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138話. 旅ではいつも宿の問題が付きまとう

 

 道中、Bランク相当の強い魔物『ポイズン・アナコンダ』に遭遇するという想定外の出来事に見舞われた。


 これを何とか退治した後、我々は予定通りミナスへと歩みを進めていた。


 幸いにもこれ以外には目立ったアクシデントは起こらず、夕方には無事、ミナスの街にたどり着いた。


 いやー、いつもながら魔物と遭遇すると冷や冷やする。今回も無傷で退けることができて本当に良かった。ユエとノエルが絶え間なく胴体を攻撃していなかったら、尾による攻撃を受けていたかも。そうなると戦況はどうなっていたのか分からない。


 ミナスの街はサンローゼからあまり離れておらず、とくに代わり映えした様子はない。もちろんミナスの規模としてはサンローゼと比べてしまうと小さいが……。


 そうだな。


 鉱山都市カディナと同じかやや大き目といった規模感だ。集落程度のスタナより明らかに大きい。


 何とか予定通り今日中に到着したとはいえ、もうギルドは閉まっている時間帯だろう。魔石を売るのは明日にしよう。



 ◇


「まずは宿を探そうか?」


「ええ、賛成よ。もう暗くなってきたし、まずはそれがいいわね」


「早く休みたいな~。ユエ、疲れちゃった……」


 確かに。俺も疲れてしまったぞ。主に精神的に……。


 ポイズン・アナコンダは多少なりとも手こずったが、我々の障壁になるようなレベルではなかった。


 だが、奴は冒険者を飲み込んでいた途中だったのだ。やはり食事中の様子を目撃してしまったのは、既に冒険者が息絶えている様子だったとはいえ気分が悪い。


 しかもだ。あの大蛇を倒すためにはそれを常に見続けなければならなかった。仕方ないとはいえ、色々と思うところはある。


 まぁ、とにかく我々が『餌』にならなくて良かった。

 まずは素直にそれを喜ぼう。


 さすがに規模がそれなりの街だけあって宿は見つかった。しかしここで問題が浮上。何と満室だったのだ。えぇ、何で? 本当に!?


 仕方ないので宿のおっちゃんに他の宿の場所を教えてもらう。


 メインストリートを街の中心部に歩いていく。


「ここだね」

 ユエが一安心といった声を出す。


「ええ。確かにここみたい」


 宿としてはかなり大き目の建物がそこにあった。


 受付けの兄ちゃんにまずは質問だ。

「あー、すまないが、今日はまだ空いている部屋はあるだろうか?」


「大丈夫だ。泊まれるよ」


「おぉ。それは良かった。空いてるって、二人とも」


「これで野宿をしないで済むわね」


「よかった!」


「それじゃあ、二部屋を頼む!」


「えっ、お客さん、空いているのは1部屋だけだよ」


「そうなのか!? どうする? 一緒の部屋でいいか?」


「べっ、別にいいわよ。もう一緒の部屋で泊った仲だしね」


 う~む。これまたノエルが誤解を招く表現を使ってきたな……。


 だが、言われて見るとそれは事実だ。考えてみれば『シルバーメタル・アリゲーター』を倒した日も確かに同じ部屋だったしな。


「確かにそうだな。じゃあ、一緒の部屋で!」


「サイさん、言い方がイヤらしいよ!」


 まぁ、ともかく宿の問題は無事に解決された。


 この日を境に宿泊する際はいつも同じ部屋を使うことになった。


 宿が決まれば夕食ということで、我々は夜の街へと繰り出した。メインストリートには飲食街とも呼べそうな一角があり、そこで適当な店に入って名物を頂く。


 このミナスでは、キノコ料理が有名らしい。


 そこで店の看板メニューになっている『ヨランタケとバングル・マッシュルームの炒め物』を頼んでみた。


「えぇ!?」


「見てみてー。これカワイイ!」

 ユエが耳をぴょこぴょこさせながら声を出す。


 いや、無理もない。俺ですら出された料理を見て素っとん狂な声が出てしまったほどだ。


 なんと大きなマッシュルームのようなキノコは『たこさんウィンナー』のようなカットをされていたのだ。こんなキノコ料理は見たことがない。


 もちろんこのカッティングには理由がある。見た目のダイナミックさやインパクトに加え、表面積を増やすことで味が付きやすくなるそうだ。


 こうしてキノコ三昧の夕食を堪能して、満足感に浸りながら宿に戻った。


 それにしても『ポイズン・アナコンダ』との戦いなど色々とあった日だが、明日も波乱が起こる予感がする。



最後まで読んで下さり誠にありがとうございます!


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