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120話. レッツ パーティータイム!!

 

 はてさて、ちょっとした『事件』があったものの、舞踏会はその後も継続されることになった。


 会場のテーブルには立食形式のテーブルが用意され、簡単な料理が次々と運び込まれてきた。


 俺は先ほどの一件もあり、完全に周囲から浮いてしまった。まぁ、最初の決闘で剣を弾き飛ばしたところまでは良い。


 問題はその後だ。


 さすがに魔剣を両断してしまったというのは、自分で言うのもアレだが、もしかするとやり過ぎたかもしれない。何を隠そう、普通の剣で『魔剣の破壊』という衝撃だ。そのあまりの不気味さに警戒している人が多いと見える。


 ……だが、そんな俺にもチラホラと話かけてくる人間が出てきた。


「先ほどの決闘は見事だったよ。素晴らしい立ち回りだ。賞賛に値する。おっと、申し遅れたな。私はブケットだ。君は?」


「俺はフルストファー家の代理で参加している冒険者のサイだ」


「ほほう。サイ殿と言うのか。よもや代理の者とは驚いたな! しかし、あれ程の実力だ。どこか高名な冒険者に違いない」


「いや、何を隠そう、俺はただのEランク冒険者なんだがな」


「な、何だって!? あの腕前であの身のこなし。それでEランクとは驚いた。ギルドの目はとんだ節穴だ」


「いやいや、実際に使える魔法が少ないから妥当だと自分ではそう納得している」


「でも、サイはすっごく強いんだから!」

 おっと、アンラが割って入ってきた。


「これはこれは、アンラ嬢。本当に良い方と巡り会えましたな。サイ殿も謙遜し過ぎはよくないですなぁ。今後の獅子奮迅の活躍に乞うご期待だ!」



 ◇


 こうして挨拶周りも終盤に差し掛かった時に音楽が鳴り始めた。どうやらこれから舞踏会の『本番』、つまり社交ダンスが始まるようだ。


 エントランスホールの中心部に置いてあった立食のテーブルは壁際に移動され、今はさながらダンスホールのように様変わりしている。


 まぁ、先ほどの決闘で雰囲気が多少なりとも台無しになってしまったが、せっかくこの日のためにダンスの猛特訓をしたのだから踊っていくか。


 ゆったりとしたクラシック音楽が流れ始める。


 このためにわざわざ呼んだと思われる演奏家5人が見事な音色を奏でているのだ。


「アンラ、練習の通りだ。踊るぞ!」


「えっ、ええ。いいわよ! 踊りましょう」

 なぜか知らないがアンラは動揺しているようだ。まぁ、とりあえず練習が無駄にならないよう手早く踊って終わりにしよう。一度は踊っておかないと貴族の代理としての名が廃る。


「よし、次の節から入るぞ! いいな、アンラ?」


「いいわよ。どんと来なさい! 練習の成果を見せつけてやらなきゃね!!」


 よし、いよいよ本番だ。


 ワンツー、ワンツー。クイック、クイック。ここはシャッセからのターン!


 よし、我ながら完璧だ。


 周囲で踊っている貴族共と比べても遜色ないだろう。

 まぁ、俺の力量というのは語弊があるかもしれない。厳密に言えば俺の『身体強化スキル』によるブースト効果の方が大きいのだが……。


 これで締めだ。

 ようやくダンスが終わる。


 アンラを抱きかかえて、軽やかに下ろして終了。

 これで本当に最後だ。

 その動作が終わると同時に音楽も終わった。


 パーフェクト。


「おぉーーーー!!」


 我々を見ていた周囲からも拍手と同時に歓声が上がる。


 よかった。

 とりあえず、懸念のダンスは何とかなったようだ。


 しかしまぁ、あれだ。

 このダンスはあくまでも前座に過ぎない。


 というのも、ブロドリオ本人とのやり取りの結果、優先順位が大きく変動してしまったからだ。もはやダンスはあっても無くてもどうでも良い。何しろ、これからの見学会が俺にとっての【本番】になってしまった訳だから……。


 思いの外、俺のダンスが上手くいったので、見るからにアンラは上機嫌の様子。


「さっきは可愛かったぞ」


 ……と、アンラを褒めてみたのだが、「バカっ」とふくれっ面の小声で返されてしまった。


 デレか?

 これがデレなのか!?



最後まで読んで下さり誠にありがとうございます!


もし、ほんのわずかでも面白い、続きが気になると思って頂けましたら、ブックマークや評価、あるいは感想などのフィードバックをしてくださると飛んで喜びます。このページの下の方にある『☆☆☆☆☆』から評価を入れられます。


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