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夜明けのソラの契承者 封印楽園都市  作者: やたか なつき
一章
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 誰が? 何故?

 香音は、そんな疑問を覚えなかった。

心当たりがないからではない。

心当たりなど、幾らでもあり、特定することなど困難であった。

それ故に、考えても意味がない。

 香音は、傾けるべきことを理解している。

それは、この場を如何に、やり過ごすかであった。

 香音は、心拍を整え、周囲を窺う。

そこには、静かな夜があった。

攻撃してきた者の姿は見えない。

「まずい、わね」

 香音の才能は、戦闘に特化したものではない。

身体能力もたかが知れている。

標的として捕捉された時点で終わる。

それを自覚しているからこそ、香音は細心の注意を払い生きてきた。

 諦めればいい。

香音は、そう考えていた。

だが、それは、一人であればの話だ。

今は、一人ではない。

シリンがいる。

何とかして、守らなければならない。

どうにかして、逃さなければならない。

無関係の者を巻き込むことは、香音の正義に反する。

 香音は、シリンを一瞥する。

身構える香音の様子に、シリンは不思議そうに首を傾げていた。

「守るから」

 香音は、言い聞かせるように言葉にし、攻撃の痕跡を凝視した。

力を顕現し、軌道を辿る。

そして、遂に、敵の姿を捉えた。

だが、そこまでだった。

「あっ」

 既に、追撃は放たれていた。

空を裂く音が近づいてくる。

だが、香音に為す術はない。

身体が動かない。

軌道が交錯する。

 瞬間、風が吹き、高い音が響いた。

不可視の壁が、強く振るわれた何かが、投擲された刃を打ち払っていた。

 香音は、何が起きたのか、理解できなかった。

ただ、そこにある、シリンの姿に、言葉を忘れた。

脚を開き、片手を地面につき、瞳は闇を鋭く射抜いている。

豹の如き、その姿は、美しく、そして、強さを感じさせた。

 風が吹く。

刃が踊る。

三度、放たれた攻撃が、二人を襲う。

だが一蹴される。

シリンが腕を振るうと、不可視の壁が動き、凶刃は弾き飛ばされる。

攻撃の余波が、その威力を誇示するように、舗装された道を切り刻んでいく。

「来て」

 シリンが手を伸ばし、香音が手を繋ぐ。

シリンに手を引かれ、香音は跳んだ。

刃が追い縋ろうとするが、躱され、払われる。

ただ、透んだ音が、夜に響いていく。

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