36話. 予想外にゼロが多くて望外の喜び
こうしてティータイムを楽しんだ我々は、その足で直接向かう場所があった。
そう、ギルド会館だ。
昨晩、素材買取り置き場に山積みで置いてきた『シルバーメタル・アリゲーター』の鱗の売却の続きをしなければならない。
約束通り2階に上がると、すぐにルノアールが出迎えてくれた。
「よく来たな! まぁ、立ち話もなんだから、とりあえずそこに掛けてくれ」
せっかくなので、言われた通り、上品なソファーに深々と腰かける。
「査定は無事に終わっているぞ。それにしても凄い質と量だった。いやー、ギルド中がこの話題でもちきりだ。そもそもシルバーメタル・アリゲーターはそれほど多い魔物ではないし、鱗は難易度の高い処理をきちんとしなければ使い物にならないのだが、君たちは既にきれいに焼いて処理済みのものを持ち込んできてくれた。だからこそ、買い取るこちら側としては助かることこのうえない。よくやったぞ、君たちは!」
「それは良かった。それじゃぁ、きちんと全部、買い取ってもらえるということでいいんですかね?」
「もちろんだ。すべて有り難く買い取らせてもらうよ。恩に着る。それで買取り金額なんだが、こちらでいいかな?」
そういってルノアールが差し出したのは一枚の小さな紙切れだった。ギルドの印鑑が押され、複数人のサインが書き込まれていた。
そこに書かれていた金額を見た我々3人は思わず目を丸くした。
「ひ、ひゃくごまん~~!!??」
「わぉ!」
「え、えぇっー!! いや、ありえないだろ!!」
そう、確かにそう書かれていた。
105万クラン。
それが俺たちが倒したシルバーメタル・アリゲーター(特殊個体)の買取り金額だった。
圧倒的にゼロが、そして桁が多い。
えっ、これはもう金持ちの仲間入りでは?
驚きすぎて、ノエルの耳がピクピク動いている。
「正直、今回の査定は難しかったよ。しっかしよくもまぁ、こんな状態で倒せたもんだな。表彰もんだよ。ここまで火を通して持ってくるなんて聞いたことがないくらいだ。ここまで完璧な素材は本当に初めてだ。今後もよろしく頼むよ!」
その場で確かに全額を即金で受け取ったのはいいが、いざ配分となるとこれがまた難しい。
俺はきっちり3等分でいいといったのだが、やはり前回と同じくノエルが譲らなかった。結局、俺が65万を受け取ることで決着した。
結局、ここ二日間で1千万円近い大金を手にしてしまった。しかし本当に重要なのは金ではない。
そんなものは正直、文字通りの端金だ。
それより重要なのは、この姉妹と出会えたこと、そして奇妙なスキルが得られるかもしれないという期待感。そっちの方がはるかに大切だ。
あと、予期せず知ってしまった、この魔物が実は人為的に変化させられてしまった【異常種】かもしれないという情報も、何物にも代えがたい。
それにしても昨日売った魔石が25万クラン。
それに対して105万がどれくらい高いのか安いのかよく分からないのも事実。
とはいえ、異常種で鱗の量が通常より多かったのと、すべて高温で焼いて処理済みなのを加味しての金額だったのだろう。ありがたく額面通り受け取ることにしておこう。
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