2話
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幼馴染みである榊原有栖の仁王立ち姿がそこにはあった。
すると、ゆっくりとこちらに向かって来る。
「こんなところで何してたのよ」
「いや、普通にご飯を食べてたんだよ」
僕がそう言うと、ふーんと声を上げながら辺りを見渡す。
辺りを見渡し終わると僕の隣に有栖は座る。何を言わない有栖に対して僕が口を開く。
「何か用だった?」
僕と有栖は幼馴染みではあるが、高校に入ってからあまり話すことがなかった。理由は二つ。
一つは、有栖自身が忙しいのだ。有栖は生徒会に所属していることから昼休みも放課後も忙しそうなのである。
そして、もう一つは榊原有栖は学年でとても人気なのである。噂ではファンクラブがあるだかないだか。
有栖は学年で知らないやつがいないのではと感じるほど有名だ。その訳として、有栖は容姿共に勉学に優れているからだ。生徒からも先生からも慕われている。
有栖の立場のことを考え、スクールカーストトップと底辺が交わるのはあまり良くないと感じた僕はなるべく距離をとるようにしている。
「い、いや別に…」
「そっか」
「ていうか、普段からここで食べてるの?」
「そ、そうだけど…」
すると、有栖はため息をついた。
「そう、それはいくら探しても見つからないわけね」
ゴニョゴニョ言っていることからあまり聞き取ることができなかったが、僕は改めて用件を聞いた。
「で、用件は何?」
「あー、用件ね…用件は、ハイ!コレ!」
有栖が照れながら言うと、弁当箱だと思われる包みを僕に差し出した。
見た目は可愛らしい包みで、少し甘い匂いが漂っていた。
「えっと、これは?」
「お弁当箱よ」
「そうか、じゃあまだ時間があるのでゆっくり食べてください」
僕が有栖にそう言いたくし、僕が邪魔だろうとベンチから立ち去ろうとすると腕を捕まれた。恐ろしく早い。
「そうじゃなくて!た、食べて!」
「えっと、なんで?」
「そ、それは、あれよ!す、好きな人ができたから弁当を作ってきたんだけど、その…味の感想が聞きたくて!」
有栖は、顔を赤くして少し早口に言ってきた。
それより、僕が驚いたのは、あの有栖に好きな人がいたことだ。
中学からモテていた有栖は何度も告白されてはいるが、一度も付き合ったことがない。高校でも付き合っているという話を聞いたことがなかった。
そんな有栖に好きな人ができたと思うと、相手はどんな人なのだろうと考える。ついに、恋する乙女になったのかと感心する。やはり、イケメンなのだろう。
そんなことを考えていると、有栖が僕の腕を軽くつねる。
「何か言いなさいよ」
「ごめん、えっと、好きな人いたんだ」
「あ、いや、それは、まぁ、うん」
耳まで赤くして照れている有栖を見て、我が子の成長を見るような気持ちになってしまった。
まぁ、子供なんていないから知らんけど。
「誰なの?」
「それは、秘密よ」
「そっか。まぁ、応援してるよ」
「あ、ありがと」
僕がそう言うと、有栖は下を向きながら言う。
きっと恥ずかしいのだろう。
乙女の恋ばなを聞いて、僕はすでにお腹一杯だ。
すると、有栖は何かを思い出したか急に顔を上げた。
「じゃなくて!お弁当!」
「その話だけど、俺の味覚で大丈夫なのか?」
有栖の好きな人と、僕の味覚じゃ違うだろう。
僕が好きでも、好きな人が嫌いかもしれないことはある。
また、その逆もありえる。
現に僕は皆が好きと思われる焼きそばが嫌いだしな。
「大丈夫よ!好きな人の噂を元に作ってあるから」
そんなことを言いながら、有栖が弁当箱を開けると中には彩り豊かでたまたま僕が大好物なおかずしか入ってない弁当がそこにはあった。
ありがとうございました。




