転生
俺はローダ・ガウス。約8時間前にこの世界に転生してきたものだ。
そんな俺は、今パーティを首になり、よく知らない街を一人で歩いている。
意味がわからないと思う。簡単にまとめよう。
約8時間前ー
「あれ、どこだ?ここ。」
俺は見知らぬ野原に、変な服装で突っ立っていた。
腰には赤い模様の入った白の綺麗な剣をブラリと下げ、黒い髪が眉毛にかかっている。
薄い紺のベストの上に白い模様の黒い地のパーカーを羽織って、右耳に菱形の水色のアクセサリーをつけている。
ファッションセンスがないのでいけてるのかわからないが、まあいい。
俺は高校、大学と剣を習っていたので、扱いには慣れている。
とりあえず街にでも行こう(そんなものがあるのか知らなかったが)と思い、
歩くと、案外簡単に街に着いた。
一際目を引く大きな建物があったので、とりあえず入った。
入ると、中の受付らしき女の人に呼ばれた。
その人に自分が転生したばかりでこの世界のことをよく知らないと伝えると、
とくに驚いた様子もなく、いろいろと教えてくれた。
俺たちは「転生者」と呼ばれるらしく、結構いるそうだ。
まず、この世界では生まれつき一人一つ武器を持っているらしい。
弓、銃、剣、斧、槍、杖など。
で、ここは「冒険者ギルド」で、ストレス発散や武器の練習、試験、素材集めなどに使われる魔物の巣窟である「ダンジョン」を運営、統括する場所らしい。
ダンジョンはこの世界にいくつかあり、激しい競争が行われているらしい。
どれだけ売り上げを上げれるか、どれだけレアアイテムを発掘できるか、どれだけ強い冒険者を呼べるか。
「なんで、あなたも登録すれば参加できますよ」
「あ、じゃあぜひ。」
「今回は初回なんで無料ですが、次回から金要りますから。」
「はい。」
ということで、早速入ってみようとおもったら、
「あ、待ってください」
と呼び止められた。
「この世界では、皆最初は一つスキル、という特殊能力を持っています。
スキルは最初はこの「スキルプラー」を握ると発動できます。
そのうち自分で発動したいと思えば発動できますけどね。
…あれ?どこ行ったのかな…?」
ここで俺は自分のスキルに気づくことになる。
彼女から受け取ってすぐ握ったのだ。
「え?ここにいますけど」
ともう一度握ると、
「ああ、どこ行ってたんですか?」
と言われた。
「おそらく、俺のスキルが発動したみたいです。」
「え?」
たぶん、このスキルは「自分を見えなくする」という能力なんだろう、と思っていた。
「じゃあ、募集を…」
と彼女が紙を取り出したところ、
「あの、この人パーティ組んでないんですか?」
と若い男に言われた。
「ああ、そうですよ」
と受付が答えた。
「じゃあ、うちに入ってもらえます?
ちょうど一人足りなくて…」
ということで、4人でダンジョンを攻略することにした。
その1時間後ー
俺はパーティをクビになった。
なぜか。答えは俺のスキルのせいで逃げたと思われたらしく、
「そんなやつはもうダンジョンに入る権利がない」
といわれ、ダンジョンも出禁になった。
ただ、解ったこともある。
このスキル発動中は、だれも俺に気がつけない。
視覚、聴覚、嗅覚、触覚。全ての感覚が俺を感知できないのだ。
それはともかく、困った。
あのパーティには
ピタラ・モストレイ(魔道士)
マスカーテ・ゼータ(回復士)
ブリリアン・ニカ(狙撃手)
がいたのだが、
「逃げるなんて有り得ない!」
「○ね!腰抜け!」
と、すごい言われようだった。
狙撃手の人はなにも言っていなかったが。
…というのがざっと大まかな流れだ。
それはそうと、特にいくあてもないし。日も暮れてきた。
とりあえずベンチに座り、今後について考えよう。
「もしもし、もしもーし!」
…ん?お?俺、寝てた…?
「起きましたか?」
誰?この人?
紺色の髪の少女、というには失礼な年の女性が、俺を見下げていた。
「…は、はい。」
といって起き上がった。
みると、自分が寝ていたのはベンチではなくふかふかの布団だった。
「ここは…?」
「私の家。正確には、お父様、お母さまの家だけど。」
「どうして、ここに…?」
「昨日ベンチで寝てたから、風邪をひくだろうと思って…。」
なんて優しいんだ。
「ありがとうございます。すぐに出て行くんで」
「あ、いやまって。あなた、剣士でしょう?」
「はい、まあ。」
「じゃあ、私のギルドに入って。ちょうど一人足りなくて…」
なんかつい最近体験したぞ、この状況。
「でも…、」
「いいからいいから。あんな立派な剣持ってるのに、使わないなんてもったいない。ついてきて。」
俺は、大人しく着いて行った。
とてもひろい家らしい。
おしゃれなアンティークや、綺麗な家具が置かれている。
この人はどこかのお嬢様かもしれない。
「あ、私はミーナ・ロピタル。17才。あなたは?」
同い年なんだ。身長たっか。
「…ローダ・ガウス。17才です。」
「ふーん。あの剣は最初から持ってたの?」
「はい。」
「そうなんだ。よくあんな強い剣懐かせたね。」
懐く、とはどういうことかわからないが、まあいいか。
しばらく移動すると、一つの部屋に着いた。
こんな暇人に付き合ってくださってありがとうございます。




