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94話. いきなり5人組に絡まれて……

 

 武器屋を出ると、いきなりあっという間に体格の良い男5人組に周囲を取り囲まれてしまった。


 あぁ、これまた既視感がある。


 どう見てもトラブル発生の予兆だ。


「おいっ、貴様。ちょっとツラを貸せ!」


 おっ! 予想通りの展開キタコレ!!


「おらおら、大人しくこっちへ来い!!」


 はいはい。了解です。


 そうして俺はあれよあれよという間に路地裏へ連れ込まれてしまった。

 この後の展開も概ね想像がつく。


「さぁて、金目の物をすべて出してもらおうか」


 ほら、そう来た。

 やっぱりだ。


「あー、つい今まで武器屋にいたのは知っているだろう。俺が武器を持っていたらどうするつもりなんだ?」


「なんだお前、口答えしようってのか! あ!?」


「ふふふ。まぁ、待て……。いやな、あの武器屋には長い剣と盾しか売っていない。それを我々は皆知っている。だが、お前はそれを持っていない。つまりそこから導かれる結論は……」


「武器を持っていないが、それを買うための金をたんまり持っている」


「そうだ。分かってるじゃねえか!」


 う~ん、そう来たか。


 えーと、とりあえず彼らの間違いが3つほど。


 まず、俺が元から何らかの武器を身に着けている可能性が排除できていない。

 その2、冷やかしで店を覗いていただけかもしれず、金を持っているとは限らない。

 その3、わざわざ戦闘用の剣を見に来たとなれば、職業柄、かなり腕が立つ可能性が残されてしまう。


 まぁ、わざわざ教えてあげる必要もないだろう。


 幸いにも向こうから裏路地に連れ込んでくれたから余計な目撃者もいないし好都合だな。

 いくら何でも、さすがに人気の多い店の前では派手に戦えない。


「おい。さっきから何、ボケっと突っ立っているんだ! 早く金を出せよ、ほら!!」


「あー、うるっさいすね、あんたら。もう静かにしててくれて結構なんで」


「はい!? おい、今の聞いたか?」


「ガハハハッ」


「信じらんねぇ」


「聞いた聞いた。もういいや、早いところやっちゃおうぜ!」


 次の瞬間、5人全員が地面に倒れ伏した。

 身体強化スキルを使って、みぞおちに強烈な一撃を一人ずつ連続で食らわせたのだ。


 その間、わずか約2秒。


 こうでもしないと、この中の誰かしらが『目撃者』になってしまう。


 今のタイミングで俺の【力】を知られるのは困る。あくまでもこの街に来たのは偵察のためだ。戦闘のためではない。


 さて、と……。


 ならず者の後始末が済んだところで、俺は再びギルド会館を探すことにした。



 ◇


 しかし、……。

 いくら探しても冒険者ギルドが見つからない。


 もしかして、ギルド自体が無い?

 そんなバカな!


 だが、そんな疑問はあろうことか見事に的中した。

 なんてこった。


 代わりに見つけたのが、『商業ギルド』の建物だった。


 なるほど、そう来たか。

 またもやビックリの驚き案件だ。


 つまり、このサルキアの街では冒険者という職業が一般的でないか、あるいはそもそも存在しないかもしれない。それは科学技術や商業文化が発達しているから、わざわざ魔物を狩りに行く必要がない、ということなのだろう。


 そう考えると、街を取り囲む長大な石壁の存在も納得できる。


 とにかく戦闘力がないから、防御に徹していると考えれば、入国の際の異常な荷物チェックにも説明がつく。


 それはさておき、せっかくの機会だから商業ギルドの中を見てみたいという好奇心が湧き出てくる。


 だが、……。


 しばらく出入りする人々を観察してみたところ、かなり身なりがきちんとしていることに否が応でも気づかされる。素人目にみてもたいそう立派な服装だ。他方で、俺の恰好はと言えば、小汚い典型的な冒険者そのもの。


 入ったところでつまみ出されるか、悪目立ちするかのどちらかだろう。

 オチとしてはそんなところだ。


 ここでは偵察が目的だから、やはり大人しくしておくべきかもしれない。

 残念だが、撤退だ。


 こうしてすごすごと引き下がることにした。


 それから街をぶらぶらと散策するも、とくに目立った成果はない。


 とりあえず食べ物はそう変わらない。


 売られている物は加工がしっかりしていて、この異世界の商品としては興味を引くが、現代日本を経験している俺からすればいたって普通だ。


 こうして “平和” な観光を続けていく。だが、すぐに想像を絶する大問題を知ることになるとはこの時点では思いもよらなかった。



最後まで読んで下さり誠にありがとうございます!


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