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飄然草  作者: 千賀藤兵衛
第十部 軽率政談
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借金国家

 日本の国債の残高の話になると、どうしても暗澹とした気持ちにならずにはいられない。なにしろ本気で返す気になったとしても返せるとは思えないような額である。しかも本気で返そうとしている人がどれほどいるものやら。

 この話になると、国債は借金ではないという屁理屈をこねるやつが出てくる。国債を発行するのも紙幣を刷るのも国家がカネをつくるという点では同じだから、紙幣を刷るのと同じように国債も必要なだけ発行していいのだとか。聞くからに無茶だが、気持ちはわからないこともない。おそらく厖大な借金を前にして気がくじけてしまい、そのような現実逃避をするのであろう。

 借金というものは、経済的な悪影響も大きいが、精神面における影響も決しておろそかにはできないと思う。人は借金があると卑屈になったり憂鬱になったりするものである。返済のめどが立たないとなればなおさらだ。もっとも、借金というのは返すものではなく踏み倒すものだと心得ているような図々しいやつも世の中にはたまにいるが。

 私は決してまじめな人間ではないが、それでも日本の厖大な債務を考えると怏々とした気分になる。ましてまじめな人であればその影響はどれほどか。

 これこそ日本社会の閉塞の原因ではないかと私は思う。まじめな誠実な人間が肩身をせまくし、図々しいやつが我が世の春を謳歌する。そしてそのまじめな人間のなかでついに絶望してヤケクソになった者が、例の国債は借金ではないからいくらでも紙幣を刷れという無茶を言い出すようになる。そうした人間が多数を占めたときに何が起こるか、私は自分が生きているうちにその答えを見たくないが見ることになるのではないかという気がする。


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