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2話

はいどうも、俺です。



吾輩は俺である、まだ名前はない……哲学かな?



『ねえねえ、あるじ〜

あるじってお名前なーにー?』



俺の横をトコトコ四足歩行で歩く黒狐のタマモちゃん。


性別は今だにわからないが、念話での声は幼女よりの少女って感じだ。



「いや、俺は名前ないよ。

まあしばらくはナナシって名乗ろうかな?」


『うーん、あるじはあるじなの!』


この名前に関する押し問答はなんだったのやら?



「ははは、まあタマモはこれからもそう呼んでくれよ」


『はいなの!』




俺とタマモは特に他愛もない世間話をする。


歳的にはそう離れていないので、兄弟ってよりは親友って距離。


タマモも俺と同じで友達がいなかったからお互い新鮮だった。


俺が道端の小石を蹴ればタマモのそれに合わせて前足で蹴る。


どっちが遠くまで蹴れるかでは石がなくなるので、前に進みながらキャッチボールだった。



件のブレスレットについてだが、あれも黒く色が染まった。


でも白かった時よりつけていても苦しくはない。


これはタマモと親交を深めたからだろうか?


本人に聞いても、『わからないの〜』とはぐらかされる。



そしてこのブレスレットを使うと、イメージ通りの姿に変わった。


それは二回手で擦るだけ。


すると脳内にあらかじめインプットされた姿がそのまま俺の姿も変化する。



その能力はタマモ曰く、白かった時尻尾があった時使えた能力だとか。


今も九本揃っているけど、肝心の異能が発動しないらしい。



ちなみに俺の姿は今世の中性美形に前世の悪人面を足して割った姿だ。



まあ美形だけは外せないので、イケメン版前世のプライスレス。


整形なしで理想の姿になれる。


まあ今世の姿は色々女に襲われてトラウマなので隠すことにした。



ブレスレットの能力についてはこれくらい。



さて、次は俺の力とタマモの力について。



まず俺の力をおさらいするが、俺には生まれ持っていた謎の光。


それは最初気づいた時はまた白い光だったのだが、村への憎しみが湧くほど色が変色していき、気づいた時には紫色の禍々しい光だった。



だがこんな禍々しい光でも効果は的面で、当てたところや光らせた箇所を瞬時に治療。


昔村で嫌がらせに呪いアイテムをつけられた時も瞬時に完治したので、これは回復チートだろう。



さらに後から覚醒したが手のひらの紋章から剣を召喚する能力。



これで召喚される剣は魔物や人の血を吸うことで特異な剣へ変化する。


また、質の良い武器を吸収させることでもランクは上がるようだ。



まだ未確認だが、一番下が小、今の剛剣と毒剣が中なので、他にも上があるはず。



剛剣の能力は筋力の強化。


これを持てば俺は中位モンスターレベルの筋力を得られる。


モンスターで言えば最弱と言われるゴブリンの上位種でオークと言ったとこか?



また毒剣の方は、ポイズンスパイダーが使っていた毒の能力が使える。


これは応用が効きやすいし、何せわかったことだが、別の剣使用中でも他の剣の能力を扱える。



例えば剛剣を使ってる間に手から簡易毒を出したり、毒剣を使ってる時に力持ちにもなる。



さて、タマモに能力について。


知っての通りタマモは黒い球体の必殺技が撃てる。


と言っても、数日に一回限定の技らしく。


全快して黒い妖魔獣ってのになってからようやく撃てるようになった技みたいだ。



だがそんなタマモにももう一つ特異能力があった。



それは、



『あるじ!右の草むらからなんか出るの!』


というタマモの忠告に備えて、俺は魔剣を召喚する。


選んだ魔剣は筋力の剛剣。


ランクは相変わらず(中)だけど。



剣を構えた瞬間、草むらから飛び出してきた。



それは緑の肌で鉤鼻が目立つ、6歳の俺よりも小さい。


だけど筋肉が程よくついてるそいつは、ゴブリンだ。



ゴブリンたちは3体、手には少しボロい短剣を持っていた。



実はタマモには負の感情を読み取る力があり、それを元に察知して危険なモンスターや盗賊すら感知できる。



それは殺人歴のような負の業に、悪意など。



またタマモはこの能力で人の不幸すら感じ取れる。



だがこのゴブリンたちは、きっと殺人のような負の気配だろう。



俺は少し力むけど剣を我流で構える。


厨二ぽい構えは見せかけだけなので意味はない。



前世の高校時代授業でやった中段っていうのだろうか?


左手を軸に構えてみる。



ゴブリンたちも俺に警戒して、独特な構えをしてジリジリ寄ってくる。



まずは毒剣の効力で手のひらから毒を放つ。


それを取り巻きのゴブリンの足元へ。


そしてゴブリンたちは麻痺毒が効いたようで鈍くなる。


そこで真ん中のゴブリンに剣を振りかぶって降ろした。



剣は意外と切れ味良くてそれと筋力が合わさりゴブリンを縦真っ二つ。



そしてすかさず、両端の取り巻きを切り裂いた。


首がすっぱり切れて、その勢いでもう一体両断して、そこにあった木を切り裂いた。



木に挟まり抜けないので、一度剣を解除する。



そしてまた召喚すると、ゴブリンの死体に刺してみた。



【邪鬼の巧剣(小)】を獲得する。


効果は手先がやや器用になる。



だけど別に魔剣以外使わないので、武器系統には役に立たない。



だからどっちかと言えば、物作りに役立てるだろう。



何を作るか迷うけど、でも錬金術はきっと無理だろう。



何故なら錬金術系統は魔力を使うのだ。



俺は魔法の教養すら受けていないし、魔力の使い方がよくわからない。



一説では幼少期より使い慣れないと、一生使えないかもって言われている。



詰んだ。




まあさておき、新しい魔剣を手に入れたし、このまま道を進んで近くの町へ向かおう。



この近く付近は、ダリット領と呼ばれる子爵領の反対側で、アルット領という男爵が管理している町がある。



その町は王国でもそこそこ栄えていて、王都に向かうために通る町だ。



王都へは要はないけれど、一応この時代の都会に触れてみるのもありかもしれない。




森付近を抜けて、ようやく人工物が見えてきた。



このファンタジア王国は森ばかりで、公爵領とされている場所は海運が盛んらしいけど。



だけど水もなかなか高価で前の村ですら風呂が入れなかった。



辛うじて雨水で体を拭いていた。



きっと垢が溜まっているだろう。



まあ一応擦っていたので綺麗だと思うけれど。




整備された道を進んでいくと、珍しくゴブリンが町近くの道で盗賊ごっこをしている。



ゴブリンを頻繁にみるけれど、これって普通なのか?



とりあえず助太刀するか?


恩は売って置いて損はない。



でもなぁ……無償で助けるなんて俺のプライドが許さない。



『あるじ〜』



とタマモが俺のズボンの裾を引っ張る。



「どうした?」


するとタマモはその動物の顔だけどわかりやすく、少し悩んでいた。



『あのねー、あの馬車には悪い気配しないけどうーんあるじは大丈夫かな?』



「どうした、勿体ぶらず言ってくれ」



『うーん、あの馬車は女の人の匂いがするの。

あるじ女の子苦手でしょ?』



「まあーなー」



確かに、あれは村人じゃないから違うってわかるけど、遠くから見える服装の布面積が少ない女性たち。



助けても良いけれど、関わりたくない。



それに無駄な努力だろうし誰が死んでも俺は知らない。



まあ流石に寝て起きて目覚めが悪くなるだろうから……



「蜘蛛の毒剣……」



俺は毒剣を召喚すると、射撃の構えをする。



そして狙いを定めて、89式風の狙撃をしてみる。



毒をピンポイントで放ち、ゴブリンの集団に命中させる。



そして動きが鈍くなったゴブリンに疑問を感じつつ、女性たちはゴブリンを殲滅した。



俺が下手に関わって力が露見するのは控えておきたいし、あんな卑猥な格好の女どもに恩を売ってもなぁ……



もっとさぁ、清楚っていうのかね?


あの冒険者?たちはダンスユニットにいそうな外見。



そう、せめてアイドル?いや美人女優ほどの美人なら関わっていきたいけれど。



まあ、今の俺は6歳だしまだ早いなぁ。




さて、冒険者たちが町の城壁に入った頃を見定めて、ちょっと時間を食ったけどようやく門前へやってきた。




「ちょっと待ちな!」



俺は門を潜るため近くによると、門番二人に通せんぼされる。



「俺は、森の向こうの聖域前村より来ました。」



「ぬ?君は見たところ子供だろう?

あの森はランクは低いがモンスターが出るはずだよ?」



「はい、ゴブリンには遭遇しました。」



「なんだって?

今も冒険者たちからゴブリンの集団に接触したと報告があったぞ!

この間ゴブリンは間引かれたはずなのに……」



「まあ出たと言っても3匹程度でしたよ?」



「へ!?よく無事だったね!

ゴブリンは最下級とは言え群れると厄介なんだよ?

それに逃げ切れるなんて、余程運がいいのか、足が早かったのか」



「へ?倒しましたけど?」



「ははは!

面白い冗談言うね!

君は見たところその狐君をテイムしているようだけど手ぶらじゃないか」



あー、これは素直に言ってもややこしくなるだけだ。



「あ、いえ。

僕の従魔のタマモが牽制してくれたにで逃げられました」



「なるほど、君の従魔は優秀なようだ。

一応、聞くけど身分証はあるかな?」



「いいえ、ありません」



「となると、通行料がかかるが銀貨二枚だね」


「これで良いですか?」



俺は事前に村から盗んだ硬貨を取り出して門番に渡した。



「ああ、確かに。


それと身分証はギルドで発行するといい。


それに従魔もギルドで登録して証をもらうことだね。


黒い狐なんて珍しいから、厄介な無法者に目をつけられたらたまったもんじゃないからしっかり用心することだよ?」



「ご丁寧にありがとうございます」



なかなか親切な門番もいたもんだ。



とりあえずチップにさらに銀貨をもう片方の門番含めて一枚ずつ渡した。



門番は酒代ができたよと喜んでいたが、まあ今ので4万円ほど喪失した。



ちなみに銅貨は100円相当、銀貨は1万円、金貨が100万円、最高が白金貨で10億円相当だ。


一応聖銀貨なんてあるらしいが、そもそも伝説の金属である聖銀自体硬貨にするなんてバカの所業だ。


それをペーパーナイフにするだけでも、竜殺しだって夢じゃない。



まあ、龍王クラスは無理だろうけど、飛竜クラスならなんとかなるんじゃないか?



でも竜をゴブリンの如く倒せる勇者って存在はチートだろう。


勇者が聖銀を使う話は聞かないが、どうやら輝く剣を使うようだ。



さあ町に入った。


町は魔鉄と呼ばれる、武器の王道素材でできてるらしく、そんじょそこらの魔法じゃ穴も傷もつけられない。



だけど、まあ天災級と呼ばれる龍王やこちらの全盛期のタマモさんなら可能かもしれない。



タマモ氏のあの黒い球体は本気なら町だって消滅できるはず。



まあタマモも貴族には嫌な思い出あるだろうから基本関わらない。



先ほど門番に聞いていた冒険者ギルドの場所めがけて足を進む。



道中屋台や露店を見つけたなので立ち寄ってみたり、せっかくだから魔剣の素材ないかなぁと探してみるも魔物の血なんて討伐後血抜きで捨ててしまうみたいだ。



竜の血は錬金屋で売っていたが、そっちは安くても白金貨は飛ぶ。


ボンビー底辺な俺には買えなかった。




さて、このやや大きな建物。


外観は特に珍しくないが、建物の看板に描かれたロゴは剣と杖が描かれている。


これは近接戦と魔法職を意識している。


まあ中には槍や弓だって使うはずだ。



ドアを開けて前に進む。


ウェスタンドア風で開けやすい仕組みである。



中はイカツイ男たちや、女性もいるけど、冒険者やるやつが真っ当なわけはない。



それは別に人の質を言っているわけではない。



でも家が貧乏でやむえずとか、貴族崩れの継げなかったやつや逃げ出したやつも冒険者になることは多い。



だけど、冒険者はピンキリなので常識人もいればヤンキーだっているはずだ。




俺は冒険者の視線を浴びながら慎重受付に向かう。



「子供か?」とか「登録?まさか……」など確かに俺は登録へ来たが、でも俺は見た目6歳児である。



とてもじゃないが、こんなガキがゴブリンだって倒せることは思いも知らないだろう。




「本日はどうされました?」



受付嬢が優しく問いかける。


まあ相手は人相悪いがガキだし、目つき悪こと除けばまあまあ美形である。




「冒険者登録に来ました」



「え!?

あ、はい。

ちょっと確認ですが、おいくつでしょうか?」



受付嬢もテンパっている。


そりゃそうだ。


ガキが大人の仕事したいって言ってるからだ。


年齢制限はないだろうけど、通常12歳からだろう。



門番はゴブリンから逃げ切った腕を見込んで登録しろと言ったが、命張る仕事なんでなりたいなんて言うやつはただのバカと捉えられるだろう。



「歳は6歳です。

一応ゴブリンからも逃げ切ってますし、僕には優秀な従魔がいます。」


俺はやっとだったがタマモを持ち上げて見せる。



俺以外の人とは関わりたくないタマモは嫌な顔するえけど「こん」と鳴いて挨拶する。



「黒い狐ですか……

珍しいですが、ゴブリンから逃げ出せるだけでも十分ですね!

わかりました、登録する手続きしますので……

「ちょっと待ちな!」!」



お姉さんが喋る時それに合わせて突っかかるおっさんがいる。



「アラモスさん、また新規の方に絡むおつもりですか?」



アラモスと言われた男、魔鉄の剣を持ち整ってるような顔ではないので、一般階級育ちの仕方なくやってる側の人間だろう。



「おい坊主、ゴブリンから逃げ延びたのは雑魚冒険者なら当たり前だが、本当に遭ったのか?」


男は懐疑的な視線を俺に向ける。



「いえ、本当は倒したんです!」


俺は正直はいたけど、



「ガハハハ!お前面白い冗談言うな!

ゴブリンは確かに最弱の魔物だが、それは一人前の冒険者から見てだ。


お前さんみたいなひ弱なガキに倒せるわけなかろう。」



と、どうやら信じてもらえない。



受付嬢もまさかーみたいな呆れて笑みを浮かべているぐらいだ。




そこで俺は毒を手から生成する。


すると床にポタポタ、アルカリ性の毒を出しているのでもれなく床は溶けていった。



「なんだこれ?」


アラモスは俺の手から出る毒に疑問を持つ。



するとアラモスは勝手に納得いった顔をし始める。



「あ……固有異能ってやつか……

稀にいるんだよな特異な能力持つやつ」


俺は咄嗟に魔剣じゃないと誤魔化したが、自分の手の内晒すやつがどこにいる。



「他にも麻痺させる毒出せますよ?」


「お前、ポイズンスパイダーみたいだな。

わかった、お前さんはそれでゴブリンを麻痺させてその後従魔の狐がトドメ刺したわけだな?」



まあ色々違うけど、「はい」と言って誤魔化した。



男は気が済んだのか、酒場に戻っていく。



だけど、よそ者の俺はやっぱりここでは受け入れられない。



そこで手持ちが減るけど、「良いですか?」と大声で聞きわたるように声を出した。



「あ?」「うるせーよガキ」とか辛辣だけど、俺は魔法の言葉を唱える。



「今日は僕の奢りです。

一応全財産ですが金貨があるので好きなだけ飲んでください。」


と、酒場のおじさんに渡した。



わー、とギルド内に歓声が上がる。


まあ全財産ってのは嘘だが、昔冒険者が村に来た時こうやって奢ってやると気にいられると言われたことがあった。



まあ俺に夜這いを仕掛けて、その後行方知らずだが。



お姉さんから証明書と従魔証明をもらいタマモにつける。



そしてギルドを後にしようと思ったら、「ちょっと待って!」


若い女の声に引き止められた。



俺は内心ガクブルする。



女、特に若い女性は抵抗感があった。




「な、なんですか?」



「あなた、さっきの固有異能って……


その前に私たちに見覚えないかしら?」



「あ……」



そうその布面積が少ない服を着る腹だしの冒険者たち。


顔はそこそこだがちょっと物足りない。


だけど一般的に美人の部類ではないだろうか?



「あなた、町の外で私たちがゴブリンに襲われていた時助けてくれたでしょ?」



その言葉に詰まってしまったが、これは正直言うべきか?



「あ、えっと、その……」



言いづらそうにする俺にお姉さん方はにこやかであり、すると俺の手を持った。



「ありがとうね……

ゴブリンって弱いけど悪知恵回るし、捕まったら最後犯されて苗床にされるの。

よかったらお名前教えてくれる?」



まあゴブリンより悪質な生き物を俺は知っているが、ちょっと震える手だけど真摯に見てくれるお姉さん方に自然と震えが止まった。



「ナナシです……」


登録の時もそう記入したけれど、だって名前がない。



「そう、ナナシ君ね?

私はリナよ。

こっちの青髪がセナで、こっちの黄髪がシル。


私たちはパーティ組んでてB級冒険者なの。」



冒険者にはF〜A、さらに上はS級とされているが、通常普通の人の限界でBとも言われている。



この人たちは十分優秀な部類だ。


目のやり場に困るが、普通の男なら密接されただけで興奮するかもしれない。



「あ、あ、ぼ、僕宿探さないといけないので……」



と逃げ出すようにギルドを出ようとするけれど、



「待って、宿なら安くて良い場所知ってるわよ?」



なんか必死さがあるけれど、値段を聞くと銅貨十枚で一泊できるとか。



まあありがたく紹介されようと思う。




道中、美女たちに囲まれて渇望の目を向けられたが、特に役得と感じなかった。



宿に着いた。


そこは特に古くもなく、いたって普通。



「いらっしゃい!

ってリナたちかい!


ん?その後坊主は?」



従業員なのか女将さんだか、三十代ぐらいでふくよかだけど出るとこ出て引き締まってる女性が管理しているようだ。



「うん、駆け出しの子なの。

とりあえず、うちらが今週の分出すから」



「え、そんな!

奢ってもらうなんてできませんよ!」



俺は恩を売るのが好きだが買わされるのは嫌だ。



すると女将さんはニヤリと笑い、リナさんたちに耳打ちする。



「あんたねぇ、こんな幼い子に手ー出すんかい?

確かに美形だけどねぇ」



ちょっと聞き捨てならないけど、やっぱり無償で助けてくれる人などいないのか……



ちょっとがっかりした新生活初日だった。




それから精力つく食べ物出されて、3人に一晩中盛られたのは言うまでもない。


何故か女将さんも参戦した時は悲鳴をあげたけど。




***



あれから宿は変えた。



なんか安く泊まれることからラブホ代わりに使われていたらしい。



一応、宿はアラモスに紹介してもらった健全な宿に泊まっている。


変化の腕輪で顔不細工にするか考えて、一応前よりランクを下げた。


そのことに言及する奴はいなかったが、一応女性陣から狙われることはなくなる。



さて、依頼を選ぶ前にだ。



俺はゴブリンから手に入れた邪鬼の巧剣を活かしたくて、物作りしていみたいと思う。



何を作るか、錬金系は論外。


まあよくて小物とかか?


前世ではスマホケースとか自作していたが、今世でそれに代わるものといえば解体ナイフとかのケースだろうか?



定番で言えば革なんかだが、しかしもっと高級で女性にもウケるものといえば、大蚕と呼ばれる森に住むモンスターについて。



大蚕とは見たことないけれど、糸を吐いてモンスターを捕食する魔物らしい。


成長すれば蛾のような見た目になるが、それでも蚕自身は数十年は幼体にままだ。



以前町の蚕産の衣類なんかも手に取ったが、さすがシルクだ。


さらりとした触りごごちに、火にも強いその材質は高級なだけはある。



まあ大蚕自体森の奥にいるので、高ランク冒険者が小遣い稼ぐに受領するぐらい。



今の俺には到底無理な気がする。




さて依頼を受けようとギルドに向かうと、特に絡まれることもなくすんなり依頼を受けた。



内容は薬草採集だ。



討伐系は今はやめておこう。




さて、門をくぐり森へ向かう。



森までの距離は特になりもあるわけではなく、この間の冒険者たちを襲ったのは稀だったようだ。



さて、依頼をこなすためにタマモと手分けして薬草を探す。



なんか探すのに楽な手段があれば良いが、そんな魔剣がいつか獲得できることを祈っている。



薬草は木の根に寄生していることが多い。


木だと摂れない養分を薬草が代わりに生成してくれる。



まあ薬草とは言え、シダ植物のようにぜんまいのような見た目をしている。


そして根を木の根に絡ませて生きているのだが、稀に厄介な薬草もいる。



『あるじ、トレントなの』



移動する木っぽい魔物、それがトレント。


古代種になれば白金貨数百枚は下らないが、これはまだ若いトレントだろう。



苗木のような細さと、その木に見える顔が弱々しい。



とりあえず、剛剣で切り裂く。



するとすっぱり切れた。


だが体液のようなものが流れてきて、これは剣で吸えないか考察し突き立ててみる。



すると、【動木の成剣】と言う魔剣になる。


見た目は木の枝でできた木刀みたいな。



効果は植物の成長をやや促すようだ。



早速辺りの雑草にかけてみる。



するとニョキっと生い茂る様子が見えた。



意外に雑草程度なら成長するらしい。



トレントの根には薬草の新芽が寄生しており、それに魔剣の力をかけてみることに。


剣から滴る汁をかけるだけだが、たらりと垂らすと芽だった薬草が一気に成長する。



「おお、これなら銀貨三枚レベルじゃないか?」


その大きさと質、手に切れ込みを入れて薬草の汁をかけてみることに。


すっぱり切ってしまったが、別に光で治すことは可能だ。



そして汁を垂らすと、切れ込みが瘡蓋になりぺりぺり剥がれていく。



回復の光は傷口の再生修復だけど、こっちは代謝とかの活性で回復魔法と同等の効果だ。



まあ回復魔法なんて王都の学園に通ってやっと学べるので、貴族の道楽だろう。



さて、薬草は確保したがもう少し奥に行ってみようか?



タマモの索敵ではまだ危険な存在はいない。




暇だから考え事をしていたけれど、タマモが、『あるじ、敵がいっぱいいるの!』と訴えかけた。



「数は?」


『大体6体ぐらい?あ、でも他にも弱いけど反応あるの。

あと一番大きな反応が弱いやつに守られてるし、誰か襲われている感じもするの。

でも、移動してるわけじゃないなぁ……』



もしかしたらそれは集落ってやつか?


魔物で集落を築くと言えば、人型。


オークなんかが定番だが、それでは俺は未だ勝てないだろう。



だから、そいつは今までの遭遇した魔物からもしかしたらゴブリンなのか?



上位種もいるようだし、ここは慎重になるべきだろう。



とりあえず、一度ギルドへ報告しよう。


と俺が引き返そうとした時だ。



ぶすりと足になんかが刺さる。


痛みで悲鳴をあげるが、よくみると矢が刺さっている。


慌ててそれを抜き、厄介なことに糞尿も塗られていて壊死する可能性があるから重点的に光をかける。


完治したけれど、タマモが感知するとモンスターの反応で、よくみると弓を持ったゴブリンと何かを知らせるために後退したゴブリンがいた。



戻るつもりだったが、これでは敵側が応援を呼ぶつもりだ。



毒剣で毒を飛ばすにも木が邪魔で狙えない。


剛剣も論外。



じゃあ?



そこで成剣を取り出して、成長効果をかけることで雑草を操作する。



すると弓ゴブリンは草結びされて転んでしまい、それを狙ってチャンスだと剣で突き刺した。



巧剣の経験値が上がった気がする。




さて、今は逃げるにも手遅れなので狩に行くしかない。




俺はタマモを引き連れ多くの反応がある場所へ向かう。




するとそこには原始的な木や藁でできた住居が幾つもある。



「タマモ、あれに狙って黒球よろしく」


『はいなの!』



数日に一回の必殺技を放つ。



すると一帯に爆発が起きて、建物を粉砕した。




砂煙が晴れて辺りみると、血を流して倒れるゴブリンや襲われていた女性など。



既にゴブリンは呼途切れていて、「やば……」とやっちまった感があったが、それ女性たちは達磨で既に目が死んでいたので、まあまあ……と誤魔化した。



生きている人がいれば治療するけど、まずはゴブリンにとどめを刺してしまう。



女性陣に光をかけて治療する。


切られた手足と舌が生えそろう。



傷のあった部位ももれなく治して、木陰にどけるが、目は虚で「あ……あ……」としか声を発さない。




すると斧が飛んでくる。



奥の洞穴から人を齧りどすどすやってくるそいつは、噂で聞いていたがホブゴブリンってやつだろう。



目にも傷があるし、縄張り争いで負けたのか?



ゴブリンは肉を噛み噛み喉に押し込むとし、死体を投げ捨てて、斧を構える。



大きさはアラモスぐらいに大男って感じ。


筋骨隆々でちょっと危機感ある。



俺は剛剣を構えて、いつでも振るえるように構えた。



タマモの必殺技は使ったし贅沢言えない。




「っし!」


俺は大袈裟だったが剣を上段から構えて振るった。



ゴブリンは受け切れないと判断して横にずれて避ける。



そしてすぐさま回転して切り掛かる。


俺は避け切れず、片腕と胸を裂かれた。



痛い。



だけど瞬時に治すことで切り掛かった。



ゴブリンは急に治った俺に驚いたが、油断せずまた切り掛かる。



俺の攻撃は大半避けられているし、傷を負っているのは俺ばかり。



なんとも様にならないし、これは我流の限界か?



もっと筋肉があれば俊敏に動けるのに。




するとタマモがゴブリンの顔に覆い被さり動きを妨害してくれる。


それを好機と見た俺は剣を振い、やつの足を切り落とした。



悲鳴をあげるホブゴブリン。


トドメに胸に剣を刺して吸血する。



【邪鬼の巧剣(中)】獲得。


巧剣が進化した。


斧もそこそこ良いやつなので吸収済ませると、緊張が解けたのかどっと疲れが出て倒れてしまう。



人生で初めてこんな強敵と戦った。



まだポイズンスパイダーの時の方が楽だった。


あっちは知性などない獣だったから。



こっちの方が力では劣るが、その技量には感心させられた。



やっと終わったが、帰りはどうしよう。



タマモには無理を言ってお願いしたが、救助の冒険者たちを連れてきてもらうことに。



惨状を見た冒険者たちはそれをやらかした俺に畏怖を持つものもいたが、アラモスには「やるじゃねーか!」と褒められた。



人なんて嫌いだけど、認めてもらえるだけ心が救われていくのがわかる。



虚な女性たちには同情の声も湧いたが、無傷なことに懐疑を持たれたが、アラモスが、



「無事ならそれで良いだろ」


その一言で張り詰めていた空気は解けて無事町へ帰還する。

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