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103話. Sランク冒険者についてもっと知りたい!

 

 まだ現場は騒然としていた。


「やったー。ついに倒れたぞ! 勝った。俺たちは勝ったんだーーーー!!!」


「さすがはブロドリオ様。Sランク冒険者! 格が違うぜ!!」


「これで街は守られた! 俺たちはあのデカブツを本当に倒したんだ!」


「スゲー。ありえねーーーーーーッ。それにしても何だよ、今の魔法は!?」


 ざわめきが群衆を包み込んでいる。

 そして喜びも辺り一帯に充満している。


 言わずもがな、あの超巨大なインペラトール・トータスが地面にひれ伏し、完全に沈黙したのだ。


 実際のところ、討伐に参加していた冒険者も本当に倒せるかどうか半信半疑だったに違いない。


 それがどうだろう。

 あのS級冒険者のブロドリオの見事な魔法2発によって、街への侵入は阻止された。


 ……ということになっている。


 そう、あくまでも表向きは。


 実際には俺の空間魔法『ディメンション・カット』がとどめを刺したのだが、まぁ、それはこの際どうでもよい。


 重要なのは、俺の成果に見えないよう、うまく隠蔽しながら首尾よく倒せたことだ。どうやら貴族が倒したように見せかけるという目的は無事達成できた模様。ここは影のヒーローでも構わない。


「サイ! 見たよな、今の!? 感動的だったぜ!」

 お調子者のグラーゼが興奮してまくし立てている。無理もない。あんな凄い場面を目の当たりにすれば誰でもそうなるだろう。


「すごい魔法…… だった」

 クレアは感動のあまり目をウルウルさせている。


 まぁ、その気持ちはよく分かる。

 もの凄い迫力だったからな。


 さてと。

 感慨に浸るのはここまでだ。


 せっかくの機会だから、ここでブロドリオとやらの正体と戦闘能力を丸裸にしてやろう。


 鑑定。


 --

 名前:フランボワーズ=ブロドリオ

 種族:ヒューマ

 職業:貴族(上級)、冒険者(Sランク)

 HP:1655 / 1791

 MP:376 / 2503

 魔法:日常火焔魔法(上級)、戦闘火焔魔法(特級)、日常放水魔法(特級)、戦闘電撃魔法(特級)、戦闘土石魔法(中級)、戦闘放水魔法(上級)

 スキル:身体強化、防御、魔力感知、威圧、隠蔽

 特記事項:フランボワーズ家の領主。

 --




 あー、これは凄いや(語彙力)。


 さすがS級冒険者、そして、お貴族様。


 なるほど、貴族だから苗字があるのね。そういえばそうだった。すっかり忘れかけていた。


 これまでそれほど多くの人間を鑑定してきた訳ではないが、これは疑いなく名実ともに最高レベルの力量だろう。確かにこれならSランクというのも納得だ。


 事実、どれを取っても一流としか言いようがない。MPに至ってはサルキアで鑑定した魔族の数値よりも上回っている。まぁ、俺よりもはるかに下の数字だが……。


 それはともかくとして、問題は魔法とスキルの項目だ。魔法についてはどうやら空間魔法以外は一通り獲得しているようだ。


 そして、スキル。


 う~む、俺が知らないスキルがいくつも含まれている。

 これが貴族の特権か。

 何というか、せこい奴らだ。


 とりあえず、この中で気になるのは『魔力感知』、そして『隠蔽』。

 ちょっとこの二つのスキルは今後の事を考えると、どうにかして入手しておいた方が良い気がする。


「なぁ、ブロドリオの家に行くことって出来ると思うか?」

 横にいる元・パーティーメンバー達に訊いてみる。


「サイ、お前、何を言っているんだ!? ブロドリオ()のお屋敷なんて我々ごときが行ける訳がないぞ!」


 しまった……。うっかり『様』を付けるのを忘れていた。


「アタシもグラーゼの言う通りだと思う。貴族と親しくなるのは無理だ。諦めた方がいいだろうな」

 まぁ、予想はしていた。カタレナがこう言うのであれば、そうなのだろう。やはり高貴な方々は特別なようだ。これが階級社会というもの。


 しかし、ダルガーがさり気なく付け加えた一言で状況が一変する。


「まぁ、貴族とのコネさえあれば話は別だがな……」


「そんなこと言われたってよ、『貴族とのコネ』なんてある訳ねーよ!」


 そうそう、グラーゼの言う通りだ。貴族とのコネなんて、ある訳無……。


 いや、ちょっと待て。


 ……あった。


 うん、コネはある。


 既に遠い過去の出来事になってしまった。というのもそれは俺がこの世界に来た直後の話だからだ。


 当時、お世話になったラクストン家にたまたま滞在していたアンラとかいうツンデレ美少女。


 確か彼女は下級貴族だったはず。


 それだ!


 まさに首の皮一枚で繋がった。

 よし、そのコネを利用して何とかブロドリオと接触しよう。


 ちなみにギルドの上層部に頼み込むという案は無しだ。さすがに胡散臭い組織に借りを作るのは良くないだろうし、何か変なことが起きてもおかしくない。



 ◇


 そんなことを考えていると、ギルドから指示が下った。当面の間、この地域は立ち入り禁止とのこと。もちろんギルドによる厳重な管理下に置かれて、監視も付く。やっぱりそうなったか。


 聞くところによると、インペラトール・トータスの死体の肉は『スカベンジャーズ』と呼ばれる掃除屋の魔物の集団が勝手に現れて処分してくれるらしい。それが終わった後に調査団を編成して残った素材の回収に当たるとのこと。


 こうして、サルキアからすっ飛んできたお陰で、陰の立役者として貢献し、街を救う事に成功した。めでたし、めでたし。



最後まで読んで下さり誠にありがとうございます!


もし、ほんのわずかでも面白い、続きが気になると思って頂けましたら、ブックマークや評価、あるいは感想などのフィードバックをしてくださると飛んで喜びます。このページの下の方にある『☆☆☆☆☆』から評価を入れられます。


これからもどうぞよろしくお願いいたします。

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