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148話. さてと、石碑は一体どこにある?

 

 翌朝。


 気持ちの良い朝を迎えた我々は朝食を取り、ゆっくりと休む。その後はいよいよ目標の土石魔法の石碑へと向かう。


 ここは石碑狙いで来る旅人が橋の崩落以前は多かったらしく、遺跡までの道はよく整備されている。


 ある程度進むと柵と検問所が見えてきた。


 やはりここも同じタイプか。

 以前、スタナにて放水魔法を習得した時のことを思い出した。


 予想通り、我々はさっそく検問所で呼び止められた。

 と言っても、そこには槍を持った男が一人で立っているだけだ。


 実際のところ柵の内側には詰所のような中くらいの小屋がある。どうやらそこに数人が常駐している模様。なるほど。思っていたより警備は厳重だ。


「お前さん達は石碑目的で間違いないな? 入場料は一人頭2千クランになるぞ」


 なるほど。


 やはりここでもスタナと同じくお金が必要なのか。大きくスタナと異なるのは、請求されている金額だ。そこと比べるとかなり良心的だ。それでも一人につき二万円相当も必要なのだが。


 さらにスタナとは大きく異なる点がある。


 こちらは明らかに石碑のエリアをはるかに超えるような大きさをグルっと柵で取り囲んでいる。おそらくは遺跡全体を保護しようとしているのだろう。


「いよいよ石碑を拝めるのね。楽しみだわ!」


 ノエルの声はまさに弾むようだ。


 それもそのはず、彼女らはこれまで旅をして魔法を習得した経験がまるで無いのだ。今回はそういう意味で特別という訳だが、果たしてうまく習得できるだろうか。


 そうは言っても、俺はその点についてまったく心配していない。


 この集落には土石魔法で造られたと思しき造形物が多い。さらには石碑狙いの客も有料で受け入れている。


 したがって、ここでお金を払いさえすれば、土石魔法はほぼ確実に手に入るという算段だ。


 さて、いよいよ門をくぐり抜けて遺跡の敷地内に足を踏み入れる。


 場所は真ん中辺りと訊いていたが、石碑はどれだろう?


 えっ、まさか盗まれてしまったのか??


「ねぇ、あれを見て!」

 ユエが指で示した場所をよく見ると何やら立っている物体が見える。


 だが、見るからに貧弱そうだ。

 どう見てもあれは石碑ではない。


 とりあえず近づいてみよう。あれは一体何なんだ。


 ははぁ。

 少しづつ近づいてみるとその正体が判明した。


 どうやら立て看板のようだ。


 なるほど。それが石碑の解説だとすると、肝心の本体はどこに?


 やはり近づいてみても石碑の姿が見えない。

 これは不穏だ。


 すると、ユエが声を張り上げた。


「ねぇ、これを見て!」


 ふと足元を見ると、何とそこに石碑が埋まっていた。そうか。そう来たか。これは全く初めてのパターンだ。なるほど、こういうこともあるんだな。


 姉妹は解説を見ながら、石碑を眺めるというのを繰り返している。


 どうやら普通はそうやって魔法を習得するようだ。

 今更ながら勉強になるな。


 おっと、いかんいかん。


 あわてて俺も解説を眺めるそぶりをする。


「日常土石魔法(超級)を取得しました」


 よしっ!


 とにかくこれで目標はクリアされたぞ。


 あれっ? 

 戦闘系魔法は?


 残念ながら俺が習得できたのは日常系の方だけだった。


 姉妹の方は大丈夫だろうか?


「とりあえず俺は習得できたようだ。そっちは問題ないか?」


「ちょっと待って。今、ステータスを確認してみるから」


「私も!」


「「ステータス・オープン!」」


「増えてる!」

「やったわ。土石魔法よ!」


「そうか。みんな習得できて良かったな。そうだ。資質の項目はどうなっているのか知りたいんだが……?」


「ええっとね、中級だわ。まずまずといったところかしら」


「私も中級!」


 やはり普通なら『中級』程度が関の山といったところなのだろう。だが、俺のパーティーの一員としては少し心もとない。やはりもう少し強さが欲しいところ。


「う~ん、なるほど。そうだ! ちょっと試したいことがあるんだが、いいか?」


「いいわよ。何をしたらいいの、サイ?」


「そうだな。まずは俺と手を繋いでほしい」


「えっ!? サイと手を!? まぁ、別にいいわよ」


「うん」


 少し赤くなりながら二人とも手を繋いでくれるようだ。


「それじゃあ、ノエルはここに来て。ユエはこっち」


 ここでようやく手を繋いでみる。


「特に変化は無いか?」


「いいえ、何とも」


「そうか……。じゃあ、ステータスを確認してみてくれ」


 二人ともステータスを確認し始める。


「えっ! ウソでしょ!?」

「これって!」


「何か変化があったようだな」


「えっ、ええ。なぜか分からないけど、資質が【上級】になっていたわ」

「すごい! 私も【上級】になってたよ。やっぱりサイさんは凄い人?」


 ハッと我に返ったノエルが慌てて質問してくる。


「そうよ。こんなの聞いたこともないわ。資質が手を握るだけで上がるだなんて。あり得ないわ」


「だが、実際には上がっているのだから、良かったな」


「そういう問題じゃないわ。これってどういうことなの? サイは何か知っているのね」


「まぁ、詳しくは言えないが、俺が持っているスキルに関係している。俺自身もよく分かっていないが、うまくいって良かったよ」


 ……という経緯があったが、とりあえず全員そろって日常系土石魔法をゲットできた。何より何より。


 次にすべきは土石魔法のテストだ。


 俺には、これをするのにうってつけの考えがある。




最後まで読んで下さり誠にありがとうございます!


もし、ほんのわずかでも面白い、続きが気になると思って頂けましたら、ブックマークや評価、あるいは感想などのフィードバックをしてくださると飛んで喜びます。このページの下の方にある『☆☆☆☆☆』から評価を入れられます。


これからもどうぞよろしくお願いいたします。

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