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165話. ギルドで大騒動


 石油の沼での大火災を鎮火した我々だが、これで一件落着とはいかない。まずはギルドまで問題なくたどり着いて、説明をし、我々の言い分をきちんと認めさせなければならない。


 そうしてノルマというか依頼達成という目標まで持っていく必要がある。


 そろそろ人通りが多くなるタイミングだろう。通行人に目撃される前に空間魔法を解除し、ギルドを目指して何もなかったようにして歩いていく。


 おやっ。


ギルドの前には既に数人の職人が立っていた。脇にある高見櫓に代わる代わる昇って様子を見ていたようだ。


「おーい。彼らが戻ってきたぞーーー!!」


「あ、アナタたち、さっきから黒煙が見えないのだけれど……。この状況でタイミングよく戻ってきたということは、もしかして消火に成功した……、なんてことは?」


 「ええ、もちろん。ちゃんと依頼は遂行したわよ!」


 そうノエルが自慢げに報告する。


 「ギョエーーー!!!!」

「ほ、本当に!? 本当に消火したのか??」

 「いや、でも、ほら。煙はちゃんと消えている訳だし、本当に本当なのかも」

 「となれば、すぐにでも調査隊を編成してだな。急げ、早く上に報告を!」


 おおっ、さすがに街で最大の懸念材料が片付いたとあればビッグニュースだからな。動きが早い。


今の一瞬でハチの巣をつついたような騒ぎになってしまった。


 「ちょっと君たちはこっちに来てくれ。詳しい話を聞かせてくれ」


 ということで、我々は別室にて取り調べ、もとい、聴取をされることに。

 まぁ、これはいつものことだ。諦めるしかない。




 「私がここラティアスのギルド長をしているケインだ。取り急ぎ、まずはお礼を言いたい。だが、今回は依頼の時に説明した通り、ギルドが直接現場を訪問して、状態を確認しなければならない。なので、現状では依頼完了とはみなされないことをご容赦願いたい」


 ずいぶんと腰が低くて柔らかな感じだ。


 そして話している内容としては依頼受注の時と矛盾は無い。

何しろ事がコトだからな。

こちらとしても成否の判定は慎重にしてもらった方が無難かも。


 「それは大丈夫だ。すぐにでも調査隊を派遣するんだろう? 彼らが現場を確認してからで何ら問題ない。むしろきちんと火が消えたかどうかを見てもらえれば、こちらとしても安心できる」


 「そう言ってもらえて助かる。……さてと、さっそく詳しい話を聞かせてくれないか。といっても、君たちには後で調査隊と一緒に付いて行ってもらう」


 「それなら、現場を見せながら説明した方が早いかもしれないな。ケインも同伴するんだろう?」


 「もちろんだ。その時に詳しく説明を聞くとしよう。だが、とりあえず魔法を使って消火したという理解でいいんだな?」


 「そうなの。三人合わせて()()()()()使()()()()()できたの!」


 ユエが言ったことは微妙に事実とは異なるが、それで良い。我々は事前に口裏を合わせていた。


つまり、大規模な空間魔法を使ったことは伏せておき、代わりに土石魔法で三人の力を合わせて消火をした、ということにしてある。


 空間魔法というのはあまりにも異質の魔法だ。ちょろっと空間収納を使う分にはさほど問題は無いかもしれないが、先ほどまでEランク冒険者だった俺が超人的な魔法を使えることが知れ渡るのはまずい。


 自分でもやや無理がある設定なのは理解できるが、これ位しか思いつかなかったのだ。


 何しろ氷結魔法は三人の中で誰も使えないし、普通は消火で役立ちそうな放水魔法は石油で使用不能。となると、消去法で土石魔法しか残らない。


 だが、実は土石魔法で目止めをしたことで鎮火を確実のものにしたのだから、厳密には嘘ではないだろう。


 それに現場には土石魔法の痕跡がそっくりそのまま残っている。


 去り際に沼の表面にも土石魔法でカモフラージュを施しておいたのだから。


 これでひとまず言い訳は立つ。


 さて、この話はこれ位にしておいて、そろそろギルド長がビックリたまげる顔を拝もうじゃないか。



最後まで読んで下さり誠にありがとうございます!


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