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異能アカデミー夜月学園!!  作者: 稲荷
入学。そして立志 編
5/19

第5話 姉弟の記憶(後編)

「また、弟くんの事かい?」

「え?…はい…」


一緒に歩いていた(すめらぎ)先輩がそんな事を聞いてきたので

私は少し動揺しつつそう返す。


「そうだと思ったよ。君が片頭痛を起こす理由は

だいたいそれさ。」

「そうですね…でも最近。新一年生が入ってきてからは

いっそう酷くなってる気がします…」

「そんな感じもするね。倒れるまで行ったのは

僕も初めて見たよ。ま、大丈夫さ。弟くんなら、

そのうち会える。」

「その日が早く来る事を願うばかりです…」


そう。私、女城(めじろ)真由(まゆ)には弟が居る。

と言っても…どんな顔かも覚えてないけど…

私はある時から記憶がない。この片頭痛も、

きっとそのせい。早く治ることを願うばかり。


「そういえば、今日来た赤い髪の子。

君が初めて僕らの所に来た頃とそっくりだったね。」

「そう…ですか?」

「あの頃はよく覚えてるよ。」




5年前のちょうどこの時期。

僕が中等部二年として生徒会に入っていた時の事。


『1年B組の女城(めじろ)です!!

今日からよろしくお願いします!!』


元気のいい彼女が入ってきた。

卒業していった元生徒会長達も歓迎していたと思う。

彼女も今日来た弟くんのようにいきなり階級(ランク)B判定。

能力の才に恵まれていた子だった。

ただよく片頭痛を起こして倒れる事があった。

またいつ倒れてもおかしくないからって僕が

面倒見になった。ただ女城君は僕にすぐ相談してきた。

記憶が無いこと、ただ弟が居ることは分かること。

今もその副作用からか、よく頭痛を起こすこと。

全て話してくれた。それからだっただろうか、

僕と女城君が仲良くなったのは。




「…そんな事もありましたね。」

「だろ?僕の予想なんだけど、弟くんって今日来たあの子だと思うんだ。」

「私も…そんな気がします。あの子を見ると、

どこか懐かしさを感じるんです。」

「ハハハ!!今日君がポカーンとしていた理由はそれか!!

珍しいなとは思ってたよ。」


やっぱり、皇先輩は私のいい相談相手ね。

そんな事を考えながら歩いて、住宅街の交差点に

差し掛かった時だった。


「うわっ!!」

「キャッ!!」

ドシーンッ!!


見通しの悪い角から出てきた誰かとぶつかって、

私は派手にずっこけた。お相手さんも倒れてしまったらしい。


「女城君!大丈夫かい?」

叶音(かなと)!怪我は?」


私の方に皇先輩が、お相手さんの方には連れの方が

手を差し伸べていた。


「「イテテ…大丈夫…ハッ!?すみません!!」」


私もお相手さんも、差し出された手を借りて

立ち上がると、お互いに謝った。

…同じタイミングに同じ言葉で。

ふと顔を上げてみるとそこに居たのは…


「あっ、女城先輩に皇先輩!!」


今さっき生徒会室で会ったばかりの叶音さんと新城さんだった。二人ともこの道で帰っていたという事だろう。


「やあ二人とも。…向こうから来たけど、寄り道でもしてたのかい?」


ふとなんで遠回りで帰ってたのか気になって問う皇先輩。確かに気になる。学園から帰るなら私達が通った道の方が短い。


「いや〜、そこの和菓子屋で和菓子を買ったので今から僕の家で食べようかと思ってまして。」

「良かったら来ますか?叶音もこう言ってるので。」


どうやら甘い物を買って帰っていたところらしい。

勝守(かつもり)さんが色々入ったビニール袋を持っていたのも納得だ。


「じゃあ、お言葉に甘えようか。」


二人の誘いに皇先輩は乗り気みたい。私はそれについて行くことにした。



ホー…ホケキョッ!!


「どうぞ。」

「「「いただきます。」」」


安城さんの住んでいる神社の縁側に正座し、私と皇先輩と新城さんは、ウグイスのさえずりを聴きながら叶音さんから差し出された抹茶を飲む。


ゴクッ

「おいしい…」

「客人には誰でも抹茶なんだね…」

「なんかおいしいじゃん。抹茶。」


私と新城さんは出されたどら焼きをかじりながらそう話す。ふっくらモチモチの、美味しいどら焼き。このお抹茶ともあっているわね。

そういえば、皇先輩は…


「皇先輩、どうですか?叶音のおまっ…ちゃ!?」


新城さんがそう話しながら皇先輩の方を向いて、

すっとんきょうな声を上げる。気になったので私も見てみると…皇先輩が苦い顔して青ざめていた。


「先輩!?大丈夫ですか!?気を確かに!!」

「アハハ…ノープロブレムノープロブレム…

こここ、この抹茶…おおお、おいしいね。」

「無理はなさらないでください!」


絶対苦かったやつですよね。先輩。めっちゃ肩震えてるし、顔がめっちゃ渋いですし。青ざめてますし。先輩って、そんなに甘党だったんだ…


「そういう時はどら焼きを1口食べましょう。アンコの甘みで苦さが減るはずです。」


安城さんのアドバイスで、皇先輩はどら焼きにガブゥ!!とかじりつく。そんなに苦かったかしら…


「ハァ…ハァ…ありがとう。子猫ちゃん。」


やっと落ち着きを取り戻した先輩がそう話すと、

安城さんが質問する。


「そういえば、今って生徒会は会議してる時間のはずですけど、どうして街中に?」


まぁ、私が倒れてしまったのは二人が出て行った後の話なので疑問にもなるか。


「ああ、その事か。実は女城君が頭痛で倒れてしまってね。早退することになったんだが、また倒れてしまうと大変だからこうして送っている訳さ。」


分かりやすい説明で二人も納得した様子。私の事についてはそっとしておいてくれたのは嬉しかった。


「そういえば、親御さんは仕事にでも出てるのかい?」


ふと皇先輩がそう質問する。


「いえ、僕に両親はいません。もう随分と昔に火事で亡くなりました。ちょうど今日で10年が経ちます。」

「そうだったのかい…?ご冥福をお祈りするよ。」


どうやら、安城さんにご両親はいないらしい。生計は自分で稼いで立ててるのだとか。私達三人は合掌する。

安城さんの両親のご冥福を祈って。


「それじゃ、そろそろ失礼するよ。」

「ごちそうさまでした。」


それが終わったところで、私達はおいとまする。

安城さん達は、神社の階段下まで見送ってくれた。

高台にあるこの神社から見る夕日は、どこか懐かしさを感じるような美しさで、私たちを照らす。

その夕日へと続くような真っ直ぐな道を、私は皇先輩と歩いていった。








《キャラクター紹介》

名前:安城(あんじょう) 真由(まゆ)

仮名:女城(めじろ) 真由(まゆ)

こうなった原因=不明

叶音の推測によると、火災で救助された際に隊員が判別できなかったという説が濃厚らしい。


種族:人間

性別:女

所属:夜月学園(やづきがくえん) 生徒会

能力:まだ戦闘データが無いので不明。


技:上に同じ


好物:和菓子


特技:不明


その他の情報

名前など色々と謎に包まれている人物。生徒会役員をしているが、時折ボーッと遠くを眺めていることがあり、生徒会のメンバー達に言われてハッとなる事が多い。

よく片頭痛を起こして倒れるので生徒会メンバーの(すめらぎ)が面倒見をしている。ある時から記憶が欠けているが、何故か自分には姿も名前も分からないけど弟がいるという記憶だけは鮮明に残っている。

安城(あんじょう)叶音(かなと)と関係が?

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