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162/196

162話. 本当に燃えている。火力が強すぎるぞ、これは……


 ということで、我々は街の郊外にある『燃える池』へと向かっている。善は急げ。というより、今回は時間制限があるので、依頼開始から6時間以内に鎮火まで持っていく必要がある。


 まさしく時間との戦いだ。


 そのため身体強化スキルを使いながらやや急ぎ足で現地へと向かう。


 我々の行動はギルド会館の高見櫓から逐一監視されている。むろん監視と言えども池の細かい様子は見えないはずだが、もしかすると尾行されている可能性も無くはなない。


 下手に飛行したり、ましてや隠蔽スキルを使って姿を消してしまうのは念のために避けておく。


 池のある場所は直線距離で2キロほどらしいが、実際にはグネグネと遠回りなので、思ったよりも時間がかかる。


 「あっ、煙だ!」


 ユエの言う通り、木々の隙間からわずかに黒煙が見える。あそこか。


 前へと進むにつれて煙がはっきり見えるようになってきた。


そしてついに現場に到着した。


 う~む。


 なるほど、これは……。

確かに『炎の池』に違いない。


 ちょっと想定外だったな。


 まず、事前に聞いていた通り、池の周囲は火災を避けるため、木々が池を取り囲む形で伐採され、落ち葉や枯れ枝などを含めて取り除かれている。


 まあ、それはよい。


 問題は池の大きさだ。


 「……大きいね」


 「ユエの言う通りだわ。これはどうしたらいいのかしら」


 そう。池はほぼ真円になっているが、その直径は驚くべきことに30メートルほどはあろうかという規模だ。それが燃え盛り、水面全体から大きな火柱が昇っている。


 もしかすると太陽の表面はこんな雰囲気なのかもしれない。


 それはさておき、猛烈な熱さだ。


 もちろん我々は安全な場所にいて様子を観察しているにすぎない。だが、そんな我々にも熱波が容赦なく襲い掛かってくる。


 これは……、本当に短期決戦で決めないとな。


 「私、放水魔法は使えるけど、依頼で禁止されているからダメ。ここでは使えないわ」


 「うん、私も……。それにこんな大きな池の消火なんてどうしたらいいの?」


 その通り。この沼、もとい池の消火をどうすれば……。


 少し池に近づいてみる。


 「サイ、それ以上近づくと危ないわよ!」


 ありがたい。わざわざノエルが警告してくれる。だが、これ位はまったく問題ない。


 よくよく水面を見ると、火がまるで生きているかのように動き回っている。いや、暴れていると言った方が正確か。


とりあえず俺の中で早く『答え合わせ』をしておきたい。


かなり長い木の枝を水の中にむんずと乱暴に突っ込む。俺は火元から随分と離れた場所に立っているから何の問題もない。


その枝を水中から引っ張り出すと、その枝全体が燃え始めた。そしてポタポタと滴り落ちる黒々としているドロッとした液体。


やはりな。


間違いない。これで確定だ。やっぱりこの沼では【石油】が湧き出ているんだ。


これなら放水魔法が使えない理由も筋が通る。


 もしギルド側が我々に言えないような裏の理由で放水魔法について制限を加えているだけなら、こっそり放水魔法で消火してしまうのも悪くはない。だが、石油となれば話は別だろう。


 天ぷらを作っている最中に水を放り込むようなものだ。やはり放水魔法は厳禁ということで納得せざるを得ない。


 実験は終わったので姉妹の元に戻る。


 「ノエル、ユエ、やっぱり放水魔法はここでは使えない。だから、それ以外の方法で消火をしなければならないみたいだ」


 「やっぱり……。でも、どうしたらいいの?」


 「火焔魔法は論外として、俺に使えるのは空間魔法、そして土石魔法か。まぁ、何とかなりそうだな」


 「何とかって言っても……。サイ、何か良い考えがあるの?」


 「あるの?」


 「もちろん! とっておきの考えがな。さっそく二人にも手伝ってもらうぞ。さぁ、消火をするぞ!!」


 「「えいえい、おー!」」



最後まで読んで下さり誠にありがとうございます!


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― 新着の感想 ―
[一言] ランプなら蓋をすれば酸欠で消えるけどな こんな大きな範囲を覆うのは無理か? 油田の火災だと、原理は知らないけど、 ダイナマイトを爆発させて止めてるよね なんで爆発すると火が消えるんだ
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