表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

130/196

130話. 魔力感知

 

 さて、このようにアンラの家での『修行』を終えて、ようやく俺はサンローゼの中心部に戻ってきた。今は貸し切りにしてあった宿の部屋の中にいる。


 ここへ帰還するのに空間魔法でひとっ飛びというのも悪くなかったが、シュタイナー氏のご厚意で馬車を出してくれると言うのでその言葉に甘えることにした。アンラも付いてくると聞かなかったが、結局、シュタイナーに引き留められた。そうして、執事と俺だけが馬車に乗り込んだ訳だ。


 まぁ、確かにそう厚遇したくなるのも頷ける。何しろフルストファー家の威厳を保つのに俺は存分に貢献した訳だからな。


 もし平民の俺があの場にいなければ決闘なんぞ起きなかった……。

 そう思わなくもない。


 もしかするとオベロンがあのような挑発をすることはなかったかもしれない。だが、それはあくまでも結果論だ。あの様子だと、弱小貴族と見るとすかさずイジメ始めるそんな手合いに違いない。


 いずれにしても、あの時点では領主のブロドリオは不在。となれば、挨拶周りでフランボワーズ家の代表代理だったオベロンとの接触は不可避だったはず。結果の違いこそあれ、アンラが何らかの形でつらい目になっていた可能性は否定できないだろう。


 それにしても、『ブロドリオの持っているスキルを盗みたい』という不純な動機から始まった今回の件。なかなか刺激的で楽しかったな。アンラも可愛かったし。


 さて、……。


 思い出を振り返るのはこの辺りにして、先へと進まねば。


 まず俺がやらなければならないことはいくつかあるが、一番気になっていることから真っ先に片付けてしまおう。


 俺が獲得した【魔力感知】というスキル。

 これを是非とも試してみたい。


 そう思い、俺は空間収納していた適当な魔物の魔石を1個だけ取り出した。


「魔力感知!」


 シーン……。


 何も起こらない。


 まぁ、そりゃそうか。死んだ魔物から取り出した石だもんな。


 念のために色々な魔石を試してみたが、やはり結果は同じだった。もちろんドラゴンとワイバーンの魔石も特に反応が無かった。


 う~ん。


 やっぱり生きている魔物じゃないと反応しないのか。


 ……。


 あっ。そう言えば、まだテストしていない重要な魔石が1個だけあったな。


 机の上にポツンと置かれた1つの魔石。


 そう、これはブロドリオが気まぐれで俺に譲ってくれた【魔族の魔石】に他ならない。こんな凄い魔石、一体いくらの値が付くというのだろう。ホイっと気軽に渡してくれたが本当に良かったのか?


 まぁ、それはこの際、脇にでも置いておこう。


 素人目にもこれが『本物』であることが分かるほどの逸品だ。表面がゴツゴツしていて見た目から普通ではなく、どうみても異質な何かを感じてしまう。


 俺の鑑定スキルで確認してみても、やはり魔族の魔石で間違いないようだ。ブロドリオ、本当にイイ奴だな。相手は身分違いの貴族様だけど……。


 さて、ここで仕切り直しだ。


「魔力感知」


 うん?


 俺には何が起きたのか分からなかった。



最後まで読んで下さり誠にありがとうございます!


もし、ほんのわずかでも面白い、続きが気になると思って頂けましたら、ブックマークや評価、あるいは感想などのフィードバックをしてくださると飛んで喜びます。このページの下の方にある『☆☆☆☆☆』から評価を入れられます。


これからもどうぞよろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ