表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

9/196

9話. 登録試験の後には不穏な会話が交わされていた

 

「ガルダールさん、試験監督はいかがでしたか?」


「おぉ、受付けのエリナ嬢か! いやー、今回はちょっとヤバいのがいたぞ。とんでもなくクレイジーな野郎がな」


「それって、もしかしてサイさんですか?」


「あぁ、確かそんな名だった気がする。いや、それで間違いない。あの野郎、ただの一発で的の甲冑を射抜きやがった。しかも見事な円形にだ。こんなことは今までなかった。ちょっと普通じゃないぞ、奴は」


「それって、そんなにすごいことなんですか? Fランク登録といっても、素質がAランク以上の場合も当然あるかと思うんですが……?」


「あのな、嬢ちゃん。そういうことじゃないんだ。これは口では上手く伝えられないが、例えSランクの冒険者でも1発で正確に心臓の位置に当てることは難しいんだ。それより問題なのが、当たった場所が本当に円形にくり貫かれていたことだ。こんな綺麗な切り口はこれまで見たことがない。あの野郎、一体何者でどこから来たんだ。とにかく得体がしれなく気持ち悪いが、近い将来化けるかもしれんぞ、あいつは。見た目はひ弱そのものだ。……が、もしかすると最強クラスにまで成長するかもしれん。楽しみが一つ増えたな!」


「手厳しいガルダールさんがそこまで褒めるなんて珍しいこともありますね。彼、いやサイさんなんですが、確かに不思議な方だったんです。なにしろギルドの基本も何も知らなかったんですから。ここの受付を担当してから随分と経ちましたけど、私、ここまで無知な人を案内したことはほとんどなかったんです。だから余計に印象に残っていると言いますか、単純に興味があるんですよ」


「それにな。あの野郎、詠唱をごまかしてやがった!」


「えっ!? それって、どういうことですか?」


「言った通りだ。確証はないが、奴はもしかすると無詠唱で魔法を発動できるのかもしれん。上手くごまかしたつもりと思っているだろうが、とにかく俺の目にごまかしなんか通用せんぞ」


「でも、そんなことってあるんでしょうか?」


「うーむ。少なくとも俺は聞いたことがない……。というか、それは常識だろう。愚問だな」


「ですよね……。とにかく不思議なオーラをまとった方でした。こちらの説明もびっくりするくらい真剣に聞いてくれて……。あれだけ質問をしてくれた人は今までで初めてなんです。やっぱり、ちょっと普通じゃないですよね」


「なるほどな。やはり奴は何かあるぞ。こっそりと様子を見ておいてくれ。見る限り間者ということではなさそうだが、とにかく念のためだ」


「わ、分っかりました。でもいい人そうですよ」


「それならそれでいい。今のギルドには強い奴が必要なのだ。分かっているな」


「えぇ。サイさんについてはよく考えて対応しますね」


「そうしてくれ。頼む」


 試験を終えたサイが消えた後、ギルド内ではそのような不穏な会話が飛び交っていたのだった。



最後まで読んで下さり誠にありがとうございます!


もし、ほんのわずかでも面白い、続きが気になると思って頂けましたら、ブックマークや評価、あるいは感想などのフィードバックをしてくださると飛んで喜びます。このページの下の方にある『☆☆☆☆☆』から評価を入れられます。


これからもどうぞよろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ