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177話. 超級魔法の底力


 そう言えば『魔力覚醒』を使いこなすようになってからというもの、火焔魔法で全力を出したことが無かったかもしれない。


 こんな山奥だし、テストしてみるには絶好の機会。


 たまには本気を出してみるか。


 となれば本気の本気だ。

手抜きはしない。


 いつものように片手という訳ではなく、思い切って両手を前に突き出す。


 そしていよいよ魔法を発動させる。


『ファイヤー・エクストリームビーム』


 バァシュワーーーーーーーーーー!!!!!!! シュパパーー!!


 はい!?


 目の前が真っ白になった。というか、火の勢いが強すぎて目がおかしくなってしまったようだ。


 それでも火柱が猛烈な勢いで飛び出し、道脇の木々を瞬殺した後、遠くの山を木っ端微塵にした瞬間は何とか捉えていた。


 あっ、やばい。


 頭がクラクラする。

 どうやら魔力を使い過ぎたようだ。




 「大丈夫? ねぇ、起きてよ、サイ!?」


 「起きて、起きて!!」


 ゆっくりと瞼を開けるとユエとノエルが心配そうにのぞき込んでいた。


 おっと、そうだった。

 俺は全力で戦闘火焔を解き放ったのだった。


 「二人とも、心配かけたな」


 「よかった~。無事でよかったよ」


 「本当に、心配したんだから!」


 二人とも薄っすらと涙ぐんでいる。

 しまったな、不用意に心配させてしまった。


 「俺は…… どのくらい意識を失っていた?」


 「そうね、せいぜい数分くらいかしら。といっても心臓が口から飛び出そうな数分間だったけど」


 安堵したと思いきや、今度はいかにもプンプンといった表情だ。


 「すまない。ちょっと全力で魔法を撃ってみたくなったんだ」


 「それよそれ。あの一瞬ではるか彼方の山が消えてしまったわ。サイ、あなた一体……」


 「俺はいたって普通のCランク冒険者なんだが」


 二人とも呆れ果てて声も出さずにナイナイといった手振りをする。


 「まぁ、それは置いておいても本当に規格外の威力だわ。魔力切れ以前に火力が凄すぎるもの。人間技とは思えないほどね」


 「本当にそうだよー。ビックリしちゃった」


 「知っての通り、俺は普通よりもちょっぴり強い魔法が使えるみたいなんだ」


 ……


 そんな会話をしていると、ようやく俺自身も状況が飲み込めてきた。


 あれっ??


 俺の頭はノエルの膝枕の上にあるのか?


 これは。いや、これは大変すばらしい。


 もう少しこのままでなどと思っていたら、

 「目つきがイヤらしいわ。もう回復したから大丈夫でしょ!」


 しまった。どうやら顔つきに出ていたのか、至福の膝枕タイムは強制終了となってしまった。残念。


 さてと……。

冗談はさておき、俺の放った魔法はどんな具合だったのか。


確かに俺のかすかな記憶の通り、空き地を通り抜けた『ファイヤー・ビーム』は道脇の木々をなぎ倒した後、はるか遠くの山を吹き飛ばしていた。


すげぇ。


 というより、怖いな。

気が付くとこんな魔法が使えるようになっていたとは。


 予想以上の環境破壊をしてしまったが、とくに山火事などが起きている様子は無い。そのまま誰も来ない間にその場を後にする。


 この世界では戦闘系魔法で生成される火は普通の火では無いような気がする。


そもそも、あれだけの火力にもかかわらず山火事が起こらないというのは不自然だ。放水魔法を使った『ウォーター・ビーム』にしろ『ファイヤー・ビーム』にしろ、威力があり得ないほど強力なのも気になる。


 普通の火や水があれほどの強さを持っているとは考えにくい。


 その一方で、放水魔法で生成した水は普通に飲料に適しているし、たき火のため火焔魔法で着火させることもできる。


 その境目はあやふやなのか、何かしらの法則性があるのかはよく分からない。


 ちなみに残存MPは3500ほど。

 ショボい。


 全部は使いきれなかったようだ、思ったよりも使ってしまった。

 強力な敵が現れないことを願うばかりだが、もはやノエルとユエは普通の魔物程度に劣らないほどの戦闘力がある。


 万が一の際には彼女らにも存分に活躍してもらおう。




 気を取り直して歩いていると、周囲の森が徐々に消えていく。


 さらに標高を上げていくと、気が付くと草原になっていた。


 「ねぇ、あれが湖!?」


 ついに円形で青々とした湖が目に入ってきた。不思議と湖の周辺は開けていて、何だか白っぽく見える。人工的な何かをしているようだが、畑ではなさそうだ。


 その正体は一体何なのか?



最後まで読んで下さり誠にありがとうございます!


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