第9話 オレが大っ嫌いなヤツ
「…」
「ね?早く離れなよ。」
ソイツはニコニコと笑いながらそう言った。だが叶音は…
「それは、あなたに関係のある話ですか?」
「え?」
一言ヤツにそう問いかけた。
「そもそもあなた誰ですか?初対面なのに馴れ馴れしい。」
…それアンタが言える話か?アンタも結構馴れ馴れしかったぞ?まぁ、悪い気はしなかったが…
「あ、名前伝えてなかったね〜。アタシは壇ノ浦冬美。コイツの同級だったのよ。」
「へ〜。そうなんですね。で、なんで小牧先輩と一緒に居ちゃいけないんですか?」
「コイツの近くにいると災いが起こるのよ…君も巻き込まれたくないでしょ?」
と冬美は好き勝手に言ってやがる。…なんだかイライラしてきたなぁ…
「じゃあ…証拠はあるんですか?」
「え?」
叶音は更に質問を重ねた。おいおい…某論破王みたいな口の利き方になってんぞ…?
「ちなみに僕は先輩が危険じゃない証拠ありますよ?」
「へ?」
「これです。」
「なっ…!?アンタいつの間に!?」
「えぇ〜…」
そう言って叶音が冬美にスマホを見せる。オレたちもそれを見て絶句した。写っていたのは笑顔で焼きそばパンを食うオレと、少し前でピースサイン出して自撮りしている叶音の姿が。いつの間に撮ったんだよ…
「こんな幸せそうな人が災い起こすとお思いで?」
「…え?…確かに…」
いやお前も納得すんな。ただ美味しそうに焼きそばパン食ってるってだけの写真じゃねぇかよそれ。
「あなたの身に何があったかは知りませんけど…
自分の価値観で人を見るのやめた方がいいですよ?」
「…!!」グサッ!!
「全員の意見が同じと思い込まない事です。はっきり言って今のその忠告も余計なお世話です!」
「…!!」グサグサッ!!
「分かったらとっととどっかに消え失せてくださいこのゲス野郎!!ミジンコ未満!!」
「…!!」グサグサグサッ!!」
わー…叶音ってキレるとこんな感じなのか…言葉のナイフ使いすぎだろ…
「このアホたわ…」
「ちょっ!ちょっと待て!もうやめろ!」
「コイツのライフもう0だから!ノックアウトしてるから!」
さすがに言い過ぎだ。さっきまでの純粋無垢な感じはどこに行ったんだよ…と思いながらオレは叶音を制止する。
「余計なお世話…ゲス野郎…ミジンコ未満…」
「おいおい…いくらなんでも言い過ぎだぜ?オレも内心ムカついてたがよォ…」
「もう撃沈しちゃってるじゃん…」
「…少し熱くなりすぎた。ごめん。」
と、叶音は即座に謝った。冬美のやつはすんごい落ち込んでたが…
「フフッ…友の為にそこまで言えるなんて…いい友情じゃない…壊し甲斐があるわ!悪いわね。新入生。散りなさい!!」
といきなり立ち上がって叶音の方に突っ込んできた。
手にはナイフ…彼を殺す気だ…!!
次の瞬間には…俺の体は動いていた。
「オラァ!!」
「ウッ!!」
オレは横から冬美に向かっていって、左頬に一発かましてやった。ダンッ!!とその場に倒れる冬美。
「これ、もーらいッ♪」
と呟きながら桃がナイフを奪ってこっそり隠した。
これでひとまず被害が及ぶ可能性は減った。あとは本人だ。
「…何すんのよ!!」
「オレのダチにその汚ぇ手で触んじゃねえよ。第一、これはオレとテメェの問題だ。真剣勝負しようじゃねえか。」
「…望むところよ…」
「叶音。アンタは下がってろ。これは…オレの喧嘩だ。」
「…分かった。」
そう言って叶音が下がると、オレもヤツもお互いを見て
「テメェ今まで何してたんだよ。学園退学させられてからテメェの話聞かねぇからよォ。死んだのかと思ったぜ。」
「勝手に殺さないでもらえるかしら?アタシはあれから、学園をずっと恨んだわ。だから紗洞に入ったのよ。あの頃とは違うから。」
「ただの逆恨みか。堕ちたもんだな。」
「アンタは何してたのよ。」
「いつもと変わんねぇ生活だ。まぁ、アイツが来てからガラッと変わったがな。」
「フフッ。アンタにはそれくらいがお似合いよ。
『暗闇の領域』」
二人でそう話していると、ヤツは不意打ちと言わんばかりにオレの周りを闇の空間に変えた。
「…!!…なるほどな…(闇を操る能力か…残念だったな)」
パチンッ
だが相性が悪かったな。オレがパチンッと指を鳴らすと、
オレの体の表面が発光しだす。そして少し見渡しやすくなったその空間でヤツを探す。
「後ろがガラ空きよ?」
「…」
ヤツは俺の背後に回って後ろから剣で攻撃しようとした。
…馬鹿なヤツだ。
ガチンッ
「…!?何も無いところで剣が…」
「ホイッ。真剣白刃取り〜。」
「アンタは、いつからオレが一人で戦っていると思ってたんだ?」
そう。卑怯なヤツだからこそ、後ろに桃を立たせて背後に警戒していたのさ。予想は見事に的中だな。桃もしっかり白刃取りで止めてくれた。霊感の無いアイツには桃は見えねぇからな。ガラ空きだと思ったんだろ。
「せいっ!」
「アァァァァァッ!?」
そして桃がそう掛け声を出した瞬間、ヤツは悲鳴をあげて痙攣した。そう、オレと桃の能力は電気だ。桃が手に電気を纏わせ、剣を介して冬美を感電させたというわけだ。
冬美が悲鳴をあげると同時に、周囲は元の景色に戻る。
「どうした?もう終わりか?」
「…ッ!!まだよ!!『闇の拳』!!」
諦めの悪い奴だ。アンタのパンチなんざ、オレらから見れば亀の歩みにしか見えねぇっての。
ダンッ!!
「…!!地面が…」
「…削れた!?」
「驚いたかしら?私の闇の手は、触れた物を侵食してくのよ。」
削り取られたアスファルトを見て、オレがそう呟くと、冬美は自慢げにそう話した。
「フフッ…ハッ〜ハッハッハッハッ!!」
「何がおかしいのよ!!それとも気でも狂ったかしら?」
オレは笑いだした。気が狂った?そんな訳ねぇだろ。
本当に面白かったのさ。
「あ〜おもしれぇ。」
「フフッ…確かに!」
「何がおかしいのよ!」
「だってよぉ?」
「ねぇ?」
「「どんなに凄い攻撃でも、当たんなきゃ意味ないっての。」」
オレと桃は同時にそう言う。凄い攻撃?それは当ててから言うセリフだぜ?
「ヌヌヌヌッ…舐めんじゃないわよ!」
「おうそうか。なら…やるか。」
「こっちも少しは見せてあげないとね。」
「「ショータイムの始まりだ!」」
《キャラクター紹介》
名前:壇ノ浦 冬美
仮名:ナシ
種族:人間
性別:女
所属:紗洞
能力:闇を操る能力
空間を闇に変えて相手の視界を遮ったり、物に纏わせる事で触れた部分を削り取る力のある能力。
技:
暗闇の領域
相手の周辺の空間を闇に変えて視界を遮る技
闇の拳
自らの手に闇を纏わせて相手を殴る技。
その拳で触れたところはポッカリと穴が空く。
好物:他人の不幸
特技:不明
その他の情報
イジメの主犯格だった為に退学処分となった元学園の生徒。小牧の同級生で、小牧を気味悪がって孤立させたのも彼女。性格は、自分の利益しか考えない自己中心的な性格。退学させられてからは、紗洞の一員となり、学園を滅ぼす機会を伺っている。




