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異能アカデミー夜月学園!!  作者: 稲荷
電光石火の幽霊姉妹 編
8/19

第8話 やっと気づいてくれた

翌日も


桃花台(とうかだい)先輩!!一緒に食べませんか?」


その翌日も…


「桃花台先輩!!一緒に帰りましょうよ!」


晴れの日も…


「桃花台先輩!!」


雨の日も…


「桃花台先輩!!」


アイツは場所を問わずに毎日オレに話しかけてきた。もう関わるなとあれほど言ったのに…

だが、その全てがその日に分かった。

その日は梅雨真っ盛りで、外は大雨だった。警報が出るほどではなかったから今日も登校だ。

休み時間、オレは雨に打たれながらいつもの中庭に腰掛けていた。俺を気に止める生徒なんてどこにもいない。

…アイツを除いて。


「桃花台先輩。そこだと風邪引きますよ?」


アイツは今日も、話しかけてきた。

ドンッ!!

「…!!」


オレはもたれていた木に拳を叩きつけ、ビックリしたアイツに言い放つ。


「なんでだよ…なんでついて来るんだよ…!!

あの時あれほど言っただろ!!俺と関わるなと!!

…教えてくれよ…なんでオレにこだわるのか…」


オレは泣き崩れた。分からなかった。なぜオレにばかりついて来るのか。分かっていたはずだろう。オレが周りに避けられていることなんて、分かりきっていただろ。


「それは…先輩となら、楽しくなりそうだから。」


彼は静かにそう話した。同じような言葉を電車内で聞いた気がする。…だが、なぜか今のは冷やかしに聞こえてきた。彼は本当にそう思って言っているはずなのに…

なんでだ…


オレは動き出していた。


「それだって…ただの冷やかしだろ!!」

「…グッ…!!(速い…)」


高速で動いたオレは次の瞬間には彼の胸ぐらを掴んで持ち上げている。なぜだろうか。どうも許せない。

次の瞬間には、彼を地面に投げ捨てていた。


「ウッ!!…先輩…!!」


彼は立ち上がると、オレを睨みつけていた。…これでいいんだ。元からそうだっただろう。オレは嫌われモンだ。これで彼も分かっただろう。オレと関わっちゃいけねぇって。

だが、次の瞬間…


パシィィィィィンッ!!

「グッ!?」


…オレはハリセンのようなかわいた音と共に右を向いていた。頬が痛い。…少し遅れてから理解した。今彼は、私の頬に平手打ちをしたのだ。

今までに味わったどんな痛みよりも効いてる気がする。


「先輩。嫌われ者になろうとしないでください。」


彼はそう真面目な目で話していた。だがオレも反発する。


「…テメェに何が分かんだよ…何も知らないクセに。」


そうだ。コイツには分からない。まだ出会って1週間も経っていないヤツに、分かるわけがない。


「…分かりますよ。…分かってもらえない気持ち。

…ずっと、そこにいますよね?桃花台(とうかだい)(もも)さん。」


彼はそう言いながら中庭の木の方に歩いていくと、足を止め、両手を前に出して上にあげる。

彼の2本の腕の間にいたのは、俺に少し顔つきが似た小さな少女の幽霊だった。


「え…?」

「…マジかよ…」


泣いていた。オレも…その少女も…悲しさじゃぁねぇ。その逆だ。


「見えてたんだ…私のこと…」

「うん。初めて会った時から、ずっと気づいてた。」

「…やっと…やっと気づいてくれた!!姉ちゃん!!」

「ああ…良かったなぁ…桃…」


ソイツは彼に降ろしてもらうと、オレのことを『姉ちゃん』と呼んで駆け寄り、抱きついてきた。


「…やっと…だな…」


オレは一言そう呟いた。彼は、ずっと分かっていたんだ。桃が脅かした時に動じなかったのも、競馬場で誰かと話すように呟いていたのも…桃が居ると気づいていたからなんだ。


「…アンタ…名前は?」


オレは彼の方を向き、彼にそう聞いた。


安城(あんじょう)叶音(かなと)。今年から入った新入生です。」


彼は空を見上げ、チラッとこちらの方を見て情熱のこもったような目でそう一言。次の瞬間。オレの後ろから強い追風が吹いたかと思えば、さっきまで嵐だった雲が一気に流れ、あっという間に晴れに変わり、空にはキラッと輝く太陽とそれに照らされて輝く虹が…そこにあった。

信じられるか?さっきまで荒れてた天気が一気に変わっちまったんだぜ?でも、それが本当に起こったんだ。

と同時に、オレの心にかかっていた霧も一気に吹き飛んだ。

そんな気がした。


「叶音…か…いい名前だ。今まで失礼な事をしたな…

それで良かったらなんだが…今日は一緒に帰らねぇか?」


オレは思い切ってそう言ってみた。なんだか、彼と一緒に居たら変われる気がする。彼は…


「いいの!?もちろん!」


その瞳を輝かせてOKした。



放課後…


「じゃあ…行こうぜ!」

「はい!」


校門で待ち合わせて彼と合流すると、オレたちは歩きだした。なんでだろう。いつもは一人で歩いて帰っているつまらない帰り道が、彼が増えただけで楽しくなった気がする。


「そういえばまだ自己紹介してなかったな。

オレは桃花台(とうかだい)小牧(こまき)。それでこっちが妹の(もも)だ。」

桃花台(とうかだい)(もも)だよ!」


オレに続いて桃も自己紹介する。桃はとても活発なオレの妹だ。重い病気でオレよりも早死にしちまって幽霊になっている。


「にしても叶音くんが私を持ち上げた時はビックリしたよ。え!?ってなっちゃったもん!」


桃がそう続ける。それはオレもビビった。通常は見えないような存在にまっすぐ向かっていって普通に触れちまったんだから。


「って事はだが…アンタも霊感持ちなのか?」

「霊感って言うんですかね?一応は見えますけど。アンタもって事は先輩は霊感があるんですね!」

「ああ。見ることも出来るし話すことも出来る。」


叶音もどうやらそういう体質だったらしい。そりゃ見えるわ。ちなみにオレは桃が幽霊となって現れた頃から霊感が発現していたらしい。最初に桃が幽霊となって出てきた時はビビったぞ?なんでも閻魔さんボッコボコにして無理矢理こっちの世界にきたってんだからびっくりだ。


「オレ以外で桃の存在に気がついたのはアンタが初めてだ。他の奴らは近寄りもしなかったからなぁ。」

「そうなんですね…じゃあこれから暇があったら中庭で一緒に過ごしましょうよ。楽しいですし。」


オレの話を聞いて叶音がそう提案した。


「それ…賛成だよ!」

「だな…でも、アンタはそれでいいのか?周りから変な目で見られるかもしんねぇぞ?」


桃はそれに賛成したが、オレはひとつそう聞いた。元から避けられているオレだ。そんなヤツと居たら彼も変な目で見られる。そんな気がしたからだ。


「誰かと居るのに、理由って必要かな?」


叶音の答えは、それだった。


「フッ…確かにそうだな。」


オレは少し笑ってそう答える。確かにそんなものにイチイチ理由なんていらねぇよな。叶音がそれでいいならオレも反対しない。決まりだな。


「さて〜、もう少しで駅…」

「ちょっとちょっと!そこの赤い髪の君!」


叶音がそう呟いた所をで、彼を呼び止めた奴がいた。


「なんですか?」

「危ないじゃん!ソイツの隣に居るとろくな事ないよ?」


オレは嫌味っぽく話しかけてくるソイツに見覚えがあった。…アイツだ。俺が一番嫌いだったアイツ…

オレの心の奥底では、憎しみの感情が煮えたぎっていた。








《キャラクター紹介》

名前:桃花台(とうかだい) (もも)

仮名:ナシ

種族:幽霊

性別:女

所属:夜月学園(やづきがくえん)


能力:まだ戦闘データが無い為不明


技:上に同じ


好物:ガム(特に桃味の物)、小牧


特技:相手を驚かすこと。


その他の情報

何年も前に亡くなった少女。姿はそこから一切変わっていない。桃花台(とうかだい)小牧(こまき)は彼女の姉で、小牧の周りに居た何かの正体が桃。霊体となってからは小牧にしかその存在に気づいてもらえず、そのせいで姉が周りから避けられていることに申し訳なさを感じている。性格はヤンチャで強気で活発。姉とはたまにケンカするが、それだけ仲がいい。

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