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160話. 燃える沼とは何ぞや!?


 ギルド会館に到着した我々はまず依頼が掲示してある掲示板を見てみることにした。


まぁ、これは俺のいつものルーティン・ワークなのだが、それにノエルとユエも付いてくる感じだ。


 「色んな依頼がたくさんあるね~」


 確かにその通りだ。


 このラティアスという街はサンローゼよりもかなり小さいが、とはいえそれなりに規模がある。この会館も実に見事なものだ。ということで依頼の総数も人口と比例して多いのだろう。


 「ねぇ、サイ。この依頼って何かしら?」


 ノエルが目立つようにデカデカと張り出されている大きな紙を指さした。


 その紙にはこう書かれていた。


 『燃える池の消火をしてくれる戦士を求む! 成功報酬は100万クラン!!』


 うん? 何だこれ?


 「いや、これだけではよく分からないな。一体何のことだろうか」


 こうした我々の様子を見かねて、隣にいた男が不意に言葉を挟んできた。


 「この依頼を知らないとなると、あんたらは旅のもんだな?」


 「ああ、その通りだ。昨晩この街に着いたばかりなんだ。それでこの依頼のことをよく知っているかのような口ぶりだが、よかったら詳しく教えてくれると助かるんだが……」


 「いいぜ。まぁ、依頼では上品に『池』なんて書いてあるが、ありゃあ『沼』だな。いやいや、すまん。とりあえず『燃える池』というのは本当のことだ」


 「なるほど、本当に燃えているのか」


 「ここから北東に直線で2キロほど離れたところにその沼があるのさ。とにかく気色が悪い沼で昔から有名だったものだ。黒くて粘っこくて、おまけに強烈な変な匂いがする液体が湧き出ているときた」


 「池なのにそれほどの異臭って珍しいわね」


 「ありゃ、ただの水じゃないな。まぁとにかく変な沼がある。もちろん我々は異臭もあるから下手に近づくようなことはしなかったんだが、子供が近くで火遊びをしていて……。ビックらたまげたことに、うっかり水に火が付いちまったんだ。とはいえ、水に火が付くとは変な話だろ?」


 「でも火を消すのがそんなに大変なの?」


 「それがな、嬢ちゃん。池全体に火が燃え広がってしまったのさ。しかもだ、水を掛けても消えるどころか勢いが増すということで誰も消火できていない状況なんだな。もう2年間は燃え続けているよ」


 「「「2年間!?」」」


 「でも氷結魔法があるんじゃないのか?」


 「ごもっともな質問だが、その沼はそれなりに大きくて……。とてもじゃないが、常人の魔法ではどうにもこうにも」


 「う~む。苦労しているんだな。大問題じゃないか」


 「この街の人間としては、試しにこの依頼を受けてもらえると助かる。これからの旅先で見たことを話してくれれば、もしかすると氷結魔法の使い手が助けに来てくれるかもしれん。もちろん君たちが消してくれれば言うことなしだぜ」


 この話を詳しく聞いて、何か分かった気がする。


 燃える沼。黒くて粘っこくて異臭がする。しかも可燃性で水を掛けても消火できない……。


 これは【石油】だ。もしかしたらタールと呼んだ方が正確かもしれないが、それは問題ではない。今ので正体が突き止められたから、自然と対処法が見えてくる。



 「ノエル、ユエ。この依頼を受けるぞ!」


 「確かに今の話を聞いたら見ない訳にはいかないわね。それに燃える沼ってどんな感じなのかしら」


 「ユエも気になる~。それにサイさんだったら依頼も達成できそう」


 「そいつは頼もしいな。ありがとう」


 「ところで、火を消さないと何か不都合があったりするのか? もう二年間も火が付いたままなら、それならいっそのこと、そのまま放置でも良さそうな気がするが」


 「それがだな、街とギルドの悩みの種だから早く消火してしまいたいのさ。周辺は森だから山火事になるのがとにかく怖い。だから、池の周辺の草木をわざわざ丁寧に取り除いたりと苦労が絶えないんだ」


「そうか。やっぱり火を消さないとだな」


 「是非とも火を消してくれ。頼むぞ。それじゃあな。健闘を祈る!」



 こうして男は一通り話した後、すぐに去ってしまった。


 さて、まずはこの街の悩みの種になっている『燃える沼』問題の解決に貢献するか。とくに急いでもない旅だしな。



最後まで読んで下さり誠にありがとうございます!


もし、ほんのわずかでも面白い、続きが気になると思って頂けましたら、ブックマークや評価、あるいは感想などのフィードバックをしてくださると飛んで喜びます。このページの下の方にある『☆☆☆☆☆』から評価を入れられます。


これからもどうぞよろしくお願いいたします。

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[一言] うまくやれば石油王に? 勝手に独占したら怒られるか
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