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「それで、これからどうするつもりなの?」
「どうするとは?」
「私たち、狙われてるのよね?」
「何故、そう思う?」
「襲われたわけだし?」
「偶然では?」
「通り魔的な犯行ってこと?」
香音が疑問符を投げると、シリンは疑問符を返す。
互いに疑問符を投げ合い、躱しながら、話を展開させていく。
「私が狙われた。シリンが狙われた。私とシリンが狙われた。或いは、不特定の学生が狙われた?」
「答えに至る材料はあるのか?」
「シリンに心当たりは?」
「当ったとしたらどうする?」
それが最後の疑問符になった。
香音は、迷うことなく答えた。
「一緒に解決する」
「そうか」
シリンは、感情のない表情で応えた。
だが、少しだけ、その表情は綻んでいた。
「では、明日の夜から」
「何をするか、教えてくれると嬉しいな」
シリンの端的な物言いに、香音は苦く笑う。
学園経済圏で使用される共通言語に不慣れなのか、或いは、個性なのか。
「夜に歩くだけ」
「なるほど、なるほど、狙いはわかりました。
囮にして、相手を誘き寄せると」
「そうだ」
「そこまではいいけど、問題はその先ね。おびき寄せてどうするの?」
「確保する」
「できるの?」
「絶対ではないが」
「逃げてたよね?」
「戦略的判断」
「なんでもいいけどね」
「制約下だった」
「制約?」
疑問符に、シリンは香音を指を差すことで応えた。
「私がいたから、戦えなかった。そういうことですね」
反論の予知はない。
完全にお荷物だったと香音は自覚している。
「でも、それなら、私を連れて行ったら、同じじゃない?」
「普通の学生であれば、そう」
「普通じゃない学生かもしれないけど、私の力はそういうのじゃないよ?」
「期待してない。制約は私の問題」
「うーん、つまるところ、私が普通じゃない学生だと解ったからには、遠慮しなくていいってこと?」
「そうだ」
「遠慮してなかった気もするけどね」
「状況が状況。仕方ない。さらに言えば――」
「言えば?」
シリンは、一瞬、口ごもり、言葉を選び直した。
「備えがなかった。次は、違う」
「よし、概ね理解しました。方針にも異論はありません」
「いいのか?」
「それは確認?」
「そう」
「確かめるまでもない。私はシリンを信じてるもの」
そして、二人の奇妙な交流がはじまった。




