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141話. いよいよ試験が始まりそうだが、これ、本当に難しいんだよな?


 特別昇級試験の現場にたまたま居合わせた我々三人。

いよいよ試験のための準備が始まったようだ。


ん? あれは?


「もしかして、あれは的なのか?」


 ギルドの職員が短く細い筒状の何かを設置していく。


 「その通り。あれを制限時間内に倒していくのが特別昇級試験クリアの条件だ」


 「なんだか拍子抜けしたな。もっと難しいものかとおもっていたのだが……」


 「いや、あれは見た目以上に難しいぞ。普通にB級の人間が挑んでも一発で成功するかどうかは分からないくらいだ」


 「そうなのか。でも、魔法で的を倒していくんだよな」


 「別に魔法でなくても構わんが……。お前さん、どうやら試験を見くびっているな。おほん。いいか、あの試験では、3分以内に離れた5つの的を全て倒されないといけないんだ。しかも外していいのは3発まで。連射すればいいっていうものじゃない。ウルトラシーの難易度だよ」


 「う~む、そうなのか」


 いや、それでもこれだけ見ると簡単そうに思えるけどな。実際にやってみると難しかったりするのだろうか?


 「……というか、そもそも俺は登録したギルドで昇級試験の存在を聞かされていなかった訳だ。その点、ちょっと納得がいかないな」


 「そうか、お前さん、ギルドでその説明を受けなかったのか。でも、まぁ、それは仕方ないことだ。何しろ合格者はほとんど出ない試験だしな。合っても無くてもといった具合だ。あとな、この抜け道のような制度が出来た背景も重要になってくる。とにかく合否が目に見えて明らかな試験を作って、不透明なポイント制に対する批判をかわす狙いがあった訳だからな」


 「なるほど、そうなのか」


 確かにサンローゼでのギルドではかなり理不尽な扱いをされていた。その『ポイント』とやらも具体的な数字や算定根拠はほとんど明らかにされておらず、ギルド職員のさじ加減一つで判定されている節があった。


 やはり俺以外にも不満を感じている者がいた訳だ。

 むろん納得できる。それについては。


 だが、この試験内容には納得できない。

 あまりにも楽すぎる。


 いや、まだ試験を見ていない訳だから確定ではないのだが……。

 こんなので合格が難しいとは何かのギャグなのか。


 男が具体的な試験内容を補足する。

 「さっき話したように、試験時間は3分だ。すぐにけりが付く。的の数は全部で5つ。どれから倒しても構わないが、完全に倒すかそれに準じたダメージを与えなければならない。あとは鬼門の条件で、外していいのは3発までだ」


 「二人はどう思うか? やっぱり難しいか?」


 「そうね。一見すると簡単に見えるけど、やっぱりそう単純な話ではないと思うわ。的が小さくて細くて当てにくいったら」


 「私もお姉ちゃんに賛成。それにこんな人前で的を倒すなんて。緊張しちゃうよ」


 「加えて外していいのは3発までとなると大変ね。魔法にしても矢にしても連射するには溜めの時間が必要だし、もし高速連射できるにしても外したら不合格なんでしょ。むしろ制限時間を使い切る前に失格になるかも」


 「う~ん。確かにそう言われてみればそうなのかもしれないな」


 でも、やっぱりそんなに難しそうには見えないぞ。


 「周囲一帯を爆破するのはどうだろうか?」


 「そいつはまた、ずいぶんと豪快な案だな。だが、それだけの爆発を起こせばこちらにもダメージが来るだろう。そうなると言わずもがな、不合格。それに俺が知っているルールだと一本ずつ倒さなければならないはずだ」


 そんな会話をしていると、ついに試験が始まるようだ。


 受験者の男から15メートルほど離れた場所に5つの円柱が置かれている。それらは互いに数メートルほど離れている。これを3分以内で倒さなければならない。


 聞くところによると男は今回が初挑戦ということだが、自信満々といった様子で既に勝利を確信しているように見える。


 先ほどまでの話とは対照的だ。


 「さぁー、行け!」

 「Eランク冒険者の意地をとことん見せてやれ!」

 「いきなり魔力切れなんか起こすなよ。ガッハッハ!」

 「カッコイイとこ見せとくれーー!」


 集まった群衆はすっかり野次馬と化し、言いたい放題だ。


 ギルドの職員が大声を出す。

 「これからEランク冒険者ラルフの特別昇級試験を実施する。皆知っているようにルールは単純。あの5つの的を3分以内で一本ずつ全て倒していくだけだ。ただし、外していい攻撃は合計で3回まで。以上!」


 本当に簡潔な説明が終わった。

 さて、この冒険者の行く末を見守ることにしようか。



最後まで読んで下さり誠にありがとうございます!


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