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「香音、貴方が何を伝えたいのかは、わかった」
シリンの言葉に、香音は首を傾げてみせる。
「手品を演じてみせた。それだけですよ?」
「慎重だということも」
「して、その心は?」
「古典的な手品の中に、技術だけでは再現できない現象があった」
「科学の力を借りたのかも?」
「それはそう。
だから、様々な可能性を考慮して、仕掛けを探した。
でも、なかった」
「そう、あのトランプはただの紙。
持ち帰って調べてもらってもいい」
香音は嘘をついていない。
「故に、認めざるを得ない。
暗に示された事実を」
「事実?」
「香音は、常人にはない力を持っている」
香音は、その言葉に頷く。
「ご明察です。流石は、私の親友」
「親友?」
「ええ、秘密を共有した。なので、今から、シリンは私の親友です」
「出会ったばかり」
「運命的な出会いでした」
「よくわからない」
シリンは、畳み掛けられ困惑するしかない。
「私は、独りで歩いてきた。
シリン、貴方もそうではないの?」
問いかけながら、香音はシリンの瞳の奥を覗く。
憂いを帯びた透明。
香音の様子は一変していた。
「ずっと仲間を探してきた。
でも出会えなかった。
また出会えるかもわからない。
だから、私は、貴方を諦めない」
香音の言葉は、強い意志を感じさせた。
だが、シリンは、動じない。
「力があれば、仲間なのか?」
「重要な要素ね。
でも、それだけじゃない。
出会えたのが貴方であることに感謝してる」
「何故、私を信じられる?」
「シリンは私を守ってくれた。
手を伸ばしてくれた。
だから」
シリンは、しばし考え、そして、頷いた。
「わかった」
シリンは何も考えていないようで、考えている。
それは様々な可能性を検討した上での判断だった。
「これで親友ね」
「わかったが、これから次第だ」
「つれないな。
でも、そうね、これからなればいい」
香音は前向きである。
そこに下心はない。
ただ、胸を躍らせていた。
「聞いていいか?」
「友達はいません。彼氏もいません」
「そうか、どうでもいい」
「力についてだよね?」
「そうだ。知っておきたい」
「人に伝えるのは、難しいのだけど、そうね。
視えないものを視る力とだけ」
「視えないものを視る?」
「ええ、今は、それだけ、もっと仲良くなったらね」
香音は、怪しく微笑み、シリンは、ため息をついた。




