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円卓の中心に情報窓が展開され、映像が投影される。
「これは先日の戦闘映像か」
「はい、小型無人機で撮影していました」
「いいように使ってくれたというわけか」
「異能者との戦いは、何ができるかを探るのが重要ですので」
多脚戦車との遭遇戦から、風紀委員を名告る二人の少女の出現へ。
切り取られた場面が順に映されていく。
アイリスは愉しそうに、映像を愛でているが、その瞳に遊びはない。
やがて、問題の場面が映し出され、アイリスとクノスの表情が変わる。
帝国武官の標準装備である収斂光銃。
その威力は、数秒前の映像で証明されている。
多脚戦車の複合装甲は、地球人類が誇る物理科学の結晶であった筈だ。
だが、収斂光銃から放たれた光弾は、それを全く問題にせず貫いた。
これはつまり、地球人類の技術水準では、防ぐことが極めて困難であるという実証に他ならない。
現れた二人の少女も、また為す術はない。
その筈だった。
「驚いたな」
アイリスは瞳を細め、感嘆する。
少女は、倒れなかった。
それどころか、意にも介さず、立ちはだかり、睥睨している。
放たれた光弾は、ことごとく不可視の壁に阻まれ、四散していた。
少女の手には何もない。
そこに何らかの事象を実現する装置は存在しない。
「これは斥力障壁ではないのか?」
クノスが質す。
斥力障壁とは、帝国の武官が装備する特殊戦闘服である強化外装に備えられた防衛機構である。
対象空間に物理運動に反発する力場を発生させ不可視の壁をつくりだす。
言うまでもなく、それは帝国が有する高度な科学技術に依って再現される現象である。
「概念的に近いものは地球人類も実現していますが、出力もそれなりですし、人が携帯できる大きさではありません」
「つまり、これが」
「そう、彼女の異能というわけです」
映像は続いていく。
そして、映されたのは、屈強な兵たちが、もがき苦しむ姿だった。
突如として、始まった異変に、アイリスは訝しむしかない。
「これも異能か」
「はい、精神感応とでも言えばいいのでしょうか。
悪夢へと誘い、そして、意識を奪う。
容赦のない力です」
言葉はない。
映像は終わり、幾ばくかの沈黙があり、そして、クノスが動いた。
「幾つか、質しておきたい」




