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夜明けのソラの契承者 封印楽園都市  作者: やたか なつき
一章
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「香音、貴方が何を伝えたいのかは、わかった」

 シリンの言葉に、香音は首を傾げてみせる。

「手品を演じてみせた。それだけですよ?」

「慎重だということも」

「して、その心は?」

「古典的な手品の中に、技術だけでは再現できない現象があった」

「科学の力を借りたのかも?」

「それはそう。

だから、様々な可能性を考慮して、仕掛けを探した。

でも、なかった」

「そう、あのトランプはただの紙。

持ち帰って調べてもらってもいい」

 香音は嘘をついていない。

「故に、認めざるを得ない。

暗に示された事実を」

「事実?」

「香音は、常人にはない力を持っている」

 香音は、その言葉に頷く。

「ご明察です。流石は、私の親友」

「親友?」

「ええ、秘密を共有した。なので、今から、シリンは私の親友です」

「出会ったばかり」

「運命的な出会いでした」

「よくわからない」

 シリンは、畳み掛けられ困惑するしかない。

「私は、独りで歩いてきた。

シリン、貴方もそうではないの?」

 問いかけながら、香音はシリンの瞳の奥を覗く。

憂いを帯びた透明。

香音の様子は一変していた。

「ずっと仲間を探してきた。

でも出会えなかった。

また出会えるかもわからない。

だから、私は、貴方を諦めない」

 香音の言葉は、強い意志を感じさせた。

だが、シリンは、動じない。

「力があれば、仲間なのか?」

「重要な要素ね。

でも、それだけじゃない。

出会えたのが貴方であることに感謝してる」

「何故、私を信じられる?」

「シリンは私を守ってくれた。

手を伸ばしてくれた。

だから」

 シリンは、しばし考え、そして、頷いた。

「わかった」

 シリンは何も考えていないようで、考えている。

それは様々な可能性を検討した上での判断だった。

「これで親友ね」

「わかったが、これから次第だ」

「つれないな。

でも、そうね、これからなればいい」

 香音は前向きである。

そこに下心はない。

ただ、胸を躍らせていた。

「聞いていいか?」

「友達はいません。彼氏もいません」

「そうか、どうでもいい」

「力についてだよね?」

「そうだ。知っておきたい」

「人に伝えるのは、難しいのだけど、そうね。

視えないものを視る力とだけ」

「視えないものを視る?」

「ええ、今は、それだけ、もっと仲良くなったらね」

 香音は、怪しく微笑み、シリンは、ため息をついた。

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