分かってただろうから、準備万端、全力で守って来るんだろうね。それでも、やるしかないから、コンディションレッド発令、戦闘システムセーフティーロック解除、オールウェポンズフリー。対空戦闘用意。索敵、監視はムサシへ移譲。全クルー戦闘配置。」
「コンディションレッド発令、戦闘システムセーフティーロック解除了解。」
「オールウェポンズフリー、対空戦闘用意了解!」
「索敵、監視を移譲、速度このまま、戦闘配置了解!」
『敵対艦ミサイル、主砲射程距離に入ります。』
「レイナ、頼むぞ!」
「了解!1番主砲、高エネルギーレーザーモードで連続発射、目標敵対艦ミサイル!」
クォォン、ブゥーン、 バァーン。ヴババババババババババ。
『敵対艦ミサイル全弾迎撃しました。』
「よし、終わり!」
『釧路方面から敵航空機30機。速度からヘリコプターだと判断します。』
「レイナ、次も頼む。」
『敵航空機から飛翔体60発の発射を確認。』
「1番主砲、高エネルギーレーザーモードで連続発射、目標敵飛翔体!」
レイナがシステムに指示を出した。
クォォン、ブゥーン、 ババババババァーン。
1番主砲からレーザービームが連射され、前方の空一面が爆発と煙で覆われる。
『飛翔体、全弾迎撃しました。』
「それじゃ、本体のほうも行くよ!2番主砲、高エネルギーレーザーモードで連続発射、目標敵航空機!」
クォォン、ブゥーン、 バァーン。ヴババババババババババ。
『敵航空機、全機撃墜しました。』
『続けて釧路方面から敵対艦ミサイル20発。』
「くそっ多いな!でも、まだまだだ! 1番主砲、高エネルギーレーザーモードで連続発射、目標敵対艦ミサイル!」
クォォン、ブゥーン、 ババババババァーン。
『敵対艦ミサイル全弾迎撃しました。』
「ふぅ、終わりっと。」
『右舷前方1.5キロ、海面付近に5個の機雷反応。浮遊機雷と判断します。 左舷前方2キロ、海面付近にも5個の機雷反応あり。浮遊機雷と判断します。』
「そりゃそうだ、機雷も仕掛けてあるに決まってるよな、ミズキ、頼むぞ。」
「了解、掃海準備、艦底電磁バリア展開っ!指向性ショックウェーブ、前方機雷に向けて照射っ!」
ドガガガァァン。
浮遊機雷がまとめて爆発する大きな赤い光と煙が立ち上がる。
「はい次! 指向性ショックウェーブ、左舷前方機雷群に向けて照射!」
ドガガガァァン。
『前方2キロ、海底付近に機雷反応、5個の反応を確認。沈底機雷と判断します。海面付近にも機雷反応、7個、浮遊機雷と思われます。右舷前方、海面付近に機雷反応、8個、浮遊機雷と思われます。』
「あちゃー、めっちゃバラ撒いてるあるわー。どんどん行くよー、指向性ショックウェーブ、前方沈底機雷群に向けて照射!」
「指向性ショックウェーブ、前方浮遊機雷群に向けて照射!」
「まだだぁっ、指向性ショックウェーブ、右舷前方浮遊機雷群に向けて照射!」
ドガガガガァァァァァァァン。
前方海面一面で大きな爆発がおきた。




