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131話. 俺は一体どこから来た何者なのか?

 

 目の前に置かれた魔族の魔石。


 これを獲得したばかりの『魔力感知スキル』を使ってみると、これまで試してみた魔石の数々とは違った想定外のことが起きた。


 何と頭の中に同心円状のサークルが浮かび、明らかな反応を示したのだ。よくよく見ると光っている点が1つだけある。これが魔石の反応なのだろうか?


 俺がいる場所がサークルの中心部だとすると、ほぼ同じ場所で反応がある。


 ……。


 いや、ちょっと待て。


 これはやはり変だ。

 どうみても明らかにおかしい。


 先ほどまでのテストでは魔石という魔石から同様な反応は見られなかった。すなわち、『魔物から取り出された魔石』には使えないスキルだということが判明していたばかり。


 これだけが例外なのだろうか?


 既にテストした魔石はかなり多様なものを選んでいる。種族はもちろん、魔石の大きさや色、体内から取り出された時期も異なっている。しかし、いずれの魔石を試してみても何も起こらなかったのだ。


 となると、これだけが反応するというのは違和感が拭えない。


 う~む。


 あ、いや、そうか。

 ヤバい!!


 次の瞬間、俺は慌てて宿の部屋を飛び出し、外へと駆け抜ける。



 ◇


 もうここまで来たら安心だろう。


 俺の頭の中で一つの可能性に行きついたのだ。


 それは魔族が近くにいるというもの。


 考えてみると、これまで俺は魔族の邪魔ばかりしてきた。メタルアリゲーターやカディナのブラッド・ベアーに留まらず、サティアのスマート・ウルフの大群に奇病の撲滅、挙句の果てには巨大なインペラトール・トータスさえも倒してしまった。


 もし俺がこれらの犯人だとバレてしまっていたら……。


 背筋がゾクっとする。


 当然、何らかの尾行やら監視やらが俺に対してあったとしても全く不思議ではない。


 いや~、どうしてもっと早くこの可能性に気が付かなかったんだ、俺。

 これは迂闊だった。


 本当にもう大丈夫だろうな。

 やはり念のために確認してみるか。


 『魔力感知!』


 ぬぅあにぃーー!?


 何と驚くべきことに、まだ煌々と魔力の反応がある。

 しかも俺の近くから離れていない。


 えっ、これはどういう??


 まだ近くに監視がいるとか!?


 あぁ、いや、まさか。

 これは…… 、そういうことなのか。



 【ひょっとして、いや、もしかすると、()()()()()()なのか……】


 いやいや、ちょっと待て。


 落ち着け。落ち着くんだ、俺。

 よ~く落ち着いて考えてみよう。


 そうだ。心臓だ。


 『ドク、ドク、ドクッ』


 うん、普通に鼓動している。そうだよな。これまでも心臓を意識する機会がそれなりにあったから、その点はきちんと既に確認していた。


 まさか体内に入った魔石が拍動する、なんてことはないよな……。


 いや、いくら何でもそれはないだろう。


 俺がこれまで見た魔石はすべて硬く、全体が均一で単純な構造をしていた。とくに中に空洞があるとか変な構造体があるとか、そういう風には見えなかった。


 そもそも魔物を討伐してすぐ体内から取り出した魔石は既に『石』そのものだった。


 あっ……。


 そう言えば、俺の鑑定スキルによれば、俺は【ヒューマ】となっていた。


 となると、答えとしては、俺は魔族ではない。


 だが、この反応を見るに、俺には魔族の魔石があるのかもしれない。少なくとも類似した何かが。


 あぁ、そうか。


 俺は魔族と人間の中間、つまりは合の子なんだ。



最後まで読んで下さり誠にありがとうございます!


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