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151話. ランドコールはどこだ?

 

「えっと、おそらくこの辺りのはずなんだが……」


「ここが…… 目的地??」


 俺は非常に困惑していた。

 ユエがとぼけた声でそう言うのも納得できる。


 というのも、目の前にある『ランドコール』という場所と思しき一帯は只の森にしか見えないからだ。


 もしかしたら場所を間違えている可能性も無くはない。


 だが、単に地名が付いただけの土地という風に解釈した方が無難かもしれない。というのも、事前の下調べでランドコールという単語の知名度があまりにも低かったというのが気になっていたからだ。


「サイ、もうちょっと高度を上げられないかしら? 全体の様子を見てみたいわ」


「そうだな。ノエルの言う通り、まずは上昇してみるか」


 とりあえず高度を上げてみる。


「う~ん。やはり目ぼしいものは何もないな」


「あっ!? サイさん、お姉ちゃん、あそこを見て!!」


 俺とノエルとは違う方向を見ていたユエが何かを見つけたようだ。


「あれは……、もしかしたら煙か!?」


 やはりそうだ。


 森の中からモクモクと白い煙が一本だけ垂直に昇っている。

 煙があるということは人もいるということだ。


「よし、まずはあそこに行ってみるか」


 さすがに煙のある場所まで直接飛んでいくのはまずい。


 この世界において、人間が飛翔できる時点で()()ではないからだ。


 ある程度まで近づいたところで我々は『飛行イス』を着地させ、徒歩で煙の場所まで近づくことにする。幸いなことに道があったのでそこを進んでいく。



 ちなみに乗ってきた『飛行イス』は残念ながらこの段階で処分した。


 何もわざわざ隠蔽までする必要はないのだが、問題は飛翔機能の根幹を成す空間魔法の方にある。


 土石魔法で生成した物体はそのまま半永久的に残り続けることが分かっている。なので、ミナスの集落の家々や我々が架けた橋については魔力を供給せずとも何の問題も生じない。


 片や空間魔法については効力を意識的に維持させなければ、その機能を完全に失ってしまう。つまり、空間魔法を発動させ続けなければイスの中に仕組んでいる空間魔法の立体を維持できないのだ。


 そういう訳で、目の前にあるものは既にただのイスでしかないのだ。むろん、再度この中に空間魔法を仕組めば再び機能を回復させられるだろう。ただ、イスの中には既に空洞があって、それを上手く充填あるいは置換できるような手段は見当たらない。


 端的に言えば、強度に不安を感じるのでイスは毎回作り直すしかないだろう。または以前のように『空飛ぶじゅうたん』のようにすれば手間が省ける。


 今回は空の旅の快適さを考慮してイスの形にしたのだから、せっかく作ったイスを捨ててしまうことについて後悔はしていない。



 ◇


「あれかしら!?」


 あれか!


 ついに俺たちの前に現れたのはこじんまりとした一軒家だった。森の中にポツンと佇む上品な外観だ。


 正直なところ、これを見て俺はかなり安堵していた。


 というのも、冒険者が単にたき火をしていただけの可能性もあったし、下手をすれば野盗のキャンプ地になっていることさえ考えられた。だが、現状ではそれらの可能性は軒並み排除できる。


 そして煙を出しているということは中にはきっと人がいるはずだ。



 とりあえず、話を聞いてみるとするか。


 コンコンコン。


 扉を叩いてみる。


 ガチャッ。


 しばらくして扉が開いた。



最後まで読んで下さり誠にありがとうございます!


もし、ほんのわずかでも面白い、続きが気になると思って頂けましたら、ブックマークや評価、あるいは感想などのフィードバックをしてくださると飛んで喜びます。このページの下の方にある『☆☆☆☆☆』から評価を入れられます。


これからもどうぞよろしくお願いいたします。

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