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夜明けのソラの契承者 封印楽園都市  作者: やたか なつき
一章
8/34

「それで、これからどうするつもりなの?」

「どうするとは?」

「私たち、狙われてるのよね?」

「何故、そう思う?」

「襲われたわけだし?」

「偶然では?」

「通り魔的な犯行ってこと?」

 香音が疑問符を投げると、シリンは疑問符を返す。

互いに疑問符を投げ合い、躱しながら、話を展開させていく。

「私が狙われた。シリンが狙われた。私とシリンが狙われた。或いは、不特定の学生が狙われた?」

「答えに至る材料はあるのか?」

「シリンに心当たりは?」

「当ったとしたらどうする?」

 それが最後の疑問符になった。

香音は、迷うことなく答えた。

「一緒に解決する」

「そうか」

 シリンは、感情のない表情で応えた。

だが、少しだけ、その表情は綻んでいた。

「では、明日の夜から」

「何をするか、教えてくれると嬉しいな」

 シリンの端的な物言いに、香音は苦く笑う。

学園経済圏で使用される共通言語に不慣れなのか、或いは、個性なのか。

「夜に歩くだけ」

「なるほど、なるほど、狙いはわかりました。

囮にして、相手を誘き寄せると」

「そうだ」

「そこまではいいけど、問題はその先ね。おびき寄せてどうするの?」

「確保する」

「できるの?」

「絶対ではないが」

「逃げてたよね?」

「戦略的判断」

「なんでもいいけどね」

「制約下だった」

「制約?」

 疑問符に、シリンは香音を指を差すことで応えた。

「私がいたから、戦えなかった。そういうことですね」

 反論の予知はない。

完全にお荷物だったと香音は自覚している。

「でも、それなら、私を連れて行ったら、同じじゃない?」

「普通の学生であれば、そう」

「普通じゃない学生かもしれないけど、私の力はそういうのじゃないよ?」

「期待してない。制約は私の問題」

「うーん、つまるところ、私が普通じゃない学生だと解ったからには、遠慮しなくていいってこと?」

「そうだ」

「遠慮してなかった気もするけどね」

「状況が状況。仕方ない。さらに言えば――」

「言えば?」

 シリンは、一瞬、口ごもり、言葉を選び直した。

「備えがなかった。次は、違う」

「よし、概ね理解しました。方針にも異論はありません」

「いいのか?」

「それは確認?」

「そう」

「確かめるまでもない。私はシリンを信じてるもの」

 そして、二人の奇妙な交流がはじまった。

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