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52話. 魔物の倒し方は人それぞれ

 

 翌朝。


 我々は予定通り、魔物2種類の討伐に向けて街を後にした。


 これまで俺が行ったことのない、全くの正反対の地域に狩場があるようだ。自分にとっては未知のエリアだが、少しはその地域の様子が分かるかもしれない。


「よう。サイは戦闘火焔で戦うスタイルなんだよな?」

 グラーゼが不意に話しかけてきた。


「そうだ。まだ、魔法は火焔系しか習得していないから、それしか手駒がないが」


「魔法は…… ってことは、放水魔法も使えないのか。それは珍しいな」


「残念ながら、そうだ。だから、近い内に何とか日常系魔法だけでも習得したいと思っている」


「それなら、私みたいに弓矢使いになったら?? 魔法無しでも戦えるようになるわ」

 今度はクレアが話に加わってきた。


「なるほど、そういうスタイルも有りっちゃアリだな。参考にするよ。弓矢に火焔魔法を載せてみたら面白いかも」


「えっ! 弓矢に魔法を載せるなんて聞いたことがないんだけど、できるのかな?」

 しまった。ついうっかりと、そのまま考えていることを口にしてしまった。これは失敗だ。


「いや、何となくそう思っただけだ。忘れてくれ。戦闘火焔を習得したのはつい最近だから、あまり使い方をよく知らないんだ」


 するとグラーゼが口を挟む。

「いや、俺は聞いたことがあるぞ。街の外れに槍や弓矢に炎を載せて戦う貴族様がいるらしい」


「それは本当だぞ」

 リーダーのダルガーが付け加える。


「知っての通り、街中で一番強いのはギルド専属のA級冒険者のギルディアス様とエカテリーナ様だろう。あと、正体不明で居場所もよく分からんAAA(トリプルエー)級冒険者がいるという話だが、詳しいことは俺にも分からん。そんでこれからが重要なんだが、郊外に住んでいるフランボワーズ家という貴族の当主が相当のやり手らしい。そいつが、いや口が滑ったな、その方がそうやって戦闘火焔を武器に乗せて戦うと聞いた。まだ若いが、ランクは驚きのSらしい」


「エ、エスかよお。本当に実在するのか、そんな奴。さすがは貴族様だ」

 グラーゼの嘆きが響く。


「ほう。興味深いな。それは」

 予想通りとはいえ、俺と同じような戦闘方法を使えるとは興味深い。頭の片隅にでも留めておこう。

 元はかなり嫉妬深い性格の俺だが、異世界があまりにも現代日本とかけ離れているので、別にA級だS級だと聞いても特に羨ましいとか悔しいとかその手の感情が何も湧いてこない。


「ところで、クレアのその弓矢は普通のものなのか?」


「これのこと? なら当たらずも遠からずね。確かに弓矢自体は普通のものだけど、刃の先端にオランガエルから取れた猛毒を塗っているの。その辺の魔物なら当たれば一撃で倒せるわ」


「なるほど、それは強そうな武器だな。ちなみに貫通力はどれくらいなんだ?」


「こう見えて鍛えているから、Bランク中位までの魔物なら大体問題ないわ。もちろんメタルアリゲーターは無理だけどね。うふふっ。あと、ジャイアント・ボアも駄目ね。皮が厚すぎるから」


「そのジャイアント・ボアはどうやって倒すんだ?」


「んー、普通は異なる魔法属性持ちがパーティーを組んで倒すから、特に決まった倒し方はないみたいね。でも、電撃魔法が使えれば楽みたいよ」


「やはり一般的にはジャイアント・ボアの討伐には電撃魔法の使い手が一人は欲しいところだな」

 ダルガーがそう補足する。なるほど、やっぱり電撃で痺れさせるのがコツのようだ。そうなると、やはり火焔魔法で消し炭にしてしまったのは普通ではなかったのかもしれない。


「電撃魔法かー。俺も欲しいなー」

 グラーゼが羨んでいる。


 こうして話をしている間に山道に入り、小さい魔物がちらほらと出没するようになった。夕刻が迫り、今日の野営地まであと2時間足らずといったときに衝撃的な出来事が起こった。



最後まで読んで下さり誠にありがとうございます!


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