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28話. 自己紹介でネコ耳の可愛い姉妹と仲良くなった

 

 ポーションを飲み干してしばらく経つと、HPは4割程度、MPは2割5分程度まで回復していた。さすがに完全回復とまではいかないが、ギルドに戻るだけなら申し分ないだろう。


「俺はサイ。さっきは危なかったな」

 そう姉に声をかける。


「目を覚ましたのね。助けてくれてありがとう。私はノエル。Cランク冒険者よ。ポーションも本当にありがとう」

「こっちは妹のユエ。Dランク冒険者。まだもう少し寝かせないと」


 か、可愛い!!


 さっきまで戦闘や回復に必死で気が付かなかったのだが、よく見ると……。

 いや、よく見なくても両方ともめちゃくちゃ可愛い。


 どちらもすらりとした小柄な体型で、小さいネコのような耳とやや長めの細い尻尾がちょこんと付いている。


 それ以外は普通の人間と変わらない。

 二人とも白っぽい金色の上品な髪の色だ。


 冒険者だからどちらもショートヘアー。姉の方が背も高いし大人びている。これは萌えだな、萌え。年齢は姉が18歳くらいといったところか。


 ケモナーではないが、正直に言おう。

 これはアリだ。


 おっと、いかんいかん。

 つい油断すると余計なことを考えてしまう。


 気を取り直して、そのまま会話を続ける。


 どうやら二人は俺と同じく常設依頼の遂行中にこの騒動に巻き込まれてしまったようだ。ノエルはCランクだから、薬草採取だけではなく、小型の魔物の討伐依頼も受けていたとのこと。


「それにしても、サイ。あなた、一体何者なの? たった一人であの『シルバーメタル・アリゲーター』を倒してしまうなんて。普通はB級冒険者が4人パーティーで倒すような魔物よ。サイはきっとA級ね!」


「えっ、俺は通りすがりのただのFランク冒険者なんだが。ほれっ、ギルド証の通りだ」

 そう言ってノエルに自分の身分証を見せる。


「嘘でしょ! アナタみたいな実力があればすぐにB級位までは上がれると思うけど」


「まぁ、登録したばかりだしな。それに使える魔法も少ないし」


「それよ、それ。さっきの戦闘火焔は一体なに?まったく見たことのない魔法だった。あのとてつもない威力! しかも詠唱しているように見えなかったけど、もしかして無詠唱魔法が使えるの?」


 矢継ぎ早に質問が飛んでくる。しかも、あまり答えたくない類の質問だ。


「あー、実は記憶喪失で過去の記憶があまり無いんだ。まだギルドに登録したばかりだからFランク冒険者をやっているんだけど、なんで戦闘火焔魔法が使えるのか本当によく分からないんだ」

 微妙に嘘をついているが、大筋は間違っていない。


「ふ~ん、なるほど。訳アリってことね。助けてもらったし、これ以上詮索はしないわ」

 おっ、これは助かった。


「さてと。こいつをどうしようか?」

 話を逸らし、シルバーメタル・アリゲーターの残骸の山を指さした。


「これなら売ればかなりの報酬になるわ。Bランク上位の魔物だもの」


 そのままノエルが続ける。

「しかも既に鱗だけになっているから話が早いわ。金属が含まれている鱗を素材として買い取ってくれるの。もちろん、魔石も」


 なるほど。肉を残さないほど燃やしてしまって失敗したと思っていたが、結果オーライだったのか。しかし……。


「だが、この膨大な量だ。どうやってギルドまで持っていくかが問題だが、何かいい案はあったりするか?」

 率直に疑問をぶつける。


「実は私、空間魔法が使えるの。中級だからそれなりに持ち運びできるわよ」

 おおっ、初めて空間魔法持ちに出会ったな。確か、この世界の魔法の中で、一番習得が難しい魔法じゃなかったっけ。


「それは凄い。是非とも頼む」


「でもさすがにこの量は無理。残りは手分けして運びましょう」


 一通り会話を終える頃にはユエも起きてきた。


「助けてくれて、どうもありがとう!」

 開口一番、ユエはそう礼を口にした。当たり前とはいえ、よくできた妹だ。姉とは2、3歳ほど離れているか。今更ながら、この二人は信用できそうだ。


 それは俺にとっても重要なことで、こんな山中で手を組める相手に出会えたのは運が良かった。



最後まで読んで下さり誠にありがとうございます!


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