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異能アカデミー夜月学園!!  作者: 稲荷
辛い記憶も宝物 編
11/19

第11話 狙われた少女

「ハァッ…ハァッ…」


逃げないと、逃げないと。そう心の中で呟き、一人の少女が、街中を駆け抜けていた。


「居たぞ!捕まえろ!」

「…!!」


行く手に数名の男が少女の前に立ち塞がる。


「どいて!」

「うおっ!!っ…!?」

「待て!…本!?」


少女が男に体当たりすると同時に奇妙な出来事が起きた。体当たりした男の中から、辞書ぐらい分厚い本が出てきたのだ。彼女はそれをパシッと掴みとる。


「…あった!!消えて!」ビリッ

「チッ…!!クソ…お?…僕は何を?」

「オイどうした!!早く捕まえるぞ!」

「な、何を…?」

「「ハァ!?」」


そう叫びながらその中の1ページを破いた時、男は何が起きたという目でその場にピタリと立ち尽くす。その様子を見ていた仲間たちも必死に声をかける。


「…!!えいっ!!」

「うおっ!!返せ!!」

「嫌よ!フンッ!!」ビリッ

「アァァ…俺は…何を?」


リーダーらしき男からも似た本を奪い取ってページを破る。もう一人からも。


「あ、あの嬢ちゃん?俺達が何してたか知らない?」

「…さよなら!!」

「あっ!!待って!」


その日、その男達は、たった一人の少女を前に無力化されたのだった。




ザァァァ…


雨。私はどこに行けばいいのかも分からず、ただひたすら街をさまよっていた。


「こんな能力…いらなかった…」


ポツリとそう呟く。この能力さえなければ、こんなに苦しまなくてもよかった。この力さえなければ…


カンカンカンカン…

ウォォォン…ガタンガタン…ガタンガタン…

鳴川(なるかわ)(夜月学園前(やづきがくえんまえ))…

…あ。」


気がつけば、私はそう書かれた駅の看板を見ていた。ちょうど電車が出たようで、銀の車体に赤帯を巻いた四両編成の車両がインバータの音と規則正しいジョイント音を奏でて走り去っていく。

そこで私は思い出した。


「学園に行けば…何とかなるはず…」


聞いた事がある。今も鮮明に覚えている。夜月学園は、学校の役割の傍ら、市民を守る仕事も担っていると。

少しの希望に賭けて、私はそこに行ってみることにした。


「ハァ…ハァ…あと…少しっ…あっ!」バタリッ


学園の校門付近まで頑張って歩いてきたが、どうやらここで疲労が限界に達してしまったらしい。何日も前から水しか飲んでなかったから当然と言えば当然だ。段々と気が遠くなっていく…

が、それを私の体に押し戻してくれた物があった。


「大丈夫ッスカ!?」


そんな力強い声で、私の意識は繋ぎ止められた。と同時にだんだん大きくなっていく足音…

それは私の横で止まった。


「酷い熱ッス…もしもーし!動けるっすか?」

「…ウウッ…なん…とか…」


その人に確認を取られ、私は弱い声でそう話す。

…味方だろうか。敵だろうか。そんな不安が私の頭を横切った。


「大丈夫じゃなさそうッスネ…掴まれますか?」

「…」コクリ


彼は私にそう聞く。…安心して良いのだろうか。半信半疑になりつつも、私は頷いてその人の背中にすがりついた。


「しっかり捕まってるッス!!行きますよ!!」


彼は私にそう話した。

不意に…


ドカァァァンッ!!

「…!?」

「ヌオォォォォ!!バクシンッス!!

すみません!!薬師寺(やくしじ)先生!!この人を診てもらいたいッス!!」

「…!!分かったわ!すぐに!!」


そんな爆発音がしたかと思えば、私は彼の背中に揺られており、気がつけば保健室にいた。

私はすぐに薬師寺先生という女性に診察を受けた。


「軽い風邪と栄養失調ね…。

武士(もののふ)さん。何かあるかしら?」

「僕はプロテインとかしかないッス。購買で何か購入しましょうか?」

「そうね…頼むわ。」

「了解ッス!!」


武士さんと呼ばれた人は財布を持って売店へと向かっていった。


「風邪程度ならどうにかなりそうね。

ちょっと喉元失礼するわよ?」


そう言うなり先生は、私の首元に触れた。と同時に、私の気分が悪いのが全部消し飛んだ気がした。先生の力だろうか。


「戻りましたッス!焼きそばパンですけど良いですか?」

「…」コクリ


武士さんは売店で焼きそばパンを買ったらしい。私は頷いてそれを受け取って早速食べる。


「…美味しい。」

「ですよね!ここの売店のおばちゃんは神様ッスよ!」


美味しかった。久々に食べるご飯というのはこんなに美味しかったのかというのを痛感した。まぁ、断食はもうゴメンだけど。


「ごちそうさま。」

「えっと…これから貴方には事情聴取をする事になるかもッス。僕についてきていただいても良いですか?」

「事情聴取!?」

「ええ。今のままだと疑問点が多すぎるんすよ。その整理のためッス。」

「ああ…構わないわ。」


ペロッとそれを食べ終えると、恐る恐る武士さんがそう聞いてきた。私はすっとんきょうな声をあげたが、すぐに納得して頷く。寧ろコチラから経緯を洗いざらい話してしまいたい所だったので構わない。

私は武士さんに言われるがままについて行くことにした。

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